大黒天とは|元は戦の神様という由来からご利益/真言,祀る神社/寺をご紹介

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大黒天とは|ご利益や奉る神社/寺をご紹介

大黒天という神様は豊穣の神様として、打ち出の小槌やふくよかな顔立ちなどからも、商売繫盛・金運を高めてくれるご利益で知られる神様です。

大黒天が意味する神様は

七福神は恵比寿様を除いて、大黒天様を含む他の神様は日本の神様ではなかったという豆知識をよく聞いたことがあると思います。

実際のところ、大黒天とは日本の神様と、インドのヒンドゥー教の神様が習合(同一視のこと)された神様で、元はインドの出身ではありますが、今の大黒天様の服装などのお姿はインドの神様の頃の面影は残していません。

ここでは、大黒天とはどんな神様なのかという話に始まり、大黒天様を祀る神社・お寺、そしてお参りする時のご真言の話などをしていきます。

大黒天の由来となる神様達

大黒天という神様は仏教によって日本に伝来しました。

そして、神仏習合(神道の神様と仏教の仏様/神様が同一視されること)を経て、今では神社でもお寺でも祀られるようになります。

大黒天は仏教の神様が元ではありますが、さらに元をただすと、インドのヒンドゥー教の神様なので、

インドの神様が

→仏教に取り込まれ

→神道と混ざり

→今の大黒天となる

と上記の流れになりますが、少し複雑ですので、簡単に順を追って説明をしていきます。

大黒天=シヴァ神|インドの神様でマハーカーラとも

インドのことを少し知っている方であれば、聞いたことがあると思いますが、インド人の80%が進行するヒンドゥー教のたくさんいらっしゃる神様の中でも、人気の高い「破壊と再生の神 シヴァ」という神様。

この神様が、大黒天の由来となる神様です。

シヴァ神が世界を破壊する時に、体中が真っ黒になり、世界は暗黒に包まれ、空中から炎をだし、顔は3つ、手は6本(色んな状態があります)となり、顔は怒りを全面に出した姿となります。

大黒天,マハーカーラ,

このお姿をマハーカーラと呼びます。

マハーは「大きい」、カーラは「黒」を意味することから、仏教に取り入れられ、中国語に訳されたときに大黒天となったのです。
※「天」というのは、仏教におけける神様「天部」のことを意味

天部について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

天部

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そして、仏教が日本に伝来します。

665年に役小角(えんのおづの)という人によって開かれた、大阪の大黒寺と言うところが日本では大黒天を祀った最初のお寺(日本最初の大黒天出現霊場)だと言われています。

また、真言宗などの密教では、大黒天は自在天の化身ともされます。

大黒天と大国主(オオクニヌシ)が同一視

大黒天は仏教を通じ、中国を通り日本に入ってくる中で、戦の神様としてだけでなく、財をもたらすというご利益でも崇敬を集めるようになります。

日本では、上記の大黒寺や、天台宗の総本山である比叡山延暦寺での大黒天信仰を皮切り、徐々に庶民へと広がっていきます。

仏教が広がる中で、日本古来の神道の神様と、仏教の仏様/神様は違う宗教だけど、同じ神様だという考えが生まれてきます。

このことを神仏習合や神仏混淆と言いますが、大黒天という仏教の神様は、日本の国造りを出雲の地から行い、縁結びや豊穣の神様として知られる、大国主命(オオクニヌシノミコト)と音読みで「ダイコク」が重なることから同一視されるようになります。

大黒天が七福神の一柱として広まる

そして、大黒天が民衆に大きく信仰を集めるようになる一助となるのが、七福神の一柱になったことです。

この七福神では、弁財天も大黒天と同様にインドの神様が仏教を経て、日本に伝わって、信仰を集めていますね。

七福神についてや弁財天様についてはこちらで詳しく解説しています。

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大黒天様と恵比寿様は親子の関係

七福神の7柱の神様を覚えている方は意外と少なく、特に大黒様恵比寿様が一般には知られていると思います。
(ちなみに、七福神は大黒天/恵比寿/弁財天(弁才天)/毘沙門天/布袋尊/福禄寿/寿老人)

大黒天と恵比寿と言うと、大黒天像と恵比寿像を神棚にお祀りする家庭もあるほど、”セット”のようになっていますが、実は上記の通り、親子関係にあるのです。

大国主と同一視されるようになったと説明しましたが、この大国主の息子に当たる事代主(コトシロヌシ)という神様は恵比寿様のモデルになった神様だと言われます。

恵比寿様について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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ちなみに、恵比寿様はヒルコ神(蛭子神)だとする神社もあるのですが、その場合、ヒルコ神は大黒天の義理の父(スサノオ)の上の兄弟になります。

大黒天の服装や小槌などの持ち物の意味・由来

大黒様 イラスト画像

上の画像の大黒天はイラストや大黒天像でもよく見る姿ですが、先ほど大黒天がインドのマハーカーラだった時からは大きく変わって来ています。

この持ち物にはそれぞれ意味・由来があり、それら衣装について詳しく解説していきます。

大黒天の打ち出の小槌

大黒天像は右手に打ち出の小槌を持ちます。

振れば欲しいもの・小判が出てくるとされ、富の象徴ともなるものです。

由来には諸説ありますが、恵比寿様が釣り竿を持って海の豊穣を意味し、大黒天様が小槌…こづち…つち(土)→五穀豊穣につながるということで、小槌を持っていると言われます。

