春分の日とは|2020年は3月20日
春分の日とは
春分日:自然をたたえ、生物をいつくしむ。
出典:国民の祝日に関する法律
このように法律て定義される日本の祝日です。
日本では春のお彼岸と言いお墓参りをする文化があったり、古くは農業の豊作に関わる重要な日ともされてきました。
春分の日は日本以外でも、世界の多くの地域で重要視されてきた日で、西洋占星術の元旦であったり、インカ帝国など優れた天文学を持った人々の建築の中でも春分の日に合わせた技巧が見られます。
今回は、そんな意外と深い意味を持つ春分の日の意味や、春分の日にお墓詣りをする春彼岸という文化についてなどを詳しくご紹介します。
春分の日の意味
先ほどは「祝日としての春分の日の意味」をご紹介しましたが、春分の日はそもそも、二十四節気という一年を太陽の動きによって24の節気に割り農耕や生活に役立てていた暦の日でもあります。
春分とは約15日の期間(=節気)を意味する言葉で、春分の日はその節気の初日に当たります。
この春分を暦の本でどのように定義しているのか、意味をご紹介します。
この日は太陽が赤道上を運行し昼と夜を等分に分かち長短無きため春分と言い古書には玄鳥至雷発聲云々とあり燕が見並から帰ってきて雷鳴を聞くこともあると言われ、この頃東方より吹く風を明庶風と呼び春分の日にこの風が吹けば五穀よく熟して宝年になると言われている。
出典:歓喜宝暦 神霊館 榎本書店
このように定義されます。
春分の日は生活にとって最も重要だった農耕を始める日として古くから重要な日されてきました。
春分の日が祝日となった由来
古くから重要な日だった春分の日とはいえ、春分の日が休みとなったのは春分の日に行われる宮中祭祀の一つ、「春季皇霊祭」という皇族の祖霊を祀る儀式があり、祝日とされたのが名前を変えて今にも引き継がれているそうです。
ちなみに現在でも春季皇霊祭は皇居内の皇霊殿行われています。
春分の日の決め方
上記で少し見ましたが、春分の日がいつになるかは太陽の位置によって決まります。
そのため、太陽の位置を計算して春分の日がいつか決定されるのですが、
祝日としての春分の日は前年の2月1日(休日ならその後の平日)に国立天文台から出される官報を公表することで決定しています。
春分の日の決定に関わる太陽の位置のことについて簡単にご紹介します。
春分点と太陽の位置の話
春分の日となるのは、春分点という太陽の通り道(黄道)と地球の赤道の上空(天の赤道)が交わる場所に太陽がくる点にやってきた日となります。
春分点は黄経0度の位置を言い、360度ある黄経で、最初の位置にあることから、古くから様々な点で重要視されてきています。
春分の日は2021年は3月20日と計算できる
春分の日は、太陽の周りをまわる地球のスピードから計算して、何年も先まで計算することができます。
しかし、この計算結果も地球の運行状況によって変わるようです。
ちなみに2021年の春分の日は3月20日になり、今年と同じですが、2019年の春分の日は3月21日でした。
春分の日が重要視される理由を理解するためにも、春分の日の太陽の動き方について少しご紹介します。
日の出が真東、日没は真西に
春分の日は日の出が真東から、そして日没は真西に沈む日です。
そのため、太陽の出ている時間(昼)とそうでない時間(夜)がちょうど半々に分かれていて、春分の言葉の語源にもなります。
※実際は太陽の日の出、日の入りの観測結果が大気の存在によって昼が長くなるそうで、本当に半々になるのはその約4日前にずれます。
太陽の日の出が真東で日没は真西となるのは春分の日以外に、秋分の日があります。
春分の日と秋分の日
秋分の日は春分の日と太陽が同じ動き方になります。このことから次に見るお彼岸には春彼岸と秋彼岸という二つのタイミングが生まれます。
秋分の日も同様に、日本では重要な日とされ、仏教が伝来してからは秋のお彼岸であり、農業においては豊作を祝う日とされます。
お隣の中国では豊作の日と呼ばれるようになったそうです。
春分の日と立春
春分と似た名前で立春という日がありますが、この日は2月4日前後を意味します。
