菊理姫(くくりひめ)とは|縁結びのご利益や龍神/瀬織津姫等との説をご紹介

菊理姫-くくりひめ-菊理媛

菊理姫(くくりひめ)とは|謎多き縁結びの神

菊理姫(くくりひめ)は縁結びのご利益等で知られ、白山比咩神社を始め全国約3000社ほどで祀られる神様です。

多くの神社で祀られていますが、菊理姫(くくりひめ)は謎の多い神様で、日本の歴史を記した日本書紀の神話の部分では一文のみ登場し、あとは謎に包まれた神様です。

菊理姫(くくりひめ)は龍神と縁の深い神様と言われ、菊理姫(くくりひめ)を祀る白山神社総本宮である白山比咩神社のご神体「霊峰 白山」では龍神様の伝説などもあります。

またあまりに謎が多く、瀬織津姫や他の神様と同一視もされる神様です。

今回は菊理姫(くくりひめ)という神様について詳しくご紹介いたします。

菊理媛神(くくりひめのかみ)など別名・別表記

今回文中では、菊理姫(くくりひめ)と表記いたしますが、他にも様々な表記や別称があります。

菊理媛という字で表記は日本書紀で表記の漢字です。

ちなみに日本書紀の中では、菊理媛神(くくりひめのかみ)と書かれています。

神社によっては、

  • 菊理姫命/菊理媛命(くくりひめのみこと)
  • 菊理姫尊/菊理媛尊(くくりひめのみこと)

と表記されています。

また、菊理姫(くくりひめ)は

  • 白山比咩大神(しらやまひめのおおかみ)
  • 白山妙理権現
  • 白山神
  • 菊桐姫

と表記される神様ともされます。

菊理姫(くくりひめ)のお姿の画像

菊理姫(くくりひめ)のお姿を描いた絵の画像は白山比咩神社にあるものが有名です。

そちらの画像は以下のリンクから白山比咩神社のサイトに飛んで見ることができますのでぜひご覧ください。

白山比咩大神の画像 白山比咩神社の公式ページ

菊理姫(くくりひめ)のご利益

菊理姫(くくりひめ)は縁結びのご利益で知られますが、他にも様々なご利益で知られ、古くから信仰を集めてきました。

  • 縁結び(恋愛に限らずあらゆる縁を結ぶ)
  • 夫婦円満
  • 開運招福
  • 家内安全
  • 五穀豊穣
  • 大漁満足

等々、様々なご利益、御神徳があります。

菊理姫(くくりひめ)のご神格

  • 結びの神(和合の神)
  • 水神
  • 農業神
  • 山の神
  • 海の神

菊理姫(くくりひめ)の縁結びのご利益は神話由来

菊理姫(くくりひめ)が縁結びのご利益で知られるのは、日本神話でイザナギノミコト(伊弉諾尊)イザナミノミコト(伊邪那美命)という夫婦神の喧嘩を仲裁したという物語に由来します。

また、「くくりひめ」という名は「括る(一つにまとめる)」につながることにも由来するといわれます。

菊理姫(くくりひめ)の日本神話の表記

菊理姫(くくりひめ)は日本神話を記した日本最古の書物である古事記には登場しません。

日本の正史を記した最古の歴史書である「日本書紀」にその名前が見られます。

しかし、本文ではなく、「一書曰(いっしょいわく/あるしょにいわく)」から始まる、「別の資料を参考に」という追記的な文章において、たった一文だけ名前が見られます。

その部分までの流れも含め、菊理姫(くくりひめ)の日本神話の中の登場シーンをご紹介します。

日本という国をお産みになった2柱のイザナギノミコトイザナミノミコトは続いて神産みをされます。

山の神、海の神等々様々な神様をお産みになっていたのですが、火の神であるカグツチという神様を出産する際に女性器を大やけどしてしまいます。

そしてそれが原因でイザナミノミコトはお亡くなりになります。

イザナギノミコトはそのことを受け入れられず、黄泉の国(死者の国)に向かい愛する妻を連れ戻しに行きました。

イザナミノミコトは死者の国のある宮殿の中にいたのですが、イザナギノミコトはその宮殿の扉の前に行き、戻ってきて欲しいと伝えます。

しかし、すでに黄泉の国の食べ物を食べてしまい、戻ることができなくなったイザナギノミコトは帰ることはできないと伝えますが、熱心なイザナギの言葉に心動かされ、何とか戻れないか死者の国の神に話をしてくると言います。

