祓詞(はらえことば)とは?原文や読み方+作法や意味や効果を解説

祓詞,はらえことば

祓詞(はらえことば)とは?【基本情報】

祓詞(はらえことば/はらへことば)は神社の神主さんが神事(儀礼)を行う前に唱える祝詞です。

今では、神棚に拝む際にも利用されるなど、祓詞は神道で利用される祝詞の中でも特に有名なものの一つと言えます。

祓詞は基本的に、祭儀に先立ちて読まれるもので、日々の生活で私たちが生む罪や穢れを払い、祭儀やお参りを清らかな状態で行うことを目的としています。

よく、祓詞と大祓詞を同じものとしている情報がネット上にはありますが、祓詞と大祓詞は違うものです。

祓詞は神道の中の重要な祝詞

祓詞は神道の中ではとても頻繁に利用される、重要な祝詞です。

皆さんが神社に神様をお参りに行く際に、御手水で手と口を清めるのと、祓詞は似た役割を持ちます。

祓詞はどんな意味を持つ祝詞?

祓詞を神主さんや信心深い方が神様を拝む際に唱えるのは、私たちを清めるという意味があるからです。

神道は神様を祀るもので、その神様の前に私たちが不浄な状態(罪や穢れを持つ)でお参りをしてはよくないと考えられています。

そのため、神様の前にいるにふさわしい穢れなどを祓った清らかな状態になるために、祓詞という祝詞を奏上し穢れや罪を祓うのです。

祓詞全文の原文・読み方・現代語訳

それでは、実際に祓詞を見ていきましょう。

まずは神前で唱えるのと同じ原文を見て、その後、現代語訳を見ます。

祓詞の原文の全文と読み方

祓詞の原文は「神社本庁作文」の中にあります。
原文は宣命書きというひらがなもすべて漢字になり読みづらいので、仮名混じり文をご紹介します。

掛けまくも畏きかけまくもかしこき
伊邪那岐大神いざなぎのおほかみ
筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原につくしのひむかのたちばなのをどのあはぎはらに
禊ぎ祓へ給ひし時にみそぎはらへたまひしときに
生り坐せる祓戸の大神等なりませるはらへどのおほかみたち
諸々の禍事・罪・穢もろもろのまがごとつみけがれ
有らむをばあらむをば
祓へ給ひ清め給へとはらへたまひきよめたまへと
白すことを聞こし召せとまをすことをきこしめせと
恐み恐みも白すかしこみかしこみもまをす
 

祓詞の現代語訳

祓詞の現代語訳は以下の通りです。

口に出してご尊名を申し上げるのも恐れ多い、
イザナギノ大神が、
筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で、
禊祓いをなされた時に、
お生まれになった祓戸の大神達よ、
様々な災難・罪・穢れが
ございましたら、
祓いお清めください
と申しますことをお聞き届けくださいませと、
畏れ多くも申し上げます。

祓詞訳の意味とは?

祓詞の訳を見て、古事記や日本書紀の物語をご存知の方であれば、お分かりだと思います。

日本、そして様々な神様をお産みになったイザナギノミコトという神様が、黄泉の国(死者の国)から帰ってきた後に、体の穢れを祓うために水で清めました。

その時に、アマテラスオオミカミツクヨミノミコトスサノオノミコト、その他たくさんの神様がお生まれになります。

その中に、瀬織津姫やその他3柱の神様からなる祓戸大神という私たちの罪や穢れを消し去ってくださる神様も生まれたとされます。(古事記や日本書紀ではその表記はありませんが)

その神様に、私たちの罪や穢れを祓ってくださいという意味を持つのが祓詞です。

ちなみに、この祓戸大神がどのように私たちの罪や穢れを取り払ってくださるのかは、大祓詞の中で具体的に描写されています。
参考:大祓詞(おおはらえことば)とは?原文・現代語訳・意味・効果を解説

祓詞の効果とは?

私たち日本人は言霊という言葉の力を信じる民族です。

祓詞もまた、その言葉に力(霊力)を持っていると信じられています。

そんな祓詞の効果とはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。

祓詞の効果:禊

祓詞の効果は、その役の中でも出て来たイザナギノミコトが禊を行ったのと同じように、私たちにまとわりつく災難・罪・穢れを取り払う、禊という効果があると考えられています。

祓詞はどう活用する?

祓詞を私たちの普段の生活の中で活用をする時は、大きく以下の場合になるでしょう。

  • 神社に参拝しお参りをする際
  • 神棚を拝む際

いずれにしても神前で、拝む際、自分の身を清めるという目的で活用します。

祓詞の唱え方・神棚等の奏上の作法

神社の参拝の方法に厳密な決まりは存在しません。

神社によって、それらが厳密に決められている事例も存在するようですが、神道という大きなくくりでは、決まりはなく参拝者の気持ちが重要であるというとらえ方をしています。

ここでは、一般的な祓詞の唱え方をご説明します。

手と口を清めた後、神前についてからは以下の流れで奏上するのが一般的です。

二拝(2回深くお辞儀)

祓詞(もしくは大祓詞)を奏上

二拝二拍手一拝

このように、いつもお参りをする際に行う二拝二拍手一拝の前に深く二回のお辞儀をしたのちに祓詞を読み上げます。

読み上げ方も特に厳密な決まりはありませんが、神職の方も実践しているように、一言一句を大事に、気持ちを込めて読むということが重要になるといわれています。

以下の動画ではとても丁寧に読み上げていますのでご覧ください。

祓詞を毎日読み上げる?

神職の方は、祓詞を毎日読み上げるとされていますが、私たちは毎日読み上げる必要はありません。

ただし、祓詞を唱え、毎日神前で拝む信心深いということは、とてもよいことと考えられています。

神棚、神社の神殿いずれにしても、皆さんが心を清らかに祓詞を読み上げることができるのなら行うのがよいでしょう。

一般人は唱えてもいい?

一般の人が祓詞や大祓詞を奏上していいのかと思われることがあるようです。

まず、唱えていけないことはありません。

ただ、神社の方の意見としては、唱えるときに熱心になりすぎて、立ち入り禁止の区域に入ったり、長い時間神前のど真ん中にいて周りの人の邪魔になるということはしないように、神社で唱える際は、端っこからでも問題はありませんので、周りへの拝領をして唱えましょう。

覚えにくい祓詞の覚え方・暗記法

祓詞は大祓詞に比べて短く覚えにくいこともないとは思います。

ちなみに祓詞も暗記して唱えるのが良いと考えられています。

そのため暗記をして唱えられるようにするためにも、覚え方でよかったものをご紹介します。

  • 祓詞の独特のリズムで覚える
  • 祓詞の言葉の意味、ストーリー、目的をとらえる

大祓詞の覚え方にも似ていますし、勉強で暗記科目を覚えるときとほとんど似ていますが、やはり、ただの文字の羅列として覚えるのはよくありません。

勉強や暗記法と同じで、人間の脳の作りからただの文字の羅列は覚えにくいものです。

難しい表現を使われたものなので、ストーリーやリズムを覚えるにも時間がかかると思いますが、今後長期的に唱えていくことを考えると、やはり、祓詞の独特の唱えるときのリズム、祓詞の意味をかみしめることが最も早く覚える方法です。

祓詞以外にも祝詞は様々な種類があります。
初心者の人が良い安い祝詞などをまとめた情報を見たい方はこちらをご覧ください。
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