啓蟄の意味とは|2019年は3月6日。啓蟄の日にまつわることをご紹介

啓蟄-けいちつ

啓蟄の意味とは

啓蟄とは二十四節気という一年を24の季節で分けたものの早春の時期に当たる言葉です。

啓蟄になると、気温は寒いですが、自然界では春らしくなってきます。

今回は啓蟄の意味や、啓蟄にまつわる季節の行事などを見ていきましょう。

啓蟄の読み方は「けいちつ」

啓蟄は「けいちつ」と読みます。

啓蟄は2019年は3月6日~

啓蟄という言葉は、節気の始まりの日の意味(啓蟄の日と呼ばれる)と、節気の期間(約15日)を意味します。

2019年の啓蟄の日は3月6日で、

啓蟄はそこから春分までの3月20日までを意味します。

啓蟄がいつかは年で変わる

啓蟄を含む二十四節気は太陽の黄経によって日が決まりますので、年によって変化します。

これまでとこれからの啓蟄の日を見ると、次のようになります。

  • 2017年の啓蟄の日は3月5日
  • 2018年の啓蟄の日は3月6日
  • 2020年の啓蟄の日は3月5日
  • 2021年の啓蟄の日は3月5日

啓蟄の意味

啓蟄の意味は暦の本の中では以下のように定義されます。

啓蟄の意味

地中にて動き始めていた虫類が、この頃になって被れた地殻から匍いでて来る陽気で桃始華倉庚鳴云々とあり桃の花も咲き始め倉庚(うぐいす)がさえずり始めるころとされている。

出典:歓喜宝暦 神霊館 榎本書店

啓蟄の「啓」は「ひらく」という意味を持ち、「蟄」は虫が冬ごもりのために土の下に隠れるという意味を持ちます。

冬ごもりで隠れた虫やその他の動物が、太陽の高度が上がり、大地が温まりだして目覚め始める時期です。

啓蟄は旧暦の二月前半に当たり、二十四節気において3番目の春の節気です。

実際は啓蟄に虫やカエル・動物が冬眠から起きない

実際啓蟄に当たる三月上旬から中旬にかけてはまだ寒く、虫が冬眠から起き始める平均気温10℃を超えることが少ないため、「啓蟄」とはならないようです。

二十四節気は元は中国から由来しているため、若干の季節のずれが生じています。

二十四節気の啓蟄に相当する七十二候の意味

二十四節気の啓蟄は、さらに二十四節気を3つにわり、一年を七十二の候で分けた七十二候では次の三つに相当します。

  • 蟄虫啓戸
  • 桃始笑
  • 菜虫化蝶

それぞれの候は5日ずつを意味します。

それぞれの意味について見ていきましょう。

蟄虫啓戸|啓蟄の初候

啓蟄の初侯は蟄虫啓戸と言い、読み方は「すごもりむしとをひらく」です。

土の中で冬眠をしていた虫たちが春の日差しを受けて暖かくなりだし、土から出てくるという時期を意味します。

虫と表記していますが、これは虫に限らずカエルやクマなどあらゆる冬眠をしていて目覚め始める動物を意味します。

ちなみに、啓蟄の初侯のちょうど反対の意味に当たる言葉に「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」という言葉あります。

これは秋分の次候に当たり、虫やカエルといった両生類が冬眠の準備をする時期を意味します。

桃始笑|啓蟄次候

啓蟄の次候は桃始笑と言い、読み方は「ももはじめてさく」です。

この時期は桃の花がつぼみから咲き始めるという意味を持ち、寒い中甘い香りを放つ桃園などに行きたくなる季節ですね。

花が咲くことを「笑う」と表現するところに日本人の季節感を表現する奥ゆかしさを感じます。

菜虫化蝶|啓蟄末候

啓蟄の末候は菜虫化蝶と言い、読み方は「なむしちょうとなる」です。

この時期は、越冬した蛹(さなぎ)が美しい蝶へと変わり始める時期を意味します。

菜虫とは葉物の植物につく青虫を意味します。

二十四節気や七十二候についてはこちらで詳しくご紹介しています。

二十四節気(にじゅうしせっき)とは|意味の解説や24節気カレンダー2019年版付

七十二候とは|二十四節気と読み方など解説。2019年72候カレンダー付

啓蟄の日にまつわるもの事・年中行事

啓蟄の日や啓蟄の間に行う年中行事や、物事について見ていきましょう。

雛人形の片付け

雛人形の片付けは啓蟄の日に行うと良いと言われます。

二十四節気で、啓蟄の前に当たる雨水の日に雛人形を飾り啓蟄の日に雛人形を片付けるのが良いと言う伝統もあります。

雛人形をしまうのが遅れると婚期が遅れるという迷信もありますが、啓蟄の期間、3月の中旬までにしまうのが一般的とされます。

雛人形は高価なものであり、一年に一回だけ飾り付けるものですので、片付けるのは良く晴れて湿気の低い日を選のが良いとされます。

菰外し(こもはずし)

菰外し(こもはずし)とは、一般の人が行うものではありません。

冬の風物詩である、立冬のころに松の幹に藁を巻く「菰巻き(こもまき)」を啓蟄の期間に外し、菰焼きを行います。

菰とは、越冬のために松の幹の中に巣くう害虫となるマツケムシ(マツカレハ)松を守る対処法です。

十六団子

十六団子は毎年3月16日に行われる伝統的な農耕に関わる行事です。

田の神様に一年間の豊作を願うために十六団子をお供えするという行事です。

ちなみに、田の神様(山から田んぼに降りてこられるとされる)とはどんな神様かと言うと、日本各地にある信仰で、全国各地で様々な呼称がある神様です。

古くからの信仰の形態で、特に明確な神様の像があるわけではありませんが、田んぼを荒らすネズミを食べる狐を田の神と信仰する形式も見られます。

そういった信仰から田の神として、お稲荷様(ウカノミタマノカミ)が習合するということも見られます。

啓蟄の旬の食べ物

啓蟄の旬の食べ物は次のものが有名です。

  • 山の幸
    • 山菜の蕨(わらび)や薇(ぜんまい)
    • 筍(たけのこ)
  • 海の幸
    • さより
    • アオリイカ
    • 金目鯛

等々あります。

「啓蟄の候」など俳句や手紙での使用例

啓蟄の候と言うと、時候の挨拶で利用される言葉として皆さんも見たことあると思いますが、啓蟄を使った文章表現について簡単にご紹介いたします。

啓蟄の候|手紙やメールの時候の挨拶

時候の挨拶では、啓蟄の間は「啓蟄の候、皆様にはいよいよご健勝のこととお喜び申し上げます。」と啓蟄の候を使って挨拶されます。

「啓蟄の候」という言葉を時候の挨拶に使う代わりに、次のような表現が季節の挨拶として利用されます。

  • 「早春の候」
  • 「朝夕はまだ寒く」
  • 「水ぬるむ季節となりましたが」

などなど、寒さがまだ残っているという言葉を使うのが通例です。

啓蟄のころの季語「虫だしの雷」

虫だしの雷(かみなり/らい)は立春後の初めての雷を意味する言葉です。

実際に雷が起きるのが啓蟄のころとされるので、「虫だし」と言われるとされます。

そのまま季語として利用される言葉です。

またこの時期には、時候の挨拶でもありますが、早春という言葉や春早しなど、まだ寒さの残る春のころを歌った季語を使うようです。