布袋尊とは|七福神の一柱のご利益等を解説
布袋尊とは七福神の中で「大量/度量の広さ」を意味する神様として祀られます。
七福神の中では唯一、実在の人物を神格化した存在です。
今回は、布袋尊という神様はどんなご利益がある神様なのかや、その由来はどんなものなのかなどをご紹介いたします。
布袋尊の読み方は「ほていそん」
布袋尊は「ほていそん」と読み、一般には布袋様などと親しみを込めて呼ばれます。
この名前の由来は、布袋尊が背負う大きな袋から来ています。
布袋尊とは何の神様か
布袋尊が何の神様かというと、一言では言い表しにくいと思います。
そこで、一般に祀られる布袋尊のご利益や、布袋尊の由来について以下では見ていきましょう。
布袋尊のご利益
布袋尊のご利益は以下のものが有名です。
- 開運
- 子宝
- 良縁
- 夫婦円満
- 商売繫盛
- 無病息災
- 財運・金運向上
等々です。
布袋尊のご真言
おん まいたれいや そわか
これは、布袋尊が同一視される弥勒菩薩と同じご真言です。
弥勒菩薩と同一視される布袋尊とは一体どんな存在なのか、以下で詳しく解説いたします。
布袋尊の由来
布袋尊という神様が日本に持ち込まれたのは仏教によるもので、当初は水墨画の画材として広く認知されたようです。
福の神として信仰されたとされます。
この布袋尊はどんな由来は中国に実際にいたお坊さんです。
布袋尊のモデルとなった中国の僧「契此」
布袋尊のモデルとなった「契此(かいし/けいし)」を自称し、他にも「定応大師(じょうおうだいし)や号:長汀子(ちょうていし)」と呼ばれたお坊さんです。
このお坊さんは中国の唐~後梁(五代十国)の時代に明州(浙江省)に実在したお坊さんで、生年は不明ですが、四明山に住み、916年に亡くなられたとされるちょうど日本では平安時代の前半に当たる時代の人です。
他にも、一説には宋の僧了明なども長汀子と号したことから布袋尊の由来だとされます。
一般的に布袋尊の由来となる契此(かいし)は次のような人物だったとされます。
- 要望は布袋尊の像やイラストに描かれるような、額が広くにこやかな顔をしている
- 体は太鼓腹という肥えた体をしていて、背は低く半裸(腹が出た姿)だったとする
- 粗衣でいつも大きな袋を持ち歩いていて、その袋には施しを受けたものを入れていた
→「布袋」の語源となります - お寺に属するのではなく、ずっと放浪をして喜捨を求めて歩いていたとされる
→岳林寺というお寺に籍があったともされます。 - 占いが上手で世人の占いでは百発百中で当てたという逸話がある
- 他にも雪の上に寝て、体が濡れなかったという逸話も
- 死の間際に詠んだ詩から、後世布袋尊は弥勒菩薩の化身と言われるようになり中国では広く信仰されるようになる
この自由奔放な生活をしながら、たくさんの人の信仰を集めた契此という僧侶が、今私たちの知っている布袋尊になり、福の神様として祀られるようになります。
布袋尊が化身だったという弥勒菩薩とは
弥勒菩薩は仏教の中の菩薩の中で最も上位の悟りを得た菩薩様です。
菩薩とは「悟りを求めるもの」という意味で、まだ仏様になる直前なのですが、私たち衆生を救う存在です。
弥勒菩薩は兜率天という悟りの世界に近いところにて、修行をしているとされ、仏陀が死んでから五十六億七千万年後に私たちの住む世界にやってきて人々を救済すると言われています。
布袋尊は、その弥勒菩薩の生まれ変わりだと考えられ、中国では特に服をもたらす神として今でもその信仰が篤いと言われます。
布袋尊が七福神に加わる
日本にやってきた布袋尊は水墨画に描かれる存在としてとても人気を博し、段々と民衆にも福の神として信仰されるようになったそうです。
そして、七福神の一柱と数えられて、七福信仰の隆盛と共に布袋尊も「布袋様や布袋さん」と呼ばれ、さらに信仰されるようになりました。
七福神の他の神様については以下にて詳しく解説しています。
七福神とは|ご利益,名前の意味等解説 布袋/恵比寿/大黒天/毘沙門天/弁財天/福禄寿/寿老人
布袋尊の姿の意味|像や置物の特徴
布袋尊と言えば、上のイラスト画像のように真ん丸のお腹に真ん丸の顔、そして袋を持っていますね。
七福神は、大黒様の打ち出の小槌や恵比寿様の釣竿など、特徴的な持ち物があり、それらには意味があります。
布袋尊の持ち物の意味についてご紹介しましょう。
布袋尊の持ち物
布袋尊の持ち物は袋に加え、杖や団扇を持つ絵が良く見られます。
杖については、布袋尊の由来である僧が杖と袋を持って諸国を歩いていたからとされます。
そして、最も重要な持ち物の袋ですが、これは一説に堪忍袋とも言われています。
布袋尊は「度量の広さ」を意味する七福神と冒頭でご紹介しましたが、この度量の広さ、正しい行動をすること、清い心を持つことを意味します。
布袋さんの袋はお布施によってどんどんと大きくなったことから、人々の感謝の気持ちや慈悲の心が詰まっていると言われます。
そんな袋を持ち常ににこやかである布袋尊であるから、その持つ袋が堪忍袋と言われたのでしょう。
また、布袋尊を描いた絵には、布袋・唐子像という、布袋尊と小さな子供たちが描かれる絵があります。
こういった作品が多く見られることから布袋尊が子宝のご利益があるように考えられるようになったとされます。
布袋尊を祀る神社・寺院
橋場寺不動院(東京都)|浅草七福神巡りの布袋尊
浅草七福神の布袋尊を祀る寺院です。
お寺のご本尊はお不動さんですが、そのお不動を祀る不動院に布袋尊の像があります。
橋場不動尊は、あたり一面が焼け野原になる中第二次世界大戦の戦火を免れたことから霊験あらたかと信仰を集めているそうです。
万福寺(京都府)|都七福神巡りの布袋尊
日本最古の七福神めぐりと言われる京都府の都七福神の布袋尊を祀るのは万福寺です。
毎月8日に布袋尊(弥勒菩薩)のご縁日として「ほていまつり」を行っています。
清荒神清澄寺(兵庫県)|三宝荒神様の眷属としての布袋尊
布袋尊は三宝荒神という火の神、台所の神様のご眷属(従者)として考えられています。
ご眷属として祀られる布袋尊の見られる有名な寺院の一つが、宝塚市の清荒神さんで親しまれる清澄寺です。
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