イザナミはイザナギに対して、話がつくのを待っている間、「絶対に宮殿の扉を開けて、私の姿を見てはいけない」と伝えてました。

しかし、中々返ってこないイザナミにしびれを切らせたイザナギは扉を開けて中を確認すると、そこにはウジ虫が湧き生前の美しい姿からはかけ離れたイザナミの姿がありました。

その姿に恐れおののいたイザナギは逃げだします。

そのことに気づいたイザナミは約束を破り、(醜い姿となった自分を見られ)辱めを受けたことに激怒し死者の国から逃げようとするイザナギを追いかけます。

死者の国の住人である醜女(しこめ)に追わせ、死者の国の軍にも追わせますが逃げるイザナギは黄泉の国と生者の国(日本)の境にある泉津平坂(黄泉平坂)にたどり着き、千引岩という千人力でやっと引ける大岩でその入り口をふさぎます。

この後、イザナミとイザナギはすさまじい口論をし、イザナギはイザナミを連れ戻すことを諦めます。

ここは古事記や日本書紀で語られる最も有名なシーンです。

さて、菊理姫(くくりひめ)が登場するある説というのは、最後のシーンであるイザナギとイザナミが黄泉の国との境で口論をするところです。

黄泉の国の境で口論する2柱の神の間を、泉守道者(ヨモツモリビト)という黄泉の道の番人が「(イザナミ曰く)私はあなたと多くの国を産みました、どうしてこれ以上生むことを望むのでしょうか。私は黄泉の国にとどまり一緒に行くことはできません」と申し伝え間を取り持ちます。

このとき、菊理姫(くくりひめ)がイザナギに”あること”を申し伝えると、イザナギはそのことを聞いて菊理姫(くくりひめ)を褒め、立ち去ったというのです。

このようにイザナギとイザナミの口論の間に立ち、夫婦の喧嘩を納めたことから、「縁を結ぶ」、「和合」のご利益を持つ神様として祀られるようになったとされます。

是時、菊理媛神亦有白事、伊弉諾尊聞而善之。

日本書紀 神代上 一書

たくさんの神様の系図などを書いている日本書紀ですが、菊理姫(くくりひめ)についてはこの一文でのみ登場されています。

どのような神様で、どこから来られたのか、全く謎の神様です。

菊理姫(くくりひめ)の神話(ホツマツタヱ)

ちなみに菊理姫(くくりひめ)についての表記は、現在偽書に認定されている「ホツマツタヱ」という書物でも見られます。

ホツマツタヱは「ヲシテ文字」と言われる私たちの使う文字とは違う、神代文字で作成されたとされる文書で、昭和の神田の古本屋で突如見つかり、正史とされる日本神話とかなり内容が違います。

この書物において、菊理姫(くくりひめ)は同一視されるキクキリヒメ(菊桐姫)という名で登場されます。

菊理姫(くくりひめ)と白山の伝説

菊理姫(くくりひめ)という神様は、白山信仰との結び付きにより全国に広がったとされます。

石川県・福井県・岐阜県にまたがる日本三大名山である「白山」は古くから、農業に重要な水を生み、海に出る人達の目印となる山であると考える人達により農業・漁業など様々なご利益をもたらす神様として古くから崇められてきたそうです。

この白山において、次に見る逸話より白山信仰が生まれます。

白山信仰と白山菊理比咩神の伝説

白山信仰の始まりとされるのは、奈良時代717年の泰澄大師の開山です。

泰澄(たいちょう)は福井県の生まれで、神童と言われる特殊な力を持った人物です。

14歳で出家し、福井県の越知山(おちざん)で修行をしていて、超人的な力(持たないで物を動かすことができた等)を持っていたとされます。

泰澄は716年に夢の中で、白い馬に乗った女神が現れ、「私の本当の姿を見たければ、白山の頂上へ来なさい」というお告げを受けます。

この当時、誰も頂上へ上ったことがないという険しい山として知られた白山に弟子と共に泰澄は登っていきました。

登頂に成功し、頂上の近くにある「転法輪の窟(いわや)」で行を重ねた泰澄の前に、翠ヶ池から九つの頭を持った恐ろしい姿をした九頭龍が現れます。

泰澄はその龍を前にしても冷静に「このような恐ろしい龍の姿は白山の本当のお姿ではなく仮の姿だ。真のお姿をお見せください」と念じたところ、たちどころに九頭龍の姿から、美しい十一面観音菩薩が姿を現したそうです。

