成道会とは|お釈迦様の悟りをお祝いする日
成道会とはお釈迦様が悟りを開かれた日に行われる法要です。
今回は成道会についてや、お釈迦様が成道された(悟りを開かれた)時の降魔成道という煩悩の悪魔(マーラ)とのお話などをご紹介いたします。
成道会の意味
成道会の意味は
- お釈迦様が悟りを開かれたことをお祝いする
- 悟りを開かれたことで多くの人を救ったお釈迦様に感謝する
と言われています。
世界三大宗教の一つと言われる仏教は発祥のインドだけでなく、アジアの広い地域で広く信仰され、また仏教とではなくてもその考え方に影響を受ける人達は世界中にいます。
すべてはお釈迦様が2500年ほど前に、菩提樹の下で悟りを開かれた(涅槃の境地に達した)ことに始まるもので、成道会はそれらを祝い、感謝するという日です。
悟り、つまり涅槃とは何かについてはこちらで詳しく解説しています。
涅槃とは|涅槃(ニルヴァーナ)の意味は苦しみの最高の境地=仏教のゴール
成道会は12月8日に
成道会は現在12月8日に、ほとんどの宗派にて行われる法要です。
仏教で特に重要視される3つの法要の一つで、他の二つは
という仏教行事です。
いずれも本来旧暦で行われていた法要ですので、寺院によっては1月ずれることがあるのですが、成道会はほとんどの寺院で12月8日で行われます。
ちなみに、成道会は「臘八会(ろうはちえ)」や「お悟りの日」とも言われます。
臘八会(ろうはちえ)とは、旧暦の12月の呼び方が臘月(ろうげつ)で、その八日に行われることから呼ばれるようになりました。
12月8日は真珠湾攻撃決行の日として、歴史に刻まれている日でもありますね。
仏教の重要な行事について詳しく知りたい方はこちらで詳しく解説しています。
涅槃会とは|お釈迦様の命日の法要とだんご・はなくそ等の由来を紹介
灌仏会とは|甘茶やお花等でお釈迦様の誕生日を祝う行事の意味を解説
曹洞宗等禅宗では成道会のまで臘八摂心を行う
座禅を組んで悟りを得たお釈迦様ですが、座禅による実践を説く禅宗の曹洞宗や臨済宗では、12月1日から成道会まで摂心会(せっしんえ)という座禅修行を行います。
成道会と摂心会を合わせて、臘八摂心(ろうはつせっしん)と言います。
座禅は最近アメリカ西海岸でマインドフルネスという言葉の流行りからも注目をされていますが、実際に科学的な効果があり多くの先進的な企業が導入しています。
禅宗の寺院では門戸を開放して、成道会、摂心会に参加できるようにしているところが多いようですので、興味がある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
成道(お釈迦様が悟りを開いた時)の話
成道とはお釈迦様が悟りを開かれたことを意味する言葉ですが、お釈迦様が悟りを開かれた時の物語をご紹介いたします。
6年間苦行するも苦しみから解放されない
お釈迦様は、王族の長男としてこの世に生を受け何不自由ない暮らしをしていました。
しかし29歳の時、「四門出遊」という逸話がありますが、老病死という人の人生に避けて通れない苦しみから逃れる方法とは何かに悩み、その解決策を見つけるために出家を決意します。
その後2人の修行者の元で修行をしますが、答えは得られず、自ら苦行によって苦しみを逃れる方法を探します。
苦行を止めスジャータから施しを受ける
6年もの苦行により、体がやせ細り衰弱したお釈迦様は、苦行による成道、人生の苦しみから逃れる方法を得ることは難しいと考えます。
そしてブッダガヤという地の尼連禅河(にれんぜんが)にて沐浴をし、その近くの村に住んでいたスジャータという少女から乳粥の供養を受け気力を戻され、川のほとりにあった菩提樹の下で座禅を組まれました。
降魔成道(ごうまじょうどう)
お釈迦様はその菩提樹の下で、1週間ほど座禅を組み瞑想されたと言われます。
その瞑想をしている一週間、お釈迦様の成道が近いということから、煩悩の化身マーラという悪魔がお釈迦様に様々な誘惑をします。
- 3人の美女による誘惑
- 武器による威嚇
等々、様々な煩悩(欲求)が悪魔の姿を持ってお釈迦様の成道を防ごうとしました。
しかしお釈迦様はそれらの煩悩という悪魔の誘惑や攻撃をものともせず、明けの明星を眺めながら、12月8日の夜明け頃についに涅槃の境地(悟り)に達したのです。
煩悩から解放され、解脱をし仏陀(ブッダ=悟りを得たもの)となったお釈迦様はこの世の苦しみから解放される方法を体得したのでした。
仏教の最も重要な教え三法印(四法印)
お釈迦様が悟りを得た後、49日間その快楽に浸り、そのまま完全なる涅槃の境地(この世の肉体から離れる)に入ろうとしました。
その様子を見ていた、梵天(この世の創造神)がその尊い教えを多くの人に伝え、救ってくださいとお願いをしたことで、お釈迦様は仏の教えを伝える旅に出ました。
八万四千の法門と呼ばれる、多くの教えをその生涯で説いたお釈迦様の教えの中で、最も重要な3つの教えを三法印(一つ足して四法印)と言います。
- 一切皆苦(いっさいかいく)→四法印で追加される
- 諸行無常(しょぎょうむじょう)
- 諸法無我(しょほうむが)
- 涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)
この世の苦しみから逃れるために知るべきこの世の真理(諸行無常・諸法無我)と
仏教が目指す究極の苦しまない境地(涅槃寂静)。
文字で見ると難しいことですが、理解してみるととてもシンプルなお釈迦様の教えだと気づかされます。
もちろんその実践がなかなか難しいのですが。
ちなみに成道会に参加すると、寺院によってはお釈迦様の悟りに関連した法話をしてくださることもあります。
ぜひ詳しくその教えを知りたいかたは足を運んでみてはいかがでしょうか。
成道会にて行うこと
成道会とはどんな法要なのか、寺院や浄土真宗や曹洞宗と言った宗派でも違いがあると思いますので、一定したものではないかと思いますが、一部ご紹介します。
曹洞宗や臨済宗のお寺にては、前述の通り、お釈迦様が座禅を組まれたように接心会という座禅を組みます。
浄土真宗や真言宗など他宗も含め、成道会にては僧侶の方の法話を聞き、お釈迦様が悟りを開く前に食した乳粥を仏像に献じた後、それを食します。(一般の方が頂けるかどうかは寺院にて変わります)
最近では成道会の日に寺院にてお釈迦様の教えを多くの人に聞いてもらうようなイベントをしている寺院もあります。
東京なら築地本願寺は有名かと思います。
仏教系の幼稚園や保育園では成道会に牛乳や乳粥が
一般的には寺院で行われる成道会は、仏教系の幼稚園や保育園でも行われ、そこでは牛乳や乳粥をお供えし、園児で食べる習慣があります。
仏教色の強い行事は寺院に行く習慣がなかったり、仏教系の学校などに行かないと触れることはありませんが、仏教の教えは実践による人生の幸せを得ることです。
難しく考えず、意外とシンプルな教えを聞きに参加できるものであれば一度参加してみてはいかがでしょうか。