立春大吉とは|意味・お札の貼り方/貼る場所を解説(鎮防火燭のお札も)

立春大吉

立春大吉の意味とは|お札の貼り方など解説

立春大吉とは「立春大吉はがき」や寺院や民家の軒先に「立春大吉のお札」などに見られる言葉です。

それぞれ若干意味するものが違ったりする点もあります。

今回は、まだまだ寒いですが、暦の上では春を意味する立春にまつわる言葉の意味をご紹介します。

立春大吉という言葉の意味

立春大吉という言葉の意味は、

「暦の上での春であり、古来は新年の始まりであった立春に、人々や社会の幸せを祈る」言葉とされます。

元旦によく見る「謹賀新年」という言葉に似たような意味をもちます。

また、後に立春大吉のお札の段で詳しく見ますが、立春大吉は除災招福の意味を持ち、とても縁起のよい言葉です。

立春大吉を年賀状の後のはがきに

立春大吉はがきと言って、立春の日に年賀状のようにその一年の幸せを願うはがきを送る習慣があります。

立春の日は明治で新暦が採用されるまで、一年の始まりと考える習慣があり、現在の年賀状のような意味合いで立春大吉はがきを送ります。

喪中で年賀状を送れない人や、年賀状を送っていなかった人への返送に寒中見舞いをお送りすることは知られます。

この寒中見舞いは、二十四節気において、小寒~大寒に送るのが良いとされ、もし立春の日を超えて寒中見舞いも送れなかった場合は、寒中見舞いではなく、立春大吉はがきを送るのが良いとされます。

ちなみに2020年の立春は2月4日です。

立春の日と立春大吉の関係

最近ではあまり街中では見ないようになりましたが、立春大吉のお札を立春の日に門に貼る家や寺院があります。

これは先ほども説明した除災招福(厄除招福)の意味ですが、なぜ立春大吉がそのような意味を持つようになったのかご紹介します。

立春大吉のお札の意味

立春大吉のお札は、鎮防火燭のお札と共に立春の日に掲げて、家の敷地に魔が入ってこないようにする意味があります。

立春大吉と節分の関係

立春大吉のお札を立春に掲げるのは、立春の前日である節分とも関係します。

立春という、季節の変わり目には邪鬼が発生すると考えられています。

立春や立夏・立秋・立冬等季節が変わる前の18日間は、陰陽五行説において土性が支配し、土用の日と言われています。

古くからこの時期は万物変化が激しく不吉で、邪鬼が発生すると考えられていました。

このことから節分で豆をまいて悪気邪鬼を追い払うようになるのですが、立春大吉も同じように立春という季節の変わり目に、その邪鬼を追い払うために門に貼るようになったそうです。

お正月飾りしめ飾りをして家に魔や厄災が入らないようにする風習は日本各地で見られますが、その立春版と言えます。

立春大吉の縁起は曹洞宗をもたらした道元

「立春大吉」という言葉は禅宗の曹洞宗を日本にもたらした道元と言う鎌倉時代の偉いお坊さんの書から由来するとされます。

道元禅師がお正月をお祝いする「立春大吉文」という書の法語が縁起だと言います。

その中では、お坊さんの行動で大吉の事などが書かれていて、一説に「立春は大吉」と書いていて他にも十五の縁起の良いもの事を記しています。

では、本来縁起が良いという言葉だった立春大吉がなぜ厄災を防ぐお札にかかれるようになったのか、その縁起は次のような説話に由来すると言われます。

立春大吉のお札の説話

ある時鬼が悪さをしようと家に入りこもうとしました。

その時、「立春大吉」という言葉の書かれたお札が貼られた門をくぐったのですが、鬼がふと後ろを振り返ると全く同じ「立春大吉」の文字の書かれた門を見ます。

立春大吉という文字は左右が対象で、縦書きにすると表からも裏からも同じように見えます。

立春大吉 画像

一度くぐったものの、まだ入っていない家があると勘違いしてそのまま門をくぐって鬼は外に出ていったそうです。

こうして、立春大吉は邪気を追い払う縁起の良い言葉として門に貼るお札になったのです。

現在では、寺院で立春の日に読経祈祷の後、立春大吉の文字に三宝印を推した護符を授与していただきます。
※立春大吉のお札は自分で書いても良いとも言われます。

お正月のしめ飾りに蘇民将来という言葉を書いていることで、除災招福になると言い伝えられているものもありますが、はこのような説話から今でも生活に深く根差した文化が見られますね。

立春大吉のお札の貼り方や貼る場所

立春大吉のお札は元は曹洞宗の寺院やその檀家さんの家に貼る習慣があったものですが、現在では宗派を超えて様々な寺院で見られます。

東京の観光名所の浅草寺でも立春大吉の風習に倣って、除災招福の「節分・立春札」を授与しています。

この立春大吉のお札を貼る場所や、貼り方について注意点をご紹介します。

立春大吉のお札を貼る場所

立春大吉のお札を貼る場所に関しては、絶対というものはありませんので、家の状況に合わせて以下の場所に貼れないか見てみてください。

  • 玄関や門
  • 家の中の鬼門に当たる位置(鬼門は艮の方角:北東)
  • 神棚
  • 仏壇

この他、普通の部屋や台所、キッチンでも特に問題はないとする寺院さんもあります。

場所よりも貼り方に注意してください。

以下立春大吉のお札の貼り方での注意点をご紹介します。

立春大吉のお札の貼り方

どこの場所に貼るにしても、注意点は以下の点です。
※あくまで推奨されるものですので、家の環境に合わせて対応してください。

  • 大人の目線よりも上
  • のりやテープなどで貼る
    ※ピンなどでお札に穴をあけるのは避ける。
  • のりやテープは台紙の上に貼って台紙をピンに止めたりは良い

