大黒様とは|ご利益や由来は何の神様か解説。祀り方や神社もご紹介

大黒様

大黒様とは|ご利益や由来・何の神様か解説

大黒様とは日本では財富の神様として、信仰が厚く七福神にも選ばれるなじみの深い神様です。

大黒様と言うと、実は2柱の神様が由来であることをご存知でしょうか?

今回は大黒様という神様はどんな神様で、今人気の神様になる経緯はどのようなものなのか、詳しくご紹介いたします。

大黒様のご利益

大黒様は先ほど述べた通り、2柱の神様が由来とされ、さらに七福神信仰もあり、以下のような様々なご利益があると考えられています。

  • 富貴栄達
  • 商売繁盛
  • 縁結び
  • 立身出世
  • 五穀豊穣
  • 夫婦和合
  • 医薬

等々

大黒様というと、七福神のイメージや「大黒様・恵比寿様」のセットもあり財運・金運を向上するご利益で有名です。

大黒様は縁結びのご利益も

でも実は、大黒様は縁結びの神様としてもとても有名です。

後ほど詳しく解説しますが、大黒様の由来となる、日本神話でとても重要な役割をする大国主命(オオクニヌシノミコト)という神様が縁結びの神様として有名なのです。

大国主命(オオクニヌシノミコト)を祀る出雲大社が縁結びの神社として有名ですね。

それでは、ここからは大黒様とは何の神様なのか、詳しく解説していきます。

大黒様とは何の神様か

大黒様 画像

大黒様は怖い神様だったなどの噂を聞いたことがあるかもしれませんが、実際大黒様と言う神様の元となる神様には「戦闘の神様」も含まれていてかなり恐ろしい神様だったという描写もあります。

大黒様を深く知るためにも由来となるのは神様なのか見ていきましょう。

大黒様が意味する2柱の神様

大黒様が何の神様かを簡単に表現すると、

  • インドのヒンドゥー教の神様(仏教に取り入れられて日本へ)
  • 日本古来の神話に描かれる神様

この2柱の神様が神仏習合(同一視)した神様なのです。

インドのヒンドゥー教の神様で描かれる大黒様が怖いと言われる神様とされ、まずはそちらからご紹介しましょう。

大黒様=大黒天(マハーカーラ:シヴァ神)

大黒様という漢字表記は「大黒天」という仏教の神様(天部という仏法の守護神)から来ています。

この仏教の神様の天部という存在は、仏教が成立する前からインドで信仰されていた神様を仏教に取り入れた神様方です。

大黒天と言う神様はインド神話において、マハーカーラと呼ばれる神様が仏教に取り入れられて成り立った神様なのです。

サンスクリット語のマハーカーラはシヴァ神というインドで最も人気の神様の化身とされ「大いなる(マハー)黒(黒)」という意味で、中国の僧によって意訳され「大黒天」とされます。

大黒様が怖いと言われる所以は、このマハーカーラが破壊神・戦闘神として描かれ闘いを続ける神様として描かれるためです。

大黒様 マハーカーラ 画像

インドやネパールではマハーカーラが描かれる絵は上記のように鬼のような忿怒相(怒った顔)をしていることが多く、多面多臂(複数の顔、2本以上の手)を持ちそれぞれの手に武器を持っていたり、ドクロの首飾りをしていて、足元には何かを踏んづけていたりと、かなり怖い印象で描かれています。

しかし、インドでもただ怖い神様として祀られたという言うわけではなく、大黒天(マハーカーラ)はインドの台所に置物や像が置かれ、台所の神様としても祀られたり、財の神様としても祀られていたようです。

そして、中国に大黒天信仰が渡り、台所の神様として祀られたりして怖い神様というイメージがなくなって、日本にやってくるのです。

ちなみに、天部という仏教の神様には、大黒天のようにインド神話では怖い神や鬼として描かれていたが、仏教の教えに帰依して護法善神(仏法を守護し、衆生に現世利益を与える神)として祀られるようになった例が他にもあります。

