灌仏会とは|甘茶やお花等でお釈迦様の誕生日を祝う行事の意味を解説

灌仏会

灌仏会とは|お釈迦様の誕生日を祝う

灌仏会とはお釈迦様のお誕生日とされる日にその誕生をお祝いする仏教の年中行事です。

イエスキリストの生誕祭であるクリスマスに比べあまり知られていないですが、日本に古くから根付く仏教の重要な日について今回は詳しくご紹介します。

※灌仏会は「かんぶつえ」と読みます。

灌仏会は2019年4月8日

灌仏会は毎年4月8日に行われるのが一般的です。

日本では旧暦の4月8日に行われていた灌仏会を、現行の新暦4月8日に行う寺院が多いですが、まれに5月8日に灌仏会を行う寺院もあります。

しかし、日本だけでも違いますが、世界ではさらに灌仏会に相当するお釈迦様の誕生日を祝う行事がいつ行われるかはバラバラです。

灌仏会がいつかは国によって変わる

日本で灌仏会が4月8日に行われていますが、そもそもお釈迦様の誕生日は明確ではありません。

お釈迦様の誕生日が日本に入ってきたのは中国を経由(北伝仏教)していて、中国の暦の上でのお釈迦様の誕生日が4月8日でした。

一方、インドの暦の考えを踏襲した宗派の南伝仏教(タイやミャンマー等)では2月15日に生誕祭であるウェーサーカ祭を行うところがあったり、仏教カレンダーにおける、ウェーサーカ月に当たる日(現行暦で4,5月になることが多い)に行うところもあるようです。

ちなみに日本ではこの2月15日はお釈迦様の命日に当たり、涅槃会を行います。

灌仏会同様、仏教では重要とされる、お釈迦様の亡くなられた日(入滅の日)に行う涅槃会についてはこちらで詳しく解説しています。

涅槃会とは|お釈迦様の命日の法要とだんご・はなくそ等の由来を紹介

灌仏会の「花祭り」等の通称

お釈迦様の誕生日にその生誕を祝う灌仏会という行事を知らなかった方も、「花祭り」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。

灌仏会にはたくさんの別称があります。

通称花祭りと言われる灌仏会は他にも次のように呼ばれます。

  • 降誕会(ごうたんえ)
    ※浄土真宗の親鸞聖人降誕会など、各宗派の開祖生誕祭でも利用されます。
  • 龍華会/竜華会(りゅうげえ)
  • 仏生会(ぶっしょうえ)
  • 浴仏会(よくぶつえ)
  • 花会式(はなえしき)
  • 仏誕会

灌仏会は英語では

灌仏会を英語で表現すると、南アジアや東南アジアのウェーサーカ祭を意味する、Vesakと表記されることが見られます。

もしくは、単純にBuddha’s birthdayと表現をしていることが多いです。

灌仏会の由来となるお釈迦様の誕生の話

キリスト教徒ではない方でも、イエスキリストがクリスマスの日にどのように生まれたかは何となく知っている方もいると思います。

一方、お釈迦様であるゴータマ・シッダールタが灌仏会にどのように生まれたのかは知らないという方も多くいると思いますので、ここでお釈迦様の誕生の逸話をします。

お釈迦様はお花畑で生まれる

お釈迦様は実在の人物で、西暦5.6世紀の当時インドにあった一つの王国の王子として誕生します。

お釈迦様を解任した母のマーヤー(摩耶夫人)は、出産のために里帰りをする旅の途中、ルンビニーと言う地にある花畑にて、右脇からお釈迦様を産んだとされます。

誕生直後7歩歩いたお釈迦様

お釈迦様は生まれてすぐに、自らの足で7歩進んだと言われます。

そして、7歩進んだお釈迦様は、右手は天を指さし、左手は地を指さして『天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)』と言葉を発したとされます。

灌仏会 釈迦誕生仏 画像

この7歩と発した言葉にはそれぞれ次のような意味があると言われます。

誕生後の7歩の意味

お釈迦様は後に悟りを開いて、仏教を説くようになると、人を含む衆生は輪廻転生を繰り返し、六道(天道/人間道/修羅道/畜生道/餓鬼道/地獄道)を行き来するとされます。

お釈迦様は人類で初めてこの輪廻から解き放たれ仏の世界(悟りの境地)に行くことになりますが、7歩目は六道を超える存在だということを意味するとされます。

天上天下唯我独尊という言葉の意味

実際に言っていないという議論もありますし、天上天下唯我独尊という言葉の意味に自体様々な解釈があります。

直訳で最も一般的に知られる意味は、「この世でただ私が最も尊い」というものです。

しかし、仏教の教えを説いたお釈迦様がそのようなことを言うとは考えられないということから、「この世では私たち人間は尊い存在だ」と理解したり様々な解釈があります。

※仏教では人間として生まれることは、様々な輪廻転生を繰り返すことで奇跡的なこと(有り難いこと)であり、自らの善行によって仏にも畜生にもなれるチャンスを得た存在であると考えます。

この解釈を詳しく知りたい方は僧侶の方、仏教学者の方の理解などを見てみてください。

お釈迦様の誕生を祝い龍が甘雨を降らせる

お釈迦様の誕生にまつわるもう一つの逸話は、この世で悟りを開く唯一の存在となるお釈迦様の誕生を祝い、龍神が甘雨(甘露とも言う)を降らせたという伝説があります。

この甘雨を降らせたのは、後にお釈迦様の説く仏法に帰依することになる、八大竜王の阿那婆達多(あなばだった)竜王と言われます。
※九頭竜(頭が9つある龍、もしくは9頭の龍とも言われる)

