涅槃会とは|お釈迦様の命日の法要とだんご・はなくそ等の由来を紹介

涅槃会

涅槃会とは「お釈迦様の入滅の日(命日)」

涅槃会とはお釈迦様の命日に、お釈迦様の遺徳を偲ぶ法要を意味します。

※涅槃会は「ねはんえ」と読みます。

涅槃会ではお釈迦様の最期を描いた「(釈迦)涅槃図」を掲げて、遺教教(ゆいきょうきょう)というお釈迦様の最期の言葉をまとめたというお経を読経します。

涅槃会は堅く言うとお釈迦様の命日に行う報恩追慕の法会とはありますが、おだんごまきをしたり、お寺によっては法要に参加すると様々楽しめる部分もあります。

後程日本でも有名な涅槃会がいつどの寺院で行われるか等を解説いたします。

まずは涅槃会についてもう少し詳しくご紹介いたします。

涅槃会の由来|お釈迦様の涅槃とは

涅槃会で見る涅槃図

お釈迦様は人類で初めて「解脱」つまり「悟りの境地」に入ったお方です。

お釈迦様が悟りを開いたのは35歳の時です。

梵天勧請があり、人類にその尊い教えを伝える旅に出られることを決意します。

そうして多くのお弟子さん、信徒に囲まれながら、各地で「説法」をして仏の教えを伝えていきました。

45年の月日が経ち、お釈迦様は伝道の旅に疲れを感じるようになります。

そして、十大弟子の阿難尊者に「涅槃に入ること」を問い、「入滅の日が近い」ことを伝えます。

そうして、パーヴァーという町の鍛冶屋で毒に当たり体がさらに衰弱していきます。

そしてクシナガラという地に入り、沙羅双樹の下で多くのお弟子さん、羅漢に見守られながら、頭を北に向けて右脇を下に横になった態勢で「入滅」をされます。

お釈迦様は入滅をする間際に次のような言葉をお弟子さんたちに残しました。

「この世のものはすべて変化し続ける。怠らず精進しなさい」

この言葉を最後にお釈迦様は、紀元前383年に80歳でお亡くなりになりました。

この時の様子を描いた「涅槃図」を掲げて、涅槃会の法要は行われます。

ここで少しわかりにくい表現について簡単に解説いたします。

涅槃とは

涅槃とは、悟りの境地のことを言います。

お釈迦さまは35歳にて悟りの境地に入ります。この時点で涅槃ではあります。

しかし、完全な涅槃とは違い、その後人として生きるために食欲を満たす必要や睡眠欲を満たす必要があり、完全な涅槃ではないということから、「有余涅槃(ゆよねはん)」と言います。