時々怖いだとか、祟りがあるとか言われる神様はそんな由来が関係しているのです。
日本で信仰される怖い神様と言われる天部の神様に興味がある方はこちらもご覧ください。

ダキニ天(荼枳尼天)とは|ご利益や祟り/怖いと呼ばれる理由を解説

歓喜天(大聖歓喜天)|聖天さんと親しまれる神様のご利益や怖い/祟りとは

大黒様のご真言

大黒様は神社でも祀られ、寺院でも祀られていますが、七福神としてや寺院で祀られるときはご真言を唱えてお参りするのが一般的です。

大黒様のご真言は、

おん まかきゃろや そわか

おん まかきゃらや そわか

です。

大黒様=大国主命(大国様)

もう一方の大黒様の由来となる神様は、日本という国を造る大偉業を成し遂げた大国主命(オオクニヌシノミコト)という国津神を代表する神様です。

大国主命はヤマタノオロチを退治することで有名なスサノオノミコト(素戔嗚尊)の子・もしくは6代目の子孫として描かれます。

国造りという偉業を成し遂げた後、アマテラスオオミカミ(天照大御神)が苦労して作った国をこちらによこしなさい(※)と勧請が来たのに対し、抵抗もせず国を譲る(国譲りという場面)というとても賢明な神様なのです。

(※アマテラスオオミカミを含む天津神が住まう天上界の高天原では地上の世界は野蛮だと思われていたので、平和に国を治めようと考えたのです。)

大黒様とネズミや白兎は大国主命の神話から

とても心優しい神様として描かれる大黒様こと大国主命は因幡の白兎で知られる白兎を助けた場面や、スサノオノミコトの試練の中でネズミに助けられるという場面から、白兎・ねずみをご眷属(神様の御遣い)にしています。

大国主命(オオクニヌシノミコト)の神話の物語などについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

大国主命(オオクニヌシノミコト)とは?ご利益や神社の情報や国譲り等神話の物語も解説

大黒天と大国主命が大黒様として習合した経緯

現在上記で見た仏教由来(インドの神様)の大黒天と日本の神の大国主命が合わさって、大黒様と慕われるようになったのには次のような経緯があると言われています。

「ダイコク」と言う読みが繋がる

大黒天はそのまま「だいこくてん」と読みますが、大国主命も音読みにすると、「だいこく」と読めます。

一般的には大黒様と表記されますが、時に大国様(だいこくさま)と表記することもあります。これは大国主命を音読みにしたときの呼称です。

神社によっては「だいこく様」とひらがな表記にしていることもありますね。

天台宗 最澄と大黒様

もう一つの大黒様の習合した説は、大黒天を日本で初めて祀った天台宗の開祖 最澄と大黒様の伝説に由来するものです。

三輪大明神縁起という日本最古の神社とされる大神神社(おおみわじんじゃ)に祀られるご祭神「三輪大明神」の仏教側からの解釈を解いた本には、

「最澄の目の前に大黒天のお姿をした”三輪大明神”が現れた」という逸話があります。

この三輪大明神、つまり大神神社(おおみわじんじゃ)に祀られている神様は大国主命であることから、大黒天と大国主命を同一と考えるようになったとされます。

※大神神社のご祭神は一般的には大物主神(オオモノヌシ)という神様の名称で祀られています。
この大物主神は、神話の中で「大国主命の御魂として現れる」という逸話があり、大国主命と大物主神を同一視する考え方があります。

大物主神(オオモノヌシ)の神話の物語について詳しくはこちらで解説しています。

大物主神(オオモノヌシ)とは?ニギハヤヒや大国主と同一説のある謎の多い神様を解説

大黒様の信仰の歴史

大黒様の由来についてご紹介しましたが、その大黒様のご利益や日本人に親しまれる神様となった歴史について、簡単にご紹介します。

大黒天が大国主命と習合し大黒様と親しまれるように

大黒様の信仰が広がったのは平安時代ごろからと言われます。

天台宗のお寺でお寺の守護神や台所の守り神として大黒天として祀られるようになります。

この天台宗の総本山である比叡山で祀られた大黒天の像は毘沙門天弁財天の顔を持つ三面大黒として祀られたそうです。

それらの神様は、平安時代ごろから福の神として商売繫盛・財運向上・除災招福などのご利益に預かれるとされ信仰が広まります。

比叡山の大黒様、鞍馬寺(京都)の毘沙門天(多聞天)、竹生神社/厳島神社等様々なところで祀られた弁財天、そして次に見る恵比寿様は福の神として人々の信仰が厚くなっていきます。

