吉祥天のご利益/ご真言や祀られる神社/寺を紹介|有名な吉祥天女像も解説

吉祥天

吉祥天とは|福・美の神のご利益や真言をご紹介

吉祥天とは金運も含む様々な幸運を授けてくれるとされる天部という仏教の神様で、美女としても描かれ美の神様とも言われます。

「吉祥」という言葉自体が「幸運・繁栄を意味する語」ですので、その言葉がついた吉祥天は「幸運・繁栄の神様」となりますね。

さらに、吉祥天は「功徳天」とも呼ばれます。

「功徳」とは神仏のご利益を意味する言葉で、まさに拝むことで功徳を得ることができるという神様です。

吉祥天は弁財天の前の七福神

これほど良い名前であり、古くから信仰されてきた吉祥天は、日本で福をもたらしてくれる七福神の神様でもありました。

現在は琵琶を持つ弁財天が七福神の一柱ですが、この弁財天の前に吉祥天が七福神とされていました。

時に、七福神ではなく八福神と言って吉祥天を除かない場合もあります。

素晴らしい名前を持つ吉祥天とは、どんな神様なのか、またどんなご利益があるのか、さらに詳しく解説していきます。

吉祥天女像は仏像の中でも傑作

ちなみに吉祥天は信仰の対象である神様としても有名ですが、吉祥天の仏像「吉祥天如像」は日本で最も美しい仏像とも言われます。

古くから信仰された吉祥天ですので、日本にはたくさんの吉祥天の文化財があります。

今回はそれらについてもご紹介いたします。

吉祥天のご利益・ご真言

吉祥天のご利益は次のものがあると言われています。

  • 財運隆昌(金運や財運の向上)
  • 商売繁盛
  • 家内安全
  • 開運
  • 災難消除
  • 五穀豊穣

吉祥天は福徳神として祀られ、あらゆる開運のご利益(現世利益)があるとされ祀られてきました。

特に財運・金運に関わるご利益に関しての信仰で民間に慕われる神様です。

ちなみに、古くは朝廷から「国家安泰」のご利益があるとされ祀られてきました。

吉祥天のご真言(マントラ)

おん まか しゅりえい そわか

吉祥天のご真言を唱える効果

ご真言を唱えるだけで効果があるという人もいますが、唱えるからには正しく信仰をすることをおすすめします。

ちなみに、一般的に言われる吉祥天のご真言(マントラ)は唱えることで、金運・財運が向上すると言われています。

吉祥天の梵字

吉祥天 梵字 画像

吉祥天の梵字は「シリー」と読みます。

吉祥天の由来・吉祥天信仰について

吉祥天は神社で祀るところもありますが、元は仏教の神様の天部という神様でした。

仏教で神様とは?と思われた方は、仏教の神様を意味する天部という存在についてこちらで詳しく解説していますのでご覧ください。

天部とは|仏教の守護神、天部衆の神様の種類や信仰,有名な仏像を紹介

ここからは吉祥天の由来やこれまでの吉祥天信仰の歴史について簡単にご紹介をします。

吉祥天はラクシュミーというインドの神様が由来

先ほど吉祥天は仏教の神様と書きましたが、日本に入ってきたときは仏教の神様として入ってきますが、さらに古いところまで見ると、吉祥天はインドのヒンドゥー教聖典で描かれる神様でした。

ヒンドゥー教で描かれるラクシュミーという神様は、ヒンドゥー教で三大神とされるヴィシュヌ神の妻で、神話の中で描かれる女神の中でも特に美しい神様とされていて、富と豊穣・幸運を司る神様です。

インドでは仏教が成立する前から、インド神話が存在しており、仏教を説いた仏陀はこれらの神様は仏を守護する神様達(天部)と言って信者に仏教を説いたのです。

吉祥天のご利益は、このインド神話のラクシュミーのご利益をそのまま踏襲していることになります。

ちなみに、ラクシュミーは「シュリー」とも呼ばれ、偉大なという意味の「マハー」と合わせ、「マハーシュリー」とも呼ばれたそうで、その音訳として、摩訶室利(まかしり)とも表記されます。

他にも、吉祥天は「宝蔵天女」とも呼ばれます。

吉祥天は密教の経典では成仏をすると、吉祥摩尼宝生如来(きちじょうまにほうしょうにょらい)という仏教世界で最高位の「如来(=仏様)」になるというとても徳のある神様なのです。

奈良時代は吉祥天信仰が広まる

吉祥天が日本にもたらされた時は、仏教の中の神様としてもたらされました。

日本では奈良時代に吉祥天の信仰が広まります。

当初は国家鎮護のご利益という考えで、朝廷から厚く信仰されました。

吉祥悔過会(きっしょうけかえ/きちじょうけかえ)という、吉祥天を本尊に祀り、金剛明最勝王経(こんこうさいみょうさいしょうおうきょう)というお経を読経するという会が行われていることが文献に見られます。