一方、80歳でお亡くなりになる際は、肉体の制約(欲)から解き放たれるために完全な涅槃という意味で「無余涅槃(むよねはん)・大涅槃」と言います。

また人でありながら、仏となった(悟りの境地を開いた)お釈迦様がなくなることを「入滅」と言います。

入滅という言葉についてはこちらで詳しく解説しています。

入滅とは|意味や類語・お釈迦様の入滅の話や入滅の日の涅槃会を解説

ちなみに、皆さんも音だけは聞いたことがあるであろうニルヴァーナという言葉ですが、これはサンスクリット語で「涅槃」を意味する言葉です。

涅槃という言葉についてはこちらで詳しく解説しています。

涅槃とは|涅槃(ニルヴァーナ)の意味は苦しみの最高の境地=仏教のゴール

涅槃会の法要について

涅槃会の法要は、最初にご紹介もした通り、檀上にお釈迦様が入滅された時の様子を描いた「涅槃図」を掲げて、遺教経を読経します。

涅槃会では、お釈迦様の生涯や、涅槃についての法話を聞き、お供えされたものの御下がりをいただいたり、甘酒を振舞っていただける寺院もあります。

お供え物には、だんごや花供僧/花供御(はなくそ)と呼ばれるものなどがあります。

それらについてご紹介いたします。

涅槃会のだんご

涅槃会でだんごをお供えする風習があります。

涅槃会でお団子をお供えするのは曹洞宗のお寺や、信州の方のお寺などで見られるものだと言われています。

涅槃会に団子をお供えする意味

涅槃会にお団子をお供えする由来には次のような地域で伝承されるお釈迦様の入滅の際のお話があります。

お釈迦様のお弟子さんのヤショという方が、お団子を差し上げて、そのお団子を召し上がり、「ヤショ美味しかったぞ」と仰って入滅をしたというものが由来とされます。

涅槃会のおだんごまきの意味

涅槃会でお供えしたおだんごはそのあとおだんごまきと言って、涅槃会に参加した方へ振舞われます。

これはお釈迦様の御下がりをいただいて無病息災を願うという意味が込められていると言われます。

涅槃会のはなくそ(花供僧/花供御)

涅槃会でお供えされるものには、「お釈迦様のはなくそ」とも言われる、「はなくそあられ」をお供えします。

漢字で書くと、花供僧(曽)、花供御などと表記され京都の和菓子屋さんでは名物にもなっています。

小さなおかきで、こちらもいただくことで無病息災を願うとされます。

涅槃会は2019年2月15か3月15日

涅槃会はお釈迦様の命日に当たる、旧暦の2月15日に行います。

二十四節気では立春、もしくは啓蟄に行う春の行事です。

世界的に見ると、タイなどに伝わった南伝仏教ではヴァイシャーカ月の満月の夜に行うので、若干のずれがあります。

涅槃会がいつかは各寺院に確認を

新暦では、涅槃会をそのまま2月15日に行うか、3月15日に行うかでバラバラになります。

そのため、ご参加される方は涅槃会を行う寺院に確認をしてください。

涅槃会は真言宗などでは別称も

涅槃会は、常楽会とも呼ばれます。

真言宗系の寺院では涅槃会と言うより、常楽会と呼ぶ寺院が多く、宗派によってそのような違いがあります。

日本で最も寺院の数が多い浄土真宗や浄土宗では涅槃会と呼ぶのが一般的の様です。

ここからは、日本でも有名な大規模な涅槃会を行う寺院をご紹介いたします。

涅槃会発祥の興福寺(奈良)

日本で涅槃会を初めて行ったとされるのが興福寺です。

興福寺では天平年間(奈良時代)から行っているとされ、毎年2月15日に誰でも参加できる涅槃会を行っています。

甘酒をいただくこともできますし、興福寺の十二神将像や四天王像など仏像美術も一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。

ちなみに、法相宗の興福寺でも涅槃会を常楽会と呼ぶようです。

興福寺 涅槃会について

非公開の涅槃絵図が見れる東福寺(京都)

東福寺では普段非公開の涅槃図を、涅槃会にて特別に見ることができます。

また、東福寺から近い泉涌寺では日本で最も大きな涅槃図を見ることができます。

東福寺の涅槃会は3月14日、泉涌寺の涅槃会は3月14-16日に行われています。

東福寺 涅槃会

泉涌寺の公式ページ

涅槃会以外のお釈迦様にちなむ行事

涅槃会以外にも、お釈迦様の誕生等にちなむ年中行事があります。

灌仏会(かんぶつえ)

灌仏会花祭りとも言われますが、お釈迦様の誕生日の4月8日にその誕生を祝う行事です。

お花に彩られた花御堂を建て、甘茶を花にそそぐという行事です。

詳しく解説しています。

灌仏会とは|甘茶やお花等でお釈迦様の誕生日を祝う行事の意味を解説

成道会(じょうどうえ)

成道会は12月8日に行われる、お釈迦様が悟りを開かれた日の法要です。

成道についてはこちらで詳しく解説しています。

成道会とは|12月8日にお釈迦様が悟りを開いたお祝いの日を意味

曹洞宗等禅宗ではこれらをまとめて三仏忌と言う

曹洞宗等の禅宗等の宗派ではこれら3つの法要を三仏忌と呼びます。

日本に古くから根差したこういった行事に皆さんも一度参加されてみてはいかがでしょうか。