立春はこれから春になっていくという意味で、二十四節気ではこの日から春としています。
立春についてはこちらで詳しく解説しています。
また二十四節気についてはこちらで詳しくご紹介しています。
春分の日とお彼岸
「暑さ寒さも彼岸まで」と春分の日は、春彼岸としても知られる日です。
春の彼岸の彼岸とは元は仏教の考え方に由来します。
お彼岸(ひがん)とは
お彼岸という言葉は仏教用語で、涅槃寂静と言う仏教の最終的な目標である、「煩悩から解き放たれた悟りを開いた人が至る三途の川を渡った場所」の「彼岸」のことです。
この彼岸という仏様のいる極楽浄土は、お釈迦様の入滅のお姿から「西方浄土」つまり仏の世界は西にあると考えられるようになります。
太陽が真西に沈む様子から、仏様がいらっしゃる西方浄土への思いを馳せるお彼岸が生まれたと言います。
お彼岸の意味や由来についてはこちらで詳しく解説しています。
お彼岸とは|意味やお彼岸にすること,お彼岸のいつするかなど解説
春分の日にお彼岸と言いお墓参りするのは日本独自の文化
仏教はインドを発祥として、中国・朝鮮半島、東南アジアと多くの地域で信仰されていますが、お彼岸の行事は日本独自と言われます。
仏教が伝来した後、日本に土着の信仰との融合によって現在に伝わるお彼岸になったと言われます。
真西に日が沈んでいく春分の日と秋分の日は、西方浄土の考えとつながり、あの世(彼岸)とこの世(此岸:しがん)が近づき先祖の霊を迎え祀る日となったと考えられています。
春分の日のお墓参りの意味
ご先祖様のいらっしゃるあの世(彼岸)が近くなると考えるお彼岸は、普段お墓参りに行くのと同じように先祖への見守っていただいている感謝の気持ちをお伝えするものです。
その歴史は一説には聖徳太子の時代からとも言われる文化です。
大事にしていきたいものですね。
お彼岸のお墓参りについてはこちらで詳しく解説しています。
お彼岸のお墓参り|意味やいつ墓参りに行くのかや服装/お供え物等を解説
春分の日はお彼岸の中日
春分の日とお彼岸についてはご紹介しましたが、お彼岸についてもう少し詳しくご紹介します。
お彼岸というのは、春分の日と秋分の日の前後3日間を加え、7日間続きます。
春分の日と秋分の日の三日前に彼岸入りといい、寺院などでは彼岸会がはじまり、三日後に彼岸明けと言ってお彼岸の最終日になります。
春分の日と秋分の日はそれぞれお彼岸の中日と言い、この日に先祖様の追善供養をすると言います。
寺院では、この前後の6日を含め彼岸会という法要を行います。
春分の日前後6日間がお彼岸であるとする由来は、お釈迦様が説いた悟りの境地に至るための具体的な行動を意味する六波羅蜜(ろくはらみつ)に由来します。
六波羅蜜とは、以下のことを言います。(簡単な解説付)
- 布施(ふせ):人のために善行すること。ほどこすこと。
- 持戒(じかい):自らを戒め生活すること。つつしむこと。
- 忍辱(にんにく):困難に耐えて生きること。しのぶこと。
- 精進(しょうじん):最善を尽くし努力をし向上心を持ち続けること。はげむこと。
- 禅定(ぜんじょう):心を落ち着け、動揺しないこと。しずけさを保つこと。
- 智慧(ちえ):心理を見極め、真実を見抜く心眼を養い知恵に溺れないこと。学ぶこと。
仏教ではご先祖様を供養すると考える日であると共に、自らの普段の生活を見直し、自らを改める一つの機会として考えるとされています。
春のお彼岸(春彼岸)についてはこちらで詳しく解説いたします。
また、六波羅蜜という教えについてはこちらで詳しく解説しています。
六波羅蜜とは|波羅蜜の意味と共に布施,持戒,忍辱,精進,禅定,智慧を解説
春分の日にまつわることについて
春分の日の行事はお彼岸が有名ですが、他にも春分の日、春分にまつわるもの事についてご紹介していきます。
春分の日の食べ物
春分の日の食べ物としては、お墓参りした際や、お仏壇にお供えとしてぼたもちをお供えすると思いますが、このぼたもちは春分の日にちなんだものです。
ぼたもち(牡丹餅)
お餅をあんこで包み、そこにきな粉などをまぶしたりする和菓子がぼたもちです。
ぼたもちは牡丹餅と書きますが、これは牡丹と言う春に花を咲かせ、百花の王とも言われる幾重にも重なる花が魅力の花に由来します。