大黒様と恵比寿様の信仰

大黒様というと、セットで祀られる恵比寿様は日本の神話の中で親子、もしくは親戚、盟友として描かれます。

恵比寿様は事代主神(コトシロヌシ)もしくは蛭子神(ヒルコ神)少彦名命(スクナヒコナノミコト)等が由来とされるのですが、いずれも大黒様の由来の大国主命ととても縁の深い神様です。

この恵比寿様の信仰は大黒様とは別で、民衆に広がり、商売繫盛の神様として深く信仰される神様となります。

大黒様と恵比寿様が神話の中で親子等縁深く描かれることなどもあってか、2柱を信仰することで、商売繁盛・五穀豊穣・大漁満足などのご利益があると考えられるようになり、セットで祀られるようになりました。

大黒様はちょうど五穀豊穣の神として神話で描かれ、恵比寿様は漁業の神として神話で描かれるので、民間での信仰が広がりやすかったのかもしれませんね。

恵比寿様という神様ついてはこちらで詳しく解説しています。

恵比寿様とは|大黒様と祀る意味や由来・何の神様かご利益,神社等紹介

大黒様が「財富(金運に関わる)」七福神となる

大黒様と恵比寿様、大黒様と弁財天毘沙門天の信仰が広がってゆき、そこに布袋尊福禄寿寿老人(時に吉祥天なども)という神様が加わって七福神の信仰が日本で広がります。

七福神の信仰は室町時代に発祥と言われますが、江戸時代に民衆に広まったとされます。

「七難即滅、七福即生」と言われ七福神巡り(七福神参り)をすることで、人生で得たい七福に預かれると言われます。

現在の大黒様と言われてイメージするお姿はこの七福神で描かれる姿をイメージしますが、元々のイメージとは変わってきています。

大黒天の元のマハーカーラは上記で画像を見た通り、かなり怖い神様ですが、日本神話で描かれる大国主命はかなりのイケメンだったとされます。

八千矛伝説とも言われる、すさまじい数の女性を抱いたと言われる大黒様ですが、中国の大黒様の像が現在の日本で普及した大黒様のイメージに影響をしているようです。

七福神についての歴史などはこちらでさらに詳しく解説しています。

七福神とは|ご利益,名前の意味等解説 布袋/恵比寿/大黒天/毘沙門天/弁財天/福禄寿/寿老人

大黒様の日(縁日)

大黒様を祀る神社や寺院では大黒様に縁の深い日に祭事を行います。

寺社や宗派によって変わると思いますが、多くの場合は甲子の日という一日一日に配当される干支の甲子(きのえね)を大黒様のご縁日としています。

大黒様の日である甲子の日は特別な祈祷が行われたり、特別な御朱印が授与されたりするなど、普段と少し違う祭事等があります。

また、地域によっては独特の大黒様の日のお祭りがあるようで、山形のお歳夜(としや)は大黒様の日に特別な供物をささげたりするようです。

大黒様(と恵比寿様)の祀り方

大黒様を家で祀る時の注意点などをご紹介します。

大黒様を祀る神社のお札の祀り方と大黒様の木彫り等の置物の祀り方とありますが、まずは置物の方からご紹介しましょう。

大黒様と恵比寿様を一緒に祀る意味

まず、大黒様の置物は多くの場合恵比寿様の置物と祀ることが多いでしょう。

大黒様と恵比寿は共に商売繫盛や富をもたらしてくださる福徳神であり、親子の神様として一緒に祀るという習慣が古くから日本では見られます。

大黒様を祀る場所

大黒様の置物を置く場所は、神棚に置くのが最も良いとされます。

神棚がない場合も、以下の神棚を設置する場所に当てはまる場所に大黒様を置くと良いとされます。

神棚を造る場所にふさわしいとされるのは、

  • 南向き、東向きに設置できる場所
  • 大人の目線より高いところ(大黒様を見下ろさないように)
  • 明るく清浄なところ
  • 神棚の下は人が頻繁に通らないようにする
  • お札や置物を置く際は半紙を敷く