左手に持つ袋には福がたくさん詰まっていると言われますが、この袋の由来は、因幡の白兎の逸話で大国主がウサギを助けたときに持っていた袋が由来とされます。

大黒様の衣装も大国主との習合から影響を大きく受けていると言われます。

大黒天像の中で足元に米俵があるものがありますが、それもまた豊穣を意味しています。

大黒天様を祀る神社・寺

大黒天は習合した結果、大国主が祀られるところでも、だいこく様

大黒天が祀られるところでもだいこく様 と祀られるようになり、多くの寺社で祀られます。

そこで、一部有名な寺社だけですが、ご紹介します。

神田明神(東京)

神田明神は大己貴命(オオナムチノミコト)と言い、大国主の別名でダイコク様を祀ります。(今回は大黒天についての記事なので、以下は大黒天で統一)

商売繫盛の神社として知られ、境内には大きな大黒天石像があります。

ちなみに、二ノ宮には、日本神話で大国主の国造りを手伝った少彦名命(スクナヒコナノミコト)が祀られます。
※ちなみに少彦名命も恵比寿様だという説があります。

詳しくはこちらをご覧ください。

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神田明神のHPはこちら

高台寺 圓徳院(京都)

京都東山の人気観光スポットのねねの道に面した、高台寺の圓徳院には、豊臣秀吉が天下人になるまで、肌身離さず持っていたとも言われる三面大黒天像があります。

三面大黒天というのは、正面に大黒天様のお顔、向かって左に毘沙門天、右に弁財天を配した像です。

日本でも最初期の大黒天信仰と言われる、比叡山延暦寺にもまた、三面大黒天像があります。

三面大黒天のご利益にあやかりたい方は、三面大黒天のお札、ご仏像もいただけます。

高台寺 圓徳院 三面大黒天

大黒寺(大阪)

日本最古の大黒天を祀るお寺です。

修験道の始祖と言われる役行者が開き、一度は空海の手によって、真言宗の修行場となります。

そして、曹洞宗のお寺となって現在に至ります。

1300年以上前の、正月甲子の日に作ったと伝わる、大黒天像が安置されています。

日本一の大黒天像のある中之獄神社(群馬県)

日本一の大きさ(高さ20m)の大黒天像がある、中之獄神社では、小槌を持たない大黒天像が祀られます。

大黒天が剣を持っているというのは、軍神だったこと、不動明王と大黒天が習合したなど、様々な謂れがあります。

ちなみに、こちらの大黒天像は笑みを含んだお顔ですが、同じく、珍しい件を持った大黒天像で、日本でも最初期の大黒天信仰の中心地だった比叡山延暦寺の三面大黒天像は険しい顔をした大黒天様です。

大黒天の縁日

大黒天様のご縁日は、大黒天が最初に出現したのが甲子だということで、甲子の日になります。

ご縁日には、普段は授与されない特別な大黒天のお札やお守りや御朱印をいただけたりすることがありますので、大黒天を祀る寺社にご確認ください。

大黒天の置物や絵、大黒天のお札をお供えする際は、神棚がある場合は、そちらにお祀りします。

ちなみに、恵比寿様と大黒天様を対で祀る場合は、左に恵比寿像、右に大黒天像という配置が、一般的な祀り方とされます。

大黒天のご真言・ご利益

大黒天は神社・お寺、いずれにしても、「豊穣」「富」というご利益がありますが、神社では出雲大社に祀られる大国主命の「縁結び」というご利益(縁を恋愛以外でも捉える)で知られます。

ご利益をまとめると以下のようになります。

大黒天のご利益

  • 金運・財運開運
  • 商売繫盛
  • 立身出世
  • 勝運・武運長久
  • 富貴栄達
  • 縁結び
  • 夫婦和合
  • 五穀豊穣
  • 医薬

等々

大黒天のご真言

大黒天をお参りに行く際、神社の場合祝詞をあげてお参りしますが、寺院で神様に祈る場合、この祝詞に当たるご真言(マントラ)を上げます。

これはお経のような長い言葉ではなく、短い言葉で、大黒天のご真言は

おん まかきゃらや そわか

(寺により若干の表記の違いは有)

こちらを一般的には7回読み上げます。(大黒天を祀るお堂に何遍読むかなどは説明があります。)

大黒天を意味する梵字

大黒天 梵字,ご真言,マントラ

「マ」と読む、こちらが大黒天の梵字です。

大黒天とねずみの逸話

大黒天の眷属(神様のお使いとなる動物)はねずみです。

神社は多くの場合、狛犬という獅子の姿をした動物が本殿正面の左右などに配置されていたり、稲荷神社で狐を見かけたりすると思います。

これらの動物は、その神社に祀られる神様のお使いとなる存在で神様によって狛犬ではない動物が配置されることがあります。

大黒天の眷属がねずみとなったのは、大国主がスサノオノミコトの娘と婚約をするために、いくつかの試練を乗り越えるのですが、その一つに火をかけた草原の中で生き抜くという話があります。

この時、火をかけた草原の中で、死にかけたところを、ねずみが地下に隠れるように案内をして助かったという逸話があります。

これによって大黒天とねずみの関係が生まれます。

大国主命の神話についてはこちらで詳しく解説しています。

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ちなみに、大国主命を祀る出雲大社では、眷属はウミヘビと夫婦円満の象徴でもある鶺鴒(セキレイ)です。

大黒天の紙幣(一円札)

明治に発行された紙幣には、大黒天を描いた、大黒札と呼ばれる、一円札があります。

この一円札はいまでも法律上は使えるそうですが、かなりプレミア価格が付いたものです。

こちらの大黒天像にもねずみが描かれています。

大黒天 ねずみ 紙幣 画像