天津神(アマツカミ)とは?意味を解説
天津神(アマツカミ)とは、
「高天原(たかまがはら)に住む神様」
「高天原(たかまがはら)から地上の葦原中津国に降りた神様とその子孫」
を表す言葉です。
そのほとんどの神様はイザナギノミコトとイザナギノミコトから生まれた神様で、現在の天皇家は天津神の子孫であられる存在です。
天津神(アマツカミ)の最も有名な神様と言えばアマテラスオオミカミ(天照大御神)ですが、その他にもたくさんの神様が天津神(アマツカミ)として存在しています。
天津神(アマツカミ)を意味する別の言葉
天津神(アマツカミ)という言葉は、他に天神(てんじん)という言葉でも表されます。
しかし、一般に言われる天神様という言葉には、この天津神(アマツカミ)という意味を成す以外にも、
- 菅原道真
- 雷神
と言った神様を意味することもあります。
天津神(アマツカミ)に対する国津神という存在
天津神(アマツカミ)という神様に対する神様を国津神と言います。
国津神(クニツカミ)という神様について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
参考:国津神とは?天津神との違いや様々な説・祀られる神社の豆知識も解説
国津神とは地祇(ちぎ)と言い換えられ、
天津神(アマツカミ)と国津神という神様を合わせて、「天神地祇」と言われます。
本当に日本には、八百万の神々と言って信仰の対象であるたくさんの神様を祀ってきましたが、その神様を分類する天津神(アマツカミ)と国津神という神様にはどのような違いがあるのか、見ていきましょう。
天津神(アマツカミ)と国津神の違い
天津神(アマツカミ)と国津神という存在は、簡単に分けられるものではありません。
というのも、元々は天津神(アマツカミ)であったが、国津神になった神様もいたり、天津神(アマツカミ)から生まれた国津神も存在するからです。
また、神様を天津神(アマツカミ)と国津神を分けるようになった由来は、日本の神話の裏にある、民族の違いというものも考えられています。
ここでは、少し詳細に天津神(アマツカミ)という神様について国津神という存在と比較しながら見ていきましょう。
天津神(アマツカミ)と国津神の違いを説明したものはたくさんあるが
様々な説が天津神(アマツカミ)と国津神の違いを説明しています。
特にネットが発達してからというもの、天津神(アマツカミ)と国津神の違いを自説を交えて説明する人が多くなったため、正しくないと考えられるものまでも広がっています。
天津神(アマツカミ)と国津神の違いは系統の違い
この説によくあるのは、イザナミノミコトやイザナミノミコトから生まれた神、アマテラスオオミカミのように高天原に住む神様は天津神(アマツカミ)で、
スサノオノミコトの系統は国津神というものです。
この説は一部正しく、全面的に正しいとは言えません。
イザナミノミコトやイザナギノミコトから生まれた神様でも、その後葦原中津国に住み国津神となるワタツミ(海神)等もいるからです。
天津神(アマツカミ)と国津神の違いは由来が自然か人か
このような説もありますが、これも全面的には正しいと言えません。
先ほども出たワタツミ(海神)やその娘の豊玉姫や玉依姫(タマヨリヒメ)も海の神様です。
しかし、国津神と呼ばれる神様に分類されます。
天津神(アマツカミ)と国津神の違いは一つの定義できないと言えます。
天津神(アマツカミ)と国津神の違いについては国津神がどのような神様であるかを知ることで理解が深まると思いますので、こちらをご覧ください。
参考:国津神とは?天津神との違いや様々な説・祀られる神社の豆知識も解説
天津神(アマツカミ)の代表の神様一覧
漢字名 | 読み仮名 | 生来 |
伊弉諾尊 伊邪那岐神 |
イザナギノミコト | 多くの神様を生む神代七代と呼ばれる神の一柱。 イザナミノミコトの禊からアマテラスオオミカミやツクヨミ、スサノオノミコトが生まれる イザナギノミコトについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。 イザナギノミコト(伊弉諾尊/伊邪那岐命)|イザナミノミコトとの神話や神社について |
