コノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫)とは|ご利益や祀られる神社・富士山の話などを解説

木花咲耶姫,コノハナサクヤヒメ

コノハナサクヤヒメとはどんな神様か

 

コノハナサクヤヒメという神様は、竹取物語のかぐや姫のモデルにもなったといわれる、日本神話に出てくる国津神という神様です。

物語の中でとても重要な働きをする神様で、今の天皇家につながる神様です。

コノハナサクヤヒメは漢字で書くと

コノハナサクヤヒメは漢字で書くと、いくつかの表現があります。

  • 木花開耶姫
  • 木花之佐久夜毘売
  • 木華開耶姫

等々

コノハナサクヤヒメは桜の花とされる木花が咲いたように美しい女性と言う意味を持っています。

このように漢字の表記だけでも複数ありますが、実はコノハナサクヤヒメと言う名前自体が、本名ではなく別名と呼ばれています。

コノハナサクヤヒメを表す他の名前もご紹介しましょう。

コノハナサクヤヒメの別名

  • 鹿葦津姫/葦津姫(カヤツヒメ)
  • 神阿多都比売/神吾田津姫(カムアタツヒメ)
  • 酒解子神(サケトケコノカミ)

神様の名前はそれぞれ意味があって付けられています。

神阿多都比売(カムアタツヒメ)という名前は、コノハナサクヤヒメとは全く意味が違います。

所説はありますが、有力な説として、
当時日本がまだ一つの政権(朝廷)の下に服従していなかった時代、鹿児島のあたりに土着していた隼人族と呼ばれる先住一族がいました。

朝廷はその一族を平定するも、反乱をするのではないかという疑念があったため、その一族から姫をもらい、有力氏族にしたのではないかと言われています。

コノハナサクヤヒメのご利益・ご神徳

  • 農業
  • 海上安全
  • 航海安全
  • 安産・子授け
  • 火難除け
  • 機織り
  • 酒造繁栄

コノハナサクヤヒメはこの後に話をする、神話の中での物語から、様々なご利益・御神徳がある神様になりました。

コノハナサクヤヒメの神格

  • 山の神
  • 火の神
  • 酒造の神

コノハナサクヤヒメは父親である、オオヤマヅミが山の神であり、酒造の神であることから、それらの神として祀られます。

さらに、神話の中での、火の中での出産という物語から火の神としても祀られます。

コノハナサクヤヒメが祀られている神社・神宮

  • 富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市宮町1-1)
  • 浅間神社(山梨県笛吹市一ノ宮町一宮1684)
  • 静岡浅間神社(静岡県静岡市葵区宮ケ崎町102-1)
  • 箱根神社(神奈川県足柄下郡箱根町元箱根80-1)
  • 當麻山口神社(奈良県葛城市當麻1081)
  • 子安神社(三重県伊勢市)
  • 都萬神社(宮崎県西都市)
  • 木花神社(宮崎県宮崎市)
  • 高千穂神社(宮崎県西臼杵郡高千穂町)
  • 霧島神宮(鹿児島県霧島市)

その他全国の浅間神社等々

コノハナサクヤヒメの祀られている東京の神社

コノハナサクヤヒメの祀られている東京の神社の一部を紹介します。

  • 池袋氷川神社(豊島区池袋本町3-14-1)
  • 子安神社(八王子市明神町4-10-3)
  • 浅間神社(都内多数)

コノハナサクヤヒメと富士山・浅間神社との関係

コノハナサクヤヒメの名前が有名な神社と言えば、富士山頂に奥宮を奉る、富士山本宮浅間神社です。

浅間神社の主祭神が「コノハナサクヤヒメ」で、配神には、コノハナサクヤヒメの夫であるニニギノミコト、父のオオヤマヅミの神が祭られています。

富士山を頂く、浅間神社は古くから富士信仰の拠点になります。

そのため、諸説ある神社になり、元々はコノハナサクヤヒメが祭神ではなく、富士大権現、富士大菩薩、浅間神、浅間大菩薩と言う呼称で一般に信仰を集めていました。

その後、江戸時代の文献の中で、富士山がその昔活火山であったことと、コノハナサクヤヒメが火の神であったことから、富士山の主祭神の浅間大神はコノハナサクヤヒメの別称という表記も見られます。

 