奈良時代は朝廷において深く信仰された吉祥天は、平安時代頃に民衆でも広く信仰されるようになります。

吉祥天と弁財天や毘沙門天等他の神との関り

吉祥天は仏教の世界観の中で、四天王最強の神である毘沙門天(多聞天)の妻であり父に龍王、母に鬼子母神(きしもじん)という鬼・夜叉を、妹には黒闇天という疫病神がいます。

さらに、全く別の神様である弁財天と同一視されることもある吉祥天について、仏教の世界観ではどんな神様として描かれているのかもご紹介します。

吉祥天から弁財天に人気が移行

吉祥天は奈良時代から信仰が始まり、国家行事も行われるほど人気を得ました。

平安時代から鎌倉時代にかけて広く民衆でも信仰をされますが、近世(室町時代ごろ)からは、同じく仏教の天部という神様である弁財天の方が人気を得るようになります。

吉祥天は弁財天と同一視されることも

吉祥天も弁財天もどちらも美しい女神として描かれ、ともに財運・金運を高める神様としてのご利益で祀られています。

それらが原因なのか、吉祥天と弁財天は全く別の神様ですが、同一視されるようになり、最終的には弁財天がその人気を奪う形になります。

七福神信仰でも当初吉祥天だったのが弁財天に変わったとされます。

吉祥天は毘沙門天の妻

吉祥天と弁財天は経典の中で直接的に関る神様として描かれていませんが、吉祥天は家族のいる神様として経典で描かれています。

最も有名なのは、夫の毘沙門天(別称:多聞天)です。

毘沙門天との間には5柱の子がおり、その中でも有名な善膩師童子(ぜんにしどうじ)は御本尊に毘沙門天、脇侍に吉祥天・善膩師童子というセットで祀られることがあります。

吉祥天の家族で最も有名な神様としては毘沙門天がいますが、他にも日本で信仰される神様が吉祥天の家族として仏教の世界で説かれています。

四天王や毘沙門天(多聞天)について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

四天王とは|四天王像の見所や毘沙門天を含む仏教の守護神を解説

多聞天とは|毘沙門天と知られる四天王のご利益や仏像の有名寺院を紹介

吉祥天の系図

  • 徳叉迦(とくさか)(父)
    八大竜王という龍衆
  • 鬼子母神(きしもじん)(母)
    夜叉という鬼から福徳神になる
  • 黒闇天(こくあんてん)(妹)

吉祥天の母鬼子母神は子授かり/安産の神として有名

吉祥天の母の鬼子母神はインド神話では夜叉という鬼で500人の子供を持つと描かれます。

人間の子供をさらって食べる姿が見られる、災厄をもたらす鬼でしたが、如来がこの鬼子母神の子を隠して発狂する鬼子母神に、

「500人いる子供の一人がいなくなってそれだけ悲しいのなら、一人の子供しかいない人間はどう思うだろうか」という教えを受け、仏教に帰依して改心した後は安産・子宝の神様として祀られます。

吉祥天の妹黒闇天は厄病神として有名

吉祥天の妹は、醜い神様として描かれ禍をもたらす神様として描かれます。

密教においては、冥界の神の閻魔天の妻とされています。

しかし、黒闇天を福の神として祀る太田神社(東京都文京区の北の神社の摂社)のように福の神として祀るところもあります。

吉祥天女像|仏像や画像(絵)について

吉祥天 画像 浄瑠璃寺
(吉祥天女像 浄瑠璃寺蔵 鎌倉時代)

吉祥天は神様としても有名で人気ですが、仏教美術の世界の中でも有名で人気の存在です。

そんな吉祥天を描いた絵や仏像についてご紹介しましょう。

吉祥天像の像容

吉祥天像は中国の唐風の貴婦人の姿をした「貴人形(女神として描かれるので、天女形とも言う)」姿をしています。

その仏像の姿は、「大吉祥天女念誦法」や「陀羅尼集経」というお経の中で描かれていて次のような特徴を持つ仏像が一般的です。

  • 頭には宝冠を被る
  • 瓔珞(ようらく)という宝石などの装飾品を掛けている
  • 蔽膝(へいしつ)という中国の高貴な身分の女性が来ていた服を着ている
  • 左手に宝珠(如意宝珠)という願いを聞き叶えてくれるという珠を持つ
  • 右手は「与願印」という印を結んでいる

