雨水の日の意味とは|雛人形を飾るに良い理由
雨水の日とは暦において、季節を24の節気に分けた「二十四節気」の春の2番目の節気を意味します。
今回は、暦と言う日本人の生活に重要な影響を与えて来たものの一つの「雨水」についてご紹介します。
ちなみに東京都の墨田区では天候の雨水に悩まされる日であることから8月6日を雨水の日としているようです。
雨水の日と二十四節気
雨水の日と言われるのは、二十四節気の「雨水」が始まる最初の日を意味します。
「雨水」節気自体は次の節気の啓蟄(3月6日頃)までの15日間続きます。
暦の雨水の読み方は「うすい」
二十四節気の雨水は「うすい」と読みます。
二十四節気という概念は中国で、日本の気候とは少し違うのですがそのまま利用されています。
二十四節気の雨水の意味
暦の本では次のように定義されます。
陽気のため溶けた氷水が天に昇り雨水となって下るの意味で獺祭魚鴻鴈行北草木萌動とあり魚を常食とする水獣が天の恩に報じて春の始めにとった魚を神に供え又鴈などの渡り鳥が北へ去り草木が芽を出し始める頃とされている。
出典:歓喜宝暦 神霊館 榎本書店
また江戸時代に集約した本である「こよみ便覧」の一文で二十四節気の各節気の定義を見ることが多く見られますが、その一文を引用すると、
「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」と書いています。
立春を超えて、寒さが続く中でも春らしい日がちらほら顔を見せる時期です。
二十四節気は農耕と深くかかわる一つの目安となりますが、雨水は農耕の準備を始める時期と言われます。
二十四節気についてはこちらで詳しくご紹介しています。
二十四節気(にじゅうしせっき)とは|意味の解説や24節気カレンダー2019年版付
雨水の七十二候
二十四節気をさらに3つに分けて、5日毎の候に分けたものを七十二候と言います。
七十二候は、その時期に起きる自然界の変化をとらえた言葉で、私たちの肌感では感じられないような、季節の移ろいを表現しています。
初侯:土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)
それまで天から降った冬の雪が、春の雨に変わり、大地が潤う時期です。
実際にはまだまだ首都圏でも大雪が降る年もありますが、大地はどんどんと春に向け準備をしているようです。
次候:霞始靆(かすみはじめてたなびく)
春霞と言いますが、山などに霞がたなびく時期です。
末候:草木萌動(そうもくめばえいずる)
草や木が薄緑の芽をのぞかせる時期です。
その他の季節の七十二候についてはこちらで詳しくご紹介しています。
七十二候とは|二十四節気と読み方など解説。2019年72候カレンダー付
2019年の雨水の日は2月19日
雨水の日は2019年は2月19日にきます。
雨水に限らず、二十四節気というのは、太陽の位置によって変動するもので、年によってずれることがあります。
2019年も立春2月4日で30年ほど同じですが、立春も二十四節気ですので、実は変動します。
立春は2019年2月4日|立春はいつまでかや意味・節分との関係等解説
雨水は暦上春だが実際の気候は
雨水の時期は一年で最も寒い時期を超え、少し寒さが緩やかになる時期ではありますが、かなり寒さが厳しい時期です。
暦の上での春の始まりである立春を超えてから初めて吹く強風を春一番と言いますが、雨水の時期に春一番が吹くのが例年の傾向です。
雨水は三寒四温が当てはまる時期
雨水の日を超えてからの気候に見られる特徴を表した言葉で三寒四温という言葉があります。
三寒四温とは、寒い日が三日続くと四日間は比較的暖かい日が続くという四字熟語です。
この言葉は本来は中国東北部の大陸性高気圧(シベリア気団)が一週間おきに発達することで起きる冬の間の気候を表す言葉だったそうです。
日本では三寒四温の気候になるのは春先のこの時期だそうです。
三寒四温とは意味が春ではなく冬の気候の四字熟語|正しい使い方を解説
雨水の日に雛人形を飾ると良い
雨水の日に雛人形を飾ると、良いご縁に巡り会う、良い伴侶に恵まれると言われます。