また、富士山の美しい姿から、富士山に女神がいるということも昔から言われていたことから、後にコノハナサクヤヒメが祀られたとも考えられています。

コノハナサクヤヒメの物語

コノハナサクヤヒメはアマテラスオオミカミの孫のニニギノミコトと結ばれ、天皇家につながる子供を生むことになる、日本神話の中でも有名な神様です。

コノハナサクヤヒメの継続・関連する神

  • オオヤマヅミ(父)
  • イワナガヒメ(姉)
  • ニニギノミコト(夫)
  • 火照命/ホデリ(=海幸彦)(子)
  • 火須勢理命/ホスセリ(子)
  • 火遠理命/ホオリ(=山幸彦)(子)
  • 神武天皇(曾孫)

 

これらのように日本神話の中でも、天皇家にもつながる神様であるコノハナサクヤヒメの物語を見ていきましょう。

ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの出会い

アマテラスオオミカミ(天照大御神)オオクニヌシノミコト(大国主命)から国譲りで葦原中津国(今の日本)を治めることになります。

その治める神としてふさわしいと考えられて地上に降りた(天孫降臨)されたのがニニギノミコトという神様です。

天孫降臨後、葦原の中津国で国の経営をしていたニニギノミコト。

ある日、笠沙の岬を散歩しているときにとても美しい姫に出会いました。

その姫がコノハナサクヤヒメです。

あまりの美しさにニニギノミコトはすぐにコノハナサクヤヒメにプロポーズをします。

コノハナサクヤヒメはそのプロポーズについては父の神であるオオヤマツミノカミに確認をしますと伝えます。

オオヤマヅミがイワナガヒメも婚約をと申し出る

コノハナサクヤヒメから、ニニギノミコトに婚姻を申し込まれたとオオヤマツミノカミは聞くと、大喜びをします。

すぐに結婚を了承をしますが、ただコノハナサクヤヒメとの結婚を了承するだけでなく、コノハナサクヤヒメの姉であるイワナガヒメも一緒に嫁ぐことを申し出ます。

オオヤマツミノカミの配慮でコノハナサクヤヒメとイワナガヒメの姉妹二人がニニギノミコトの元を訪れましたが、ニニギノミコトはイワナガヒメをオオヤマツミノカミの下に返してしまいました。

理由はコノハナサクヤヒメとは違い、イワナガヒメは見た目が醜かったからです。

オオヤマツミノカミはそのことを受けて、ニニギノミコトにこのように伝えます。

「私がイワナガヒメを一緒に嫁がせたのは、コノハナサクヤヒメは美しい美貌を持っているが、桜の花のようにすぐに散りゆく(短い命)であるため、

イワナガヒメという、岩のように永遠の命を持つものを一緒に授けました。

しかし、それを断ってしまったため、ニニギノミコト様の子供は天津神のような永遠ともいえる寿命を持つことはできず、短い命になるだろう。」

こうして、神の子供ではあるが、天皇家は人間と同じような短い命になってしまったのです。

コノハナサクヤヒメの懐妊と誓約(うけい)・出産

そんな事件はありましたが、ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメは深い愛で結ばれました。

ある日ニニギノミコトはコノハナサクヤヒメから懐妊をしたと報告を受けます。

しかし、ニニギノミコトはそのことについてある疑いを持ちました。

それは、コノハナサクヤヒメとは一夜を共に過ごしましたが、その一夜で子供を授かったと言うのです。

ニニギノミコトはその子は自分の子ではなく、自分以外の国津神の子ではないかと疑うのです。

 

この疑いを受けたコノハナサクヤヒメは激怒します。

そして、この疑いを晴らすために次のように言います。

「そこまで言うのであれば、その疑いを晴らすために、産屋に火を放ちそこで出産をして見せましょう

天津神の子供であるのならば、どんな状況でも無事生まれます。そうしてその疑いを晴らします。」

 

コノハナサクヤヒメは宣言通り、産屋に入ったのち、その小屋に火を放ちます。

そしてごうごうと燃え盛る小屋の中で3人の元気な男の子を産むのです。

コノハナサクヤヒメが生んだ子供

コノハナサクヤヒメがご出産された三柱の子供は上から

  • 火照命/ホデリ(=海幸彦)
  • 火須勢理命/ホスセリ
  • 火遠理命/ホオリ(=山幸彦)

と名付けられました。

そして、3男であるホオリの孫に神武天皇がお生まれになるのです。

コノハナサクヤヒメと関りの深い神様についてはこちらで詳しくご紹介しています。

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