このような特徴を持っています。

ちょうど上記の吉祥天女像の姿がこれらの像容にちょうど当てはまっています。

吉祥天の印「与願印」

吉祥天 画像 印

吉祥天像の多くは右手が下に向いて正面を向いている、「与願印」というものをしています。

この吉祥天の印は、衆生に何かを与えるという意味を持つ印です。

すべてがこのような像容や印をしているわけではありません。

「国宝 吉祥天女画像」薬師寺蔵

吉祥天女画像 薬師寺

薬師寺の吉祥天女画像は国宝指定の吉祥天を麻布に描いたものです。

奈良時代の作で、美術的にも重要なものですし、宗教的にもとても重要な役割をしているものです。

上記で解説をした、国家行事である、吉祥悔過会にてこの絵のような吉祥天像を祀り国家の繁栄や五穀豊穣を願ったとされます。

「吉祥天女像」浄瑠璃寺蔵

上記で掲載しましたが、京都にある浄瑠璃寺の木造吉祥天立像は鎌倉時代の作で重要文化財にも指定されています。

この浄瑠璃寺の吉祥天立像が最も美しい仏像と言われるのは、すでに数百年も経っていながら、厨子(ずし)に入れられたまま保存されたため、当時の彩色がほとんどそのまま残っており、とても色鮮やかです。

日本の仏像で最も美しいとされる吉祥天立像の写真

吉祥天 画像 浄瑠璃寺

こちらが浄瑠璃寺の吉祥天立像です。

細部まで服の装飾が施され、彩色もそのまま残っているとても美しい仏像です。

吉祥天を祀る/像がある神社・お寺

吉祥天を祀る神社や画像、仏像を祀る神社・仏閣をご紹介します。

浄瑠璃寺(京都)|吉祥天女像の公開日に注意

京都にある浄瑠璃寺は四天王像でも有名なお寺です。

浄瑠璃寺の吉祥天立像は本堂の九体阿弥陀堂の厨子の中に安置されていますが、常に御開帳され見られるわけではありません。

開帳日は以下の通りですので、訪れる際は日程に気を付けてください。

  • 1月1日~1月15日
  • 3月21日~5月20日
  • 10月1日~11月30日

薬師寺(奈良)|吉祥天画像の公開日に注意

国宝の吉祥天の画が所蔵されている薬師寺で吉祥天画像を見たいと思っても、こちらも公開日が限られていますので注意が必要です。

薬師寺で吉祥天画像が見られるのは、吉祥悔過法要(修正会)が行われている間のみです。

吉祥天画像の原画が見られるのは毎年1月1日~1月15日までです。

参考:薬師寺の公式ページ

吉祥院天満宮(京都)|吉祥天女社

京都にある吉祥院天満宮の中にある、吉祥天女社では吉祥天が今もご祭神として祀られる神社です。

菅原道真公の父が遣唐使として唐に向かう船中、暴風雨にあって転覆しかけ吉祥天に無事を祈ったところ、天女が空から現れて暴風雨が静まり無事に帰郷できた後、天女像を自ら作成してお祭りしたのが吉祥天女社の始まりとされます。

菅原道真公誕生の地ともされ、境内にはたくさんの伝説の残る跡があります。

参考:吉祥院天満宮

清土鬼子母神堂(東京)

東京で吉祥天を祀るお寺で有名なのは鬼子母神をご祭神に祀る雑司ヶ谷の鬼子母神堂(※)の近くにある清土鬼子母神堂です。
※正しくは鬼の上の点がないものです。

鬼子母神が出現した場所とされる、現在の清土鬼子母神堂は現在では吉祥天を祀るお堂になっています。

住所:東京都文京区目白台2-14-9

吉祥寺(愛媛県)|吉祥天像をくぐると財運が向上する

お遍路さんが訪れる、四国八十八カ所霊場の一つである愛媛県胎蔵院吉祥寺は、御本尊が毘沙門天像です。

ここには「くぐり吉祥天女」という下をくぐり抜けると、貧苦を取り除き、富貴財宝のご利益にあずかれるという吉祥天女像があります。

参考:密教山 胎蔵院 吉祥寺

法隆寺(奈良)|吉祥天立像と毘沙門天立像が脇侍

世界最古の木造建築物で有名な法隆寺にも吉祥天像が見られます。

吉祥天像は金堂の須弥壇には平安時代に作成された吉祥天像が祀られています。

ご本尊の釈迦三尊像の左右に毘沙門天・吉祥天像が夫婦で配置されています。

この金堂では、須弥壇を守護する日本最古の四天王像(約1300年前の作)があり、日本の四天王像の中でも独特な貴人形というとても特徴的な仏像もあり、すばらしい場所です。

参考:法隆寺 金堂

福光園寺(山梨県)|吉祥天坐像があるお寺

山梨にある福光園寺では、全国でも珍しい吉祥天坐像という、吉祥天が座っている仏像があります。

全国で2体しかないとされ、とても珍しい吉祥天像は、特に女性が同じ願いを三回すると叶えてくださると言われています。

ちなみに、吉祥天坐像の脇侍には、四天王の内の夫多聞天持国天が安置されています。

参考:福光園寺公式ページ