というのが良いとされます。

ただし、あくまでこれは良いとされるというもので、家の状況に応じて、仕方なく上記に当てはめられないのも仕方ないとされます。

大黒様の置物向く方角

大黒様の置物を置く際は神棚と同じように南か東を向くように飾ります。

日本の総氏神である天照大御神は太陽の化身であり、その太陽が昇る東か、太陽が最も高くなるミナミを向くのが良いとされます。

大黒様と恵比寿様の位置

大黒様と恵比寿様の置物を飾る場合は、その位置に気を付けましょう。

大黒様が正面から向かって右側に置き、恵比寿様は左に置きます。

大黒様と恵比寿様の置物の違い

大黒様と恵比寿様の置物の違いは、様々ありますが持ち物で判断するのが簡単です。

後程、大黒様の持ち物の意味についてはご紹介しますが、

  • 打ち出の小槌を持つのが大黒様
  • 釣竿や鯛を持つのが恵比寿様

で見分けましょう。

大黒様のお札の祀り方(神棚の飾り方)

大黒様の置物ではなく、神社で授与していただいたお札を祀る際は、神棚、もしくは上記で見たような神棚を作るのに良いとされる場所にお祀りしましょう。

神棚の作り方は伊勢神宮さんでい神棚の作り方をご享受してくださっている資料がありますのでそちらをぜひ参考にしてください。

伊勢神宮 神棚の作り方

大黒様のお供え物

大黒様の置物やお札へのお供え物は特別なモノを用意しなくてもよく、神棚にお供えする一般的なもので良いとされます。

米、塩、水が最も一般的です。

ちなみにお供え物のお皿などの器は専用瓶子や平皿を用意せずともよいとされますが、生活で使うものと分けて、洗うスポンジも変えるようにしましょう。

そして、大黒様の置物やお札を新調するなどする際、古くなったものは神社の古札所、もしくは社務所に返納し、お焚き上げという方法でお清めしていただきます。

丁寧に処分する際は、神社に持って行きご祈祷(御魂抜き)をしていただくのもよいでしょうが、特に厳格なルールがあるわけではありません。

大黒様を祀る神社・寺院

大黒様(だいこく様)を祀る日本でも有名な神社や寺院をご紹介します。

明治以前は神社も寺院も関係なかったのですが、神仏分離令の後、神社では大国主命(オオクニヌシノミコト)少彦名命(スクナヒコナノミコト)と表記され、寺院では大黒天と祀られるようになります。

出雲大社(島根県)|大国主命としての大黒様

出雲大社は日本でも有数の神社で最近では「縁結びのご利益」で女性からも人気の神社ですね。

天照大御神に大国主命が国を譲られる時に約束をした、大宮殿を造営したとされる地に建つという由緒ある神社です。

出雲大社ではご拝殿で拝んだ後、本殿の西側に回って拝むのが良いとされることはご存知でしょうか?

だいこく様(大国主命のご神体)はご本殿の中で西側を向いていると言われます。

そのため、だいこく様にお祈りを聞いていただくには本殿西側にあるお賽銭のあるところに回り、参拝するのが良いといされています。

他の神社でもこのような習わしがあるところがありますが、有名なところというと、恵比須様を祀る今宮戎神社です。

ぜひ出雲大社を参拝された時はこういったことも意識してだいこく様にお願いをお聞き届けいただきましょう。

出雲大社の公式ページ

比叡山延暦寺(滋賀県)|豊臣秀吉が拝んだ三面出世大黒天

比叡山延暦寺は大黒様を日本に持ち込んだ最澄の創建された天台宗総本山です。

比叡山の台所に祀られた大黒様が日本の大黒様信仰に広がっていったとされます。

この比叡山延暦寺には豊臣秀吉が立身出世を祈願した三面大黒天像が安置されています。

この三面大黒天像は正式には三面六臂大黒天と言われ、3つの顔に6つの手を持つ大黒天像です。

ちなみに残り二つの顔は毘沙門天、弁財天が掘られていて、福徳開運・商売繁盛・出世開運などのご利益があるとして古くから信仰を集めるありがたい仏像です。

最澄上人が手づから彫られたと伝わります。

比叡山延暦寺の公式ページ

比叡山の大黒様(三面大黒天像)について

神田明神(東京都)|大黒様と恵比寿様を祀る

神田明神は東京の商売繫盛の神社として有名ですが、ご祭神がだいこく様である大己貴命(オオナムチノミコト)です。

大己貴命は大国主命の別名です。

神田明神では、少彦名命(スクナヒコナノミコト)を祀っています。
少彦名命は大国主命を助け、ともに葦原中津国(今の日本)の国造りをした神様で、神田明神では恵比寿様として祀られています。