また、玄関に立春大吉のお札を貼る際、鎮防火燭(ちんぼうかしょく)のお札を一緒に貼る際は以下の点に注意してください。

  • 玄関に向かって右側には立春大吉、左側に鎮防火燭のお札を貼る
  • いずれも家の外側に文字がかかれた表面を向ける

参考:立春 曹洞宗関東管区

立春大吉と鎮防火燭のお札について

ここで、立春大吉のお札と一緒に貼ることがある鎮防火燭(ちんぼうかしょく)という言葉の意味についてご紹介します。

鎮防火燭は、漢字の通り、火伏せの意味を持ち、火災などの厄災を除くという意味を持ちます。

寺院によるのですが、立春大吉のお札と同時に鎮防火燭のお札を掲げることもあれば、立春大吉のお札を立春の間に、鎮防火燭を雨水という立春の次の節気で貼るという風習もあります。

立春大吉のお札は立春の間に

立春大吉のお札を貼る期間に関しては諸説あります。

最も一般的なのは、立春の日の朝に貼るというものです。

もしくは、立春の節気の間(2020年の立春は2月4日~18日)に貼るのでも良いとされます。

立春大吉のお札をいつまで貼るかと処分の方法

立春大吉のお礼は立春に貼り、その後一年間貼ります。

処分の方法は、神社や寺院の古札納所にお返しするか、お正月飾り門松などを焼いて清める、どんど焼き/どんと祭り(場所によって左義長などの呼び名も)でお清めしてもらうのが一般的です。

立春大吉のお札を授与(販売)する神社や寺院

立春大吉のお札は、元々は曹洞宗の寺院で、檀家さんに授与されていたものですが、現在では曹洞宗や禅宗などの宗派を超えて、お正月から節分までに授与してくださる寺院や、神社もあります。

一部ご紹介します。

出雲大社相模分祀(神奈川県)「立春大吉縁起」

神社で珍しい立春大吉のお札を授与している神奈川県の出雲大社相模分祀という神社では、毎年お正月~2月19日の間、立春大吉のお札を授与しています。

郵送でも対応してくださっているようです。

参考:出雲大社相模 立春大吉縁起

浅草寺(東京都)の節分・立春札

東京の観光名所の浅草寺は天台宗系の聖観音宗という宗派ですが、お正月明けから節分まで、「節分・立春札」を授与しています。

毎年立春の前日の節分の日の節分会は豆まきの行事もあります。

ちなみに、芸能人が参拝する寺院としても有名な豊川稲荷は曹洞宗の寺院で、東京別院でも立春大吉のお札を授与してくださっています。

豊川稲荷東京別院 授与品

神社や寺院によって立春大吉の御朱印もある

また、神社や寺院によっては、立春大吉の御朱印を授与するところもあります。

節分、立春前後の期間だけの限定のもので、除災招福の縁起の良い御朱印です。

立春大吉のお札は自筆する人も

立春大吉のお札は神社や寺院で授与していただく他に自分で書いて祖の紙を玄関に飾る人もいるようです。

自分で書いた場合でも貼る場所や、いつからいつまで貼るのかなどは一緒の様です。

「立春大吉日 喼急如律令」というお札も

また、自分で書く人の中には、立春大吉と書くのではなく、

「立春大吉日 喼急如律令」という文字を書いて貼る人もいるようです。

こちらの意味は、立春という縁起の良い日に、厄災は速やかに立ち去り願いが叶いますようにという意味を持ちます。

喼急如律令という言葉は陰陽道で用いられる言葉で、伝承されるおまじないの類の言葉です。

立春大吉にちなんだ食べ物

立春大吉は縁起の良い言葉ですので、それらを用いて縁起の良いものと感じる食べ物なんかもあります。

立春大吉豆腐

立春大吉豆腐は、商品名ではなく、立春に食べるお豆腐を意味します。

豆腐は古くから「白く、邪気を追い払う霊力を宿す」食べ物として縁起が良いと考えられてきました。

節分に豆腐を食べると、厄を払うことができると考え、

立春に豆腐を食べると、清めた体に幸せを呼ぶことができる。

と考えます。

立春大吉豆腐と言い縁起の良いお豆腐を食べてみてはいかがでしょうか。

立春大吉餅

立春大吉餅は商品名で、伊勢のお土産名物の赤福の会社が出しているものです。

二十四節気の元日である、立春に福を招く意味と厄災を払う意味を込めて造られているそうです。

参考:赤福 立春大吉餅

他にも立春大吉にちなんだお菓子や日本酒などを様々な会社が販売しているそうです。