泰澄はこのお姿を見て、「ありがたい、このお姿こそ白山妙理権現(白山明神)だ」と考え、十一面観音菩薩像を手ずから彫って山頂にお祀りしたそうです。

時代を経て、この白山の神様(白山妙理権現とも白山比咩神とも呼ばれる)は伊弉冉尊(イザナミノミコト)であるや伊弉諾尊(イザナギノミコト)、菊理姫尊(くくりひめみこと)と考えられるようになります。

現在白山神社では菊理姫(くくりひめ)とイザナギノミコト、イザナミノミコトの3柱の神様を祀ることが見られます。

菊理姫(くくりひめ)と同一視・関わりの深い神

菊理姫(くくりひめ)という神様は上記の白山信仰が全国的に広がる中で、様々な神社で祀られるようになり、様々な考察がされるようになります。

「白山祭神考」等の書物でも、白山の神様は様々な神様であるという説が古くからあることをまとめていますが、現在知られる様々な説についてご紹介します。

菊理姫(くくりひめ)と龍神

菊理姫(くくりひめ)という神様は龍神である、もしくは龍神と関係の深い神様という考え方があります。

白山には龍神伝説があり、また水の神という菊理姫(くくりひめ)の神格は龍神様との共通でもあります。

龍神を祀る神社の多くでは龍神様のご利益に縁結びのご利益を挙げるところが多いということも共通点に挙げられますね。

龍神と縁の深い全国の神社や寺院についてはこちらでご紹介していますのでぜひご覧ください。

龍神の神社として有名な32社の関東/関西様々な寺社や場所をご紹介

菊理姫(くくりひめ)と瀬織津姫

日本の神社に祀られる女神の中で、菊理姫(くくりひめ)と同様に謎の多い神様として知られる神様に瀬織津姫と言う神様がいらっしゃいます。

瀬織津姫(せおりつひめ)という神様は大祓詞という神道の重要な祝詞にて、祓戸大神という罪穢れなどを祓う役割の神様として表記されます。

この瀬織津姫と言う神様と菊理姫(くくりひめ)と言う神様はいずれもスピリチュアルな説が多くある神様で、様々な説があるようです。

ただ、この2柱の神様のつながりが見られる神社として、元官幣大社で平安時代には皇室にとって縁の深く重要な神社とされた廣田神社(兵庫県)があります。

廣田神社のご祭神は、現在「天照大御神之荒御魂」という天照大御神(アマテラスオオミカミ)の荒魂(あらみたま)という荒ぶる面をお祀りしています。

この廣田神社のご祭神は以前は瀬織津姫であったことが文献でも見られます。

廣田神社は現在兵庫県西宮市の街の中にあるのですが、廣田神社の奥宮というご神体である神石をお祀りしているとされる六甲山神社という六甲山の山の上にある境外社があります。

この六甲山神社ではご祭神に菊理姫(くくりひめ)をお祀りしているのです。

瀬織津姫について詳しくはこちらで解説しています。

瀬織津姫とは|封印された龍神・弁財天とも言われる伝説の神様を解説

菊理姫(くくりひめ)と弁財天

菊理姫(くくりひめ)は白山信仰で、本地垂迹説(日本の神様は仏様の化身であるという考え方)に則ると、十一面観音菩薩様が本地(本来のお姿)であると考えられています。

一方弁財天はイチキシマヒメ(市杵島姫命)が本地垂迹説においてのお姿だとされます。

ただ巷では、菊理姫(くくりひめ)が弁財天と同一視される説があります。

これは瀬織津姫がイチキシマヒメと同一視する説からそこから菊理姫(くくりひめ)が弁財天と同一視されるようになったのではないかと考えられます。

菊理姫(くくりひめ)とイザナミノミコト

白山信仰で祀られる白山権現・白山明神と呼ばれる神様を祀る白山神社では現在、菊理姫(くくりひめ)、イザナギノミコト、イザナミノミコトの3柱をお祀りしています。

この白山権現という神様は、さら詳しく説明すると、白山三山(御前峰・大汝峰・別山)というそれぞれの峰から、白山を開山した泰澄の前に現れた3柱の神様を示し、白山三所権現と言います。

白山三所権現としては、それぞれの峰で次の神様を祀るといわれます。

御前嶽 白山比咩神(菊理姫)
大汝山 大己貴命(オオナムチノミコト)
大国主命(オオクニヌシノミコト)のこと
別山 大山祇命(オオヤマツミノミコト)
※山の神様

(参考:白山祭神考 鏑木勢岐著)

この泰澄の前に現れた白山権現はイザナミノミコトが他の姿となって現れたものだといわれます。

後に菊理姫(くくりひめ)が白山の神様だと言われるようにはなりますが、イザナミノミコトが白山の神様であるという説も古くから言われているそうです。

菊理姫(くくりひめ)を祀る神社

菊理姫(くくりひめ)を祀る神社の有名なところをご紹介いたします。

白山比咩神社(石川県)