甘露は産湯にも使われたとされます。

いずれにしても、後の創作だとしてもお釈迦様の誕生は伝説の残されるものです。

灌仏会の行う事の意味や作法

灌仏会は先ほど見たお釈迦様の誕生の逸話から生まれた慣習などがあります。

灌仏会にまつわる様々な物事の意味をご紹介します。

灌仏会の甘茶の意味

灌仏会には甘茶を振舞ったり、お釈迦様の誕生仏と呼ばれる、右手は天、左手は地を指す像が祀られます。

これは先ほどの誕生時の「天上天下唯我独尊」と言った時のお姿とされ、ここに伝説の通り甘い雨を模した、甘茶をかけるようになりました。

灌仏会 甘茶 画像

昔は香湯や香水と呼ばれるものをかけていたようですが、江戸時代から甘茶をかけるようになったとされます。

灌仏会では甘茶が振舞われることも

寺院によっては、灌仏会でお釈迦様の誕生仏に注ぐ甘茶を飲むことができる寺院もあります。

甘茶を飲むことで、無病息災のご利益に預かれると言われたり、目につけると目が良くなると言われます。

また、甘茶で墨をすって習字をすると字がうまくなるや、甘茶の墨汁で「千早振る卯月八日は吉日よ、神下げ虫を成敗ぞする」と書いたものを玄関などに貼ると害虫が来なくなるという伝説もあります。

ちなみに実際の甘茶というものは、ユキノシタ科のアマチャという植物からできていて、砂糖は入っていない自然由来の甘さです。

漢方にも利用されていたこともあり、実際に健康効果もあるようです。
参考:養命酒生薬ものしり辞典

灌仏会の花御堂の意味

灌仏会は、先ほど甘茶を注ぐお釈迦様の誕生仏があると言いましたが、その誕生仏を安置する場所として、色とりどりの花で装飾された櫓のような花御堂というものが造られます。

この花御堂は、お釈迦様が誕生したルンビニーの花畑を表現しているとされます。

灌仏会の白い象の像

灌仏会では寺院によって白い象が見られますが、これはお釈迦様の解任をした際、お釈迦様の母マーヤー(摩耶夫人)の夢で、白い象が体の中に入っていったという逸話に由来されます。

灌仏会のイベント

灌仏会は、仏教関連のイベントの中では、最も開けたものの一つとも言え、多くの人が参加して楽しむことができるように寺院でも様々な趣向を凝らしているところがあります。

稚児行列

子供が参加して、稚児行列と言う白い象を引くなどのイベントを行う寺院もあります。

また、地域によっては灌仏会に食べ物(お餅など)をお供えする地域もあり、様々なイベントや様式があるようです。

小さな子供も楽しめるようになっていて、参加したらお菓子や食べ物をもらえるなど、灌仏会は堅苦しくないものですのでぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

灌仏会にイベントをする寺院を一部紹介

灌仏会が有名な寺院を一部ご紹介します。

灌仏会はイベント情報誌で見ることもありますし、寺院のイベントで堅苦しそうと思う人も、気軽に行くことができる雰囲気ですのでぜひ検討してみてください。

増上寺(東京都)の灌仏会

浄土宗七大本山の一つ、東京芝にある増上寺では、毎年大規模な灌仏会・花まつりが行われています。

甘茶を無料でいただけますし、増上寺の花御堂は大規模です。

増上寺の灌仏会は4月8日に行われます。

増上寺の灌仏会(花まつり)のご案内ページ

浅草寺(東京都)の灌仏会

東京の観光名所の浅草寺でも大規模な灌仏会が行われます。

浅草寺では仏生会や花まつりと呼ばれますが、花御堂や白い象、誕生仏に甘茶をかけるなどは同じです。

甘茶も無料で飲むことができます。

浅草寺の灌仏会は4月8日に行われます。

浅草寺の仏生会・花まつりのページ

東京の有名な寺院をご紹介しましたが、全国のお寺で灌仏会はお祝いされています。

京都・大阪・奈良の有名な寺院でも灌仏会はもちろんあり、甘茶を振舞ってくださります。

灌仏会は寺院によって日が変わっているため、どこでも4月8日ではありません。

参加される際は、行く先の寺院のページにて灌仏会がいつ行われているか確認をしてください。

灌仏会の歴史

灌仏会という行事の歴史について簡単にご紹介します。

灌仏会が日本で初めて行われたのは日本書紀にその記述に見られる推古天皇14年(西暦606年)とされたり、続日本紀に見られる清涼殿(宮中)で行われた承和7年(西暦840年)とされます。

日本書紀の方の記述では灌仏という言葉はなく、4月8日と7月15日に設齋。という表記があり、それぞれの日付が灌仏会、盂蘭盆会であることからこの時から行われているという説があります。

灌仏という字が出てくるのが、続日本紀だとされます。

ちなみに、ネット上では法隆寺が最初の灌仏会を始めたと書いていますが、法隆寺側でもそれは書いておらず間違いですので気を付けてください。(法隆寺の灌仏会(仏生会)は1119年からだそうです。)

日本ではかなり古くから行われてい来た灌仏会です。

この灌仏会が花祭りと呼ばれるようになったのは、お釈迦様がお花畑で誕生されたことを由来とすると言われたたり、人が集まりようにと東京の浅草のお寺などで呼び名を変えたなどと言われます。

このように歴史は古い由緒あるお祭りではありますが、お寺さんも多くの人に来て欲しいと考えているような行事です。

ぜひ皆さんも堅苦しいと考えずに一度寺院に足を運んで、日本の歴史や仏教の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

また、灌仏会を含む仏教で最も大事な行事とされる行事である涅槃会成道会というものも一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

それぞれについてはこちらで詳しく解説しています

成道会とは|12月8日にお釈迦様が悟りを開いたお祝いの日を意味

灌仏会とは|甘茶やお花等でお釈迦様の誕生日を祝う行事の意味を解説