写真を見て、おはぎと見た目が全く同じではと思った方もいると思います。
実はぼたもちとおはぎは本来同じお菓子です。
同じ和菓子で名前の違いが出てきたのには季節による違いがあります。
おはぎは春分の日ではなく秋分の日
和菓子屋さんなどに行くと、あんこに包まれたお餅の和菓子を「おはぎ」と呼ぶお店が多いと思います。
おはぎとぼたもちは基本的には同じものですが、春分の日には牡丹の花にちなみ牡丹餅(ぼたもち)、秋分の日は秋の花である萩にちなみ御萩(おはぎ)と呼んだそうです。
お彼岸とおはぎ、ぼたもちの話やおはぎとぼたもちの違い等についてはこちらで詳しく解説しています。
お彼岸のおはぎ,ぼたもちの理由や由来|おはぎとぼたもちの違い等解説
五月人形の飾りだし
春分の日の伝統的な行事の一つに、五月の節句で飾る兜などの五月人形を飾りだす日というものがあります。
最近ではそこまで早くから端午の節句の準備をしている家庭もないと思いますが、春分の日から飾り付けをするのが良いと言われます。
春分の日にしないといけないわけではありませんので、焦ることはありません。
桜始開と言うも花見には少し早い
二十四節気の春分をさらに5日毎に分けて、一年を72の候に分けたものを七十二候と呼びます。
この七十二候は、季節によって姿を変える自然の姿を名前にしてそれらを候と呼ぶのですが、春分の2番目の候は「桜始開(さくらはじめてひらく)」と言い、春分から5日したころから桜が咲き始めます。
まだこの時期は、花冷えと言い寒さが強くなったり、桜もまだ咲き始めで見頃ではありませんが、春の到来を感じる季節です。
春分の七十二候
ちなみに春分の七十二候は次の3つです。
- 初侯:雀始巣(すずめはじめてすくう)
雀が巣を作り始める時期とされます。 - 次候:桜始開(さくらはじめてひらく)
桜が咲き始める頃で、ここから一週間もすると日本の多くの地域で桜が見頃です。 - 末候:雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)
大気が不安定となり春の嵐とも言いますが、雷が鳴り始めます。
春分の日や春分の間の実際の気候
春分は二十四節気の春ど真ん中の節気となりますが、まだまだ寒さが強まることもあります。
三寒四温とも言いますが、寒さが急に戻ってくることがあり、2018年には春分の日に雪が降ったこともあります。
春分の日は春らしく暖かくなる日もあり、外に出てイベントなどにも出かけることもあると思いますが、服装は注意しないと季節の変わり目でかなり風邪をひきやすくなると思います。
春分の日は西洋占星術の元旦で重要な日
春分の日は日本でも人気の十二星座を中心とした、西洋占星術の世界では、元旦と考えられています。
東洋の占いは立春を一年の最初と考え、実際の元旦が新年の始まりではないと考えるのと同じように、新年がずれます。
西洋占星術では春分の日を宇宙元旦とも言い、上記で説明したように太陽の位置が黄経0度と最初に戻ることから重要視されてきました。
日本でなら元旦に新しい服や下着を下ろしたり、その他新調をして、新年真新しいスタートを切るという伝統的な家庭もあると思いますが、西洋占星術の上ではその日が春分の日となります。
そのためもの事の始めるのに良い日とも言われますが、そういった占いの話や、スピリチュアルな説に関しては、専門の方の本などをご覧ください。
春分の日の英語表現
春分の日は英語では「Vernal Equinox」と言います。
この日は多くのキリスト教徒の多い国では、イースターを計算するための基準の日となり、3月21日固定になる国もあるようです。
ちなみにVernalというラテン語は「Ver=Spring」を意味するそうで、北半球にのみ当てはまり、南半球ではこのように言わないことに対して、疑問を提起していました。
上記のことから南半球の季節でVernal Equinoxに当てはまるのが、北半球の秋分の日であることから、南半球の英語圏の国では春分の日をMarch equinor、秋分の日をSeptember equinorと呼ぶようです。