しかし、ひな人形の飾り付けに良い日には様々な説があります。
雛人形をいつから飾るのが良いかの説
雛人形は立春の日(2019年の立春は2月4日)から、前々日までに飾り付けをするのが良いと言われます。
※立春から2月中旬までというのがお人形屋さん一般的な回答です。
前日に飾り付けるのは、お正月飾りと同じく、一夜飾りと言い、お葬式の飾り付けを想起させるため縁起が悪いと言われます。
飾り付けの日は、慶事やお祝い事などを行うのに縁起の良いとされる大安が良いと言われます。
長いこと楽しみたいというのであれば早い時期である立春からすぐ当たりがよいとも言われます。
中々飾り付けが大変ですが、お子さんの成長、無事を祝い、厄災の代わり身という意味もあるひな人形ですので、縁起を担いで飾り付けの日を選ぶのもよいかもしれませんね。
ちなみに雨水の日に雛人形を飾り付けるのが良いとするものに、雨水の日が氷が溶けだし水になる頃ということと、日本の水の女神に対する信仰のつながりに由来するという説があります。
水の神を生命の母と考え、子授けや安産の神様として信仰されるようになり、安産の神を祀る神社(ミツハノメノカミがご祭神として有名)もあります。
他にも、水を司る神様で、良縁のご利益でも有名な神社にも祀られるイチキシマヒメ(市杵島姫命)などもいらっしゃいますね。
雨水という水にちなんだ日がこの水の女神に対する信仰とつながったと言われます。
雛人形と言えば、面白い説に、上から
- 内裏雛の2人
- 三人女官の3人
- 五人囃子の5人
という順番で並んでいますが、この並びがちょうど日本神話のアマテラスオオミカミ(天照大御神)、スサノオノミコト(素戔嗚尊)の2柱が誓約をしたときに、宗像三女神で知られる3女神、天皇家につながる神様を含む5男神が生まれたのと同じ数字であることにつながりを持たせる説もありますね。
雨水の日が仏滅だと雛人形を祀るのは縁起が悪いか
ちなみに、雨水の日に雛人形を飾り付けようと考えて仏滅だった場合はどうなるかということですが、いずれの縁起を選ぶかという話ですので、あまり神経質になることはないでしょう。
仏滅が気になる方は、立春後の大安吉日の日を選ぶので良いでしょう。
こちら参考にしてみてください。
ちなみに2019年の雨水の日は先負と言い、午後からは吉と言われます。
先負についてはこちらで詳しくご紹介しています。
先負とは|先負の意味/読み方から納車や結婚式/入籍等に縁起良いか解説
雛人形を片付ける日に良いとされるのは
雛人形を片付ける日としては、二十四節気の啓蟄の日が良いと言われます。
また、暦に関係なく、長く使う雛人形の質を保つためを考えると、晴れた湿気の少ない日に片付けるのが良いそうですので、参考にしてみてください。
雨水(二十四節気)にまつわる事
二十四節気の雨水にまつわることをご紹介します。
雨水の時期の季語表現
雨水自体が早春、2月の後半のころの季語表現ですが、この時期の季語表現には他に次のようなものがあります。
「春浅し、余寒、春寒」等々、まだ寒さが残ることや、春が浅いことを表現する季語が多いです。
雨水の候などの挨拶表現
雨水は時候の挨拶において、雨水の候という言葉を使う時期ですが、他にも、このような言葉が雨水の時期には時候の挨拶として利用されます。
- 寒さゆるみ大地が潤い始める季節になりました
- 春霞の候
- 草木萌動の候
こういった表現が利用されます。
この後に、(貴社におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。)などが続きます。
雨水の年中行事
雨水の年中行事は上記で見ましたが、雛祭りががあります。
雛祭りの起源は485年の顕宗天皇の御代にある言われ、曲水の宴という宮中の行事が由来とされます。
初節句、上巳の節句、桃の節句などとも言われ、日本では古くから行われてきた行事です。
古くは、雛人形は今のようなものではなく、夏越の大祓で人形に息を吹きかけ水に流すという神社もありますが、そのようなもので厄除けをする人形だったという歴史もあります。