神田明神の公式ページ

少彦名命の神話の物語はご利益についてはこちらをご覧ください。

スクナヒコナノミコト(少彦名命)とは|神社・ご利益と神話の物語をご紹介

大国主神社(大阪府)

大阪にある大国主神社は大黒様を祀る大阪でとても有名な神社です。

ご参拝客には大阪の人のみならず、様々な都道府県から来ると言われていて大国主神社の有名な「種銭(たねせん)」というお守りがあります。

大国主神社の大黒様の種銭はご利益金運をあげると言われる有名なお守りで、財布に入れると良いと言われます。

弁財天を祀る神社ではそういったお守りが多くありますが、大黒様のお守りとしては珍しいのでぜひ財運・金運を向上させたいという方はぜひ一度お参りを。

ちなみに、大国主神社は敷津松之宮という神社の摂社となっています。

圓徳院(京都府)|秀吉にちなむ三面大黒天像

圓徳院は京都の高台寺の「ねねの道」を挟んで反対側にある寺院です。

八坂神社、清水寺の間にある場所で、とてもきれいな道で観光地にもなっていますが、この圓徳院には秀吉が出世祈願をして、ご利益にあずかった比叡山にあるものと同じ、三面大黒天像をお祀りしています。

圓徳院の大黒様のご縁日は毎月3日という少し変わっています。

圓徳院 三面大黒天尊天

ちなみに、日本で一番大きな大黒様の像は總持寺(神奈川県)にある180cmもの大黒天尊像、もしくは、舞子六神社(兵庫県)であると言われています。

大黒様のイラスト画像に描かれる姿の意味

大黒様 イラスト画像

大黒様の絵やイラストなどでは上の画像のように、

  • 右手に打ち出の小槌
  • 左手は袋を持って背中に背負う
  • 顔は福相といい大きな耳に笑顔でふくよかな顔立ち
  • そして二つの米俵の上に座る

このような特徴があります。

これらの特徴の意味についてご紹介します。

大黒様の打ち出の小槌

打ち出の小槌は様々な昔話でも出てきますが、

「欲しいものを願って振るとそれが現れる」や「振ると小判が出てくる」などと言われ、富の象徴として描かれています。

また、小槌の「こづち」は「土」の音に通うことから、大黒様は大地の豊穣の神となり、恵比寿様は竿を持つことから海の豊穣の神という性格を表すという説もあります。

大黒様の袋の中身

大黒様の袋の中身は、たくさんの福が詰まった福袋と言われています。

また、七宝という仏教の中の七つの宝物が入っているなど、基本的には袋自体も大黒様の富・財の福を象徴するものとして描かれます。

また、大国主命が神話の中で描かれる姿も大きな袋を持っていてそこに由来するとも言われます。(ちなみに大国主命が神話で持っていた袋には兄たちにいじめら荷物持ちをさせられ、兄たちの荷物が入っているとされます。)

あくまで、俗説ですが大黒様の由来となる怖い神マハーカーラの影響もあってかこの袋の中には人の頭が入っているなどの説もあります。

大黒様の服装や下の俵について

大黒様の被る帽子は「大国頭巾・焙烙頭巾(ほうろくずきん)」と呼ばれ、横に膨れた円形の帽子です。

この帽子は俗説ではありますが、男根を象徴しているとも言われます。

この理由は大黒様の由来となるマハーカーラという神様がシヴァ神の化身で、このシヴァ神が男根を象徴する神と言うことから来ているとされます。

大黒様の座る、もしくは立つ下にある米俵は、五穀豊穣を意味し、大黒様が田の神、豊穣の神であることを表しているとされます。