白山比咩神社 画像

白山神社の総本宮にして、白山信仰の中心地が加賀一宮の白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)です。

「しらやまさん」と親しまれる北陸随一の大社です。

菊理姫(くくりひめ)をご祭神にお祀りし、現在では縁結びのご利益で全国的にも名高い神社です。

白山の御前峰山頂には白山比咩神社の奥宮があります。

白山比咩神社の公式ページ

白山神社の総本宮として、白山比咩神社が有名ですが、白山を開山した泰澄は白山比咩神社の他に、平泉寺白山神社・長滝白山神社も創建しているとされます。

平泉寺白山神社(福井県)・平泉寺

白山の神様を祀る平泉寺白山神社は、本来は平泉寺と同じでしたが、明治期に分離されます。

この平泉寺白山神社には、泰澄が白山の女神様にお会いしたという「御手洗池(みたらしいけ)」があります。

御手洗池は泰澄が白山を開山した1300年も前からその姿を変えず、体調が植えたという三又の杉のご神木が残る地です。

平泉寺白山神社のご本殿には昇り龍と降り龍が軒を支えていることがみられ、とても縁起の良いそのお姿は必見だそうです。

平泉寺の公式ページ

長滝白山神社(岐阜県)・長滝寺

古くは天台宗の末寺の長滝寺としてしられる修験場の大寺だったのですが、平泉寺白山神社と同様明治に神社と寺院に分離されます。

この地では体調が天皇の病気平癒を祈祷しその霊験により快癒したという伝説が残り、古くから白山の三馬場という登山口にある地として信仰を集めたとされます。

六甲山神社|廣田神社(兵庫県)の末社(大阪ではない)

六甲山にある六甲山神社は廣田神社の末社とされます。

廣田神社の創建は、神功皇后の三韓征伐の際、神功皇后へ大勝利を収めるご霊威を与えたという伝説に基づいています。

天照大御神のお告げもあり無事に征韓を果たした神功皇后は、天照大御神の荒魂を廣田の地にお祀りしたとされます。

この廣田神社の創建の際に、神功皇后がお祀りした神石が六甲山神社に祀られるという伝承があります。

廣田神社の公式ページ

白山神社(東京都)|あじさいの名所

文京区に菊理姫(くくりひめ)とイザナギノミコト、イザナミノミコトを祀る白山神社があります。

東京十社めぐりの一社でもあり、古くからある神社です。

紫陽花の名所で、都内の中ではかなり紫陽花がきれいに見れる神社です。

白山神社の公式ページ

菊理姫(くくりひめ)にまつわる説・伝承

菊理姫(くくりひめ)という神様については、今もスピリチュアルな説が多いのですが、古くから日本では菊理姫・白山権現は多くの学者がその神様についての考察をしてきました。

今様々な説が語られる菊理姫(くくりひめ)について、どのようなものがあるのかご紹介いたします。

高句麗姫が菊理姫(くくりひめ)の起源

菊理姫(くくりひめ)という神様が白山比咩女神とされるようになった由来は実はあまりはっきりしていません。

そのため古くから様々な説があるのですが、その一つに高句麗姫という朝鮮半島からやってきた神様を泰澄がお祀りしたという説があります。

これの説の根拠の一つに泰澄は渡来人の子孫だという説があります。

そもそも日本の神社には新羅神社と言い、渡来人の集落に創建された神社があったりします。

そのため、日本の神社で朝鮮由来の神様や、朝鮮の王族がお祀りされるということ自体は怪しい説でもなんでもありません。

高句麗姫(こうくりひめ)という言葉がなまっていき、くくりひめ・きくりひめと読むようになったと言う説が菊理姫(くくりひめ)をまつる白山比咩神社にはあります。

参考:新羅神社考 出羽弘明 三井寺

これらについては専門的な学者の本を読んだりする方がご理解も早いと思いますのでおすすめします。

また、菊理姫(くくりひめ)と朝鮮の神様とのつながりについては他の説もあります。ただしこちらは人権的に今ではあまり触れない方がよい説でもありますので、割愛いたします。

菊理姫は9月9日がご縁日か

菊理姫(くくりひめ)のご縁日は”くく”から9月9日と考える方もいるそうです。

ちなみに白山比咩神社ではご縁日は18日としています。

泰澄の白山開山が旧暦の6月18日であることや、観音様のご縁日が18日と言うことから由来しているようです。