伊邪那美尊 | イザナミノミコト | イザナミノミコトとともに国産みと神産みをし、日本という国や多くの神様の元となる神様 イザナギノミコトについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。 イザナミノミコト(伊邪那美命)とは|神社や神話のでのイザナギとの関りを解説 |
天照大御神 | アマテラスオオミカミ | 天皇家の祖神として、皇祖神と呼ばれています。 天津神を祀る神社の中心である伊勢神宮のご祭神 アマテラスオオミカミについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。 アマテラスオオミカミ(天照大御神)とは|伊勢神宮の神社史や神話の姿 |
天之御中主神 | アメノミナカヌシノカミ | 日本神話の天地開闢で最初に生まれる神様。 天津神の中でも別天津神(ことあまつかみ)という神様になる。 |
高皇産霊神 | タカミムスビ | 天之御中主神の次に生まれる別天津神(ことあまつかみ)の一柱。 |
邇邇芸命 瓊瓊杵尊 |
ニニギノミコト | アマテラスオオミカミの孫で、天孫降臨により葦原中津国に降臨し、天皇家の祖神となる。 ニニギノミコトについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。 ニニギノミコト(瓊瓊杵尊/邇邇芸命)とは?神話や系図から神社の情報をご紹介 |
この他にもたくさんの神様が天津神(アマツカミ)として存在します。
天津神(アマツカミ)と「別天津神(ことあまつかみ)」の違いとは?
先ほど見た天津神(アマツカミ)の一覧の中に、別天津神(コトアマツカミ)という神様がいました。
天津神(アマツカミ)が生まれる前に、さらに生まれた神様を別天津神(コトアマツカミ)と呼びます。
別天津神(コトアマツカミ)は
造化三神と呼ばれる
- 天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)
- 高皇産霊神(タカミムスビ)
- 神産巣日神(カミムスビ)
この三柱神と、
- 宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂ)
- 天之常立神(アメノトコタチノカミ)
この二柱の五柱神を表します。
別天津神(コトアマツカミ)は独神(ひとりがみ)と呼ばれ、夫婦の神の間から生まれた神ではなく、単独で成る神様で、性別はこの時点ではないと考えられています。
天津神(アマツカミ)の多くはこの後、神代七代が生まれ、イザナミノミコト、イザナギノミコトから生まれます。
天津神(アマツカミ)を祀る神社
天津神(アマツカミ)を祀る神社はたくさん存在しています。
その中でも特に有名なものを見ていきましょう。
伊勢神宮
伊勢神宮は太陽神であり、皇祖神のアマテラスオオミカミを祀る皇大神宮と、衣食住の神である豊受大御神を祀る神社です。
アマテラスオオミカミは天津神(アマツカミ)の中心的な神様であり、天津神(アマツカミ)、国津神を祀るそれぞれの神社の本宗の神社と明治時代に指定されたことから、今でも厚い信仰を集める神社です。
住吉大社
住吉大社は住吉大神と呼ばれる底筒男命(そこつつのおのみこと)・中筒男命(なかつつのおのみこと)・表筒男命(うわつつのおのみこと)という三柱と、神功皇后を祀る神社です。
天津神(アマツカミ)を祀る神社の中でも、住吉造りという独自の社殿の作りをしています。
宗像大社(むなかたたいしゃ)
宗像大社は最近世界遺産に登録されたことでも有名になりました。
ご祭神は宗像三女神というアマテラスオオミカミとスサノオノミコトの誓約(うけい)によって生まれた天津神(アマツカミ)です。
この他にも有名な天津神(アマツカミ)を祀る総本山の社殿に、伊弉諾神宮、霧島神宮といった神様が祭られた神社等が全国にあります。
天津神(アマツカミ)と国津神を祀る神社の違い
天津神(アマツカミ)と国津神の違いは神社でもあるのではないかと考える人もいると思います。
しかし、神社の拝殿の作り方の最も一般的な作り方である流造という、伊勢神宮の神明造りの流れを汲む建築様式は、天津神(アマツカミ)を祀る神社も国津神を祀る神社でも採用されているため、神社の建築様式で一様にどちらかとわかることはできません。