立秋とは|2020年は8月7日~
立秋とは2020年は8月7日からの15日間ほどを意味する言葉で、暦の上での秋の始まりを意味します。
実際には、都市部では特に夏ど真ん中で秋の気配を微塵も感じることはできませんが、立秋を過ぎると「残暑」という季語を使うようになります。
今回は立秋という言葉の意味や、立秋はいつから秋と言われるようになったかなどを解説いたします。
立秋の読み方は「りっしゅう」
立秋は「りっしゅう」と読みます。
立秋は立春(りっしゅん)、立夏(りっか)、立冬(りっとう)と合わせて、四立と言い、それぞれ暦の上の季節の始まりを意味します。
この暦の上でと言うのは、二十四節気というものを指しています。
それらについても含め立秋の意味を解説いたします。
立秋の意味
立秋と言う言葉は、約15日の節気というもので、一年を24に区分した二十四節気の一つです。
それゆえ、立秋と言うと、
- 8月8日頃から次の処暑という節気までの15日間
- 8月8日頃の節気の始まりの日
この二つを意味します。
2020年今年の立秋はいつからいつまでか
秋らしくはない立秋ですが、今年2020年は
8月7日~8月22日までの期間に当たります。
立秋という節気の意味は暦の本で次のように定義されています。
秋の気配が立つというので立秋という。夏とはいえ時折秋の気配が感ぜられ涼風が吹き始めるので涼風至白露降寒蝉鳴と言われている。涼風とはこの日より四十五日の間西南坤(ひつじさる)の方向より吹く風のことを言い立秋にこの風が吹けば五穀良く熟す。又反対の艮(うしとら)より風吹けば秋気和せずと言われている。
上記の意味の中で、農作について言及されていますが、二十四節気というものはそもそも農耕のための目安として中国で開発された暦です。
昔の暦では、月の運行で暦を作っていたのですが、これでは太陽の動きとずれるため実際の季節とずれていくようになります。
農業にとってとても大事な季節を明らかにするために、太陽の場所によって季節を分けるようになります。
その季節を24の細かな季節ごとに分けたものが二十四節気となるのです。
ちなみに「涼風至 白露降 寒蝉鳴」というのは七十二候と言い、この二十四節気をさらに5日毎に分け、その時の自然の移ろいを表現したものです。
「涼風至 白露降 寒蝉鳴」は中国の七十二候ですので、後程日本の風土では立秋の時期どんな自然界の変化があるのかをご紹介いたします。
立秋の日は暦の上での秋の始まりだが
立秋の日は暦の上で秋の始まりを意味しますが、立秋の時期は全く涼しさを感じることはないと思います。
立秋の前に土用の丑の日と言い、ウナギを食べて精を付け、暑さを乗り切ろうと世間でも言いますが、最も暑い時期に突入します。
ちなみに暦の上では、立秋から立冬(11月8日頃)までが秋となります。
続いて暦の上での立秋が最も暑い時期と重なっている理由を解説いたします。
立秋の時期の気候|旧暦と新暦・二十四節気の由来
暦の秋の始まりと、実際の立秋の時期が大きくずれる理由は、
- 旧暦と新暦のずれ
- 二十四節気が中国の気候を元に作られた
この2点が挙げられます。
現在使われている太陽暦は、明治以降に導入されたもので、それ以前は旧暦と言われる太陰暦(太陰太陽暦)というものを使っていました。
大まかに、この新旧の暦は1カ月ほどのずれがあり、新暦の8月は旧暦の9月に当たります。
最近は温暖化の影響もあり9月もまだまだ暑いですが、田舎の方や山の方に行けば朝夕は涼しさを感じます。
この暦のずれが立秋の気候のずれの原因の一つ目で、もう一つは、立秋という概念が中国の中原という地域の気候を元に作られたことが原因です。
日本は四方を海に囲まれていて、一方中国の中原は大陸の内陸部で気候が大きく違います。
立秋以外でも、日本の立春の日は全く春らしさがないと感じますが、これも暦のずれと、日本と中国の気候の違いによるものです。
立秋は毎年同じ日ではなく、年によってずれることがあります。
2020年は8月7日ですが、2019年8月8日でした。(ちなみに2018年も8月7日です)
この理由について次の段で解説します。
立秋はいつになるかを決める要因
立秋は年によって日にちがずれるのは、二十四節気の日は太陽の位置によって決められるからです。
地球は太陽の周りを約365.6日かけて一周します。
約一年かけて一周をするのですが、一年365日の暦だと、0.6日ずつずれていきます。
このずれが立秋を含む二十四節気のずれとなるのです(他にも太陽が楕円形に公転しているなどの要因もあります)
ちなみに立秋の日がいつになるかの決め方は太陽が黄経135°というところに到達する時となります。
立秋の候など時候の挨拶について
ビジネスメールや手紙などで利用される、立秋の候という時候の挨拶の使い方をご紹介いたします。
丁寧なメール等では、
①頭語
(拝啓等)
②時候の挨拶
③安否の挨拶
(貴社にはますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。等)
この3つの見出し文があって本文に入ります。
「立秋の候」というのは、②の時候の挨拶の部分で利用される言葉で、上記でも触れた立秋の間の15日間に利用される言葉です。
立秋の候を用いた例文
- 立秋の候、貴社にはますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
- 立秋の候を迎え、皆様にはますますご多忙のことお喜び申し上げます。
「立秋の候」の代わりに、「立秋のみぎり」と言った言葉も使われます。
ちなみに、本文の後に続く結びの挨拶では、
「残暑厳しく、くれぐれもご自愛のほどお祈りいたします。」
と立秋ですので、残暑という言葉を使ったりします。
「立秋とは名ばかりで」という時候の挨拶も
時候の挨拶は、基本的には二十四節気の名前を使って「●●の候」とだけで表記されますが、機械的に入れているだけとなって受け手の心象が良くないと考える向きもあり、その季節柄を簡単にまとめた表現も使われます。
そんな表現で最も使われる一つに、「立秋とは名ばかり」でと言う表現があります。
「立秋とは名ばかりの残暑、<安否の挨拶>」というように使われます。
立秋にまつわるもの事について
立秋の時期に関わる、伝統的な日本の文化や、食べ物についてご紹介いたします。
立秋を超えると残暑見舞い
立秋の日を超えると、暑中見舞いではなく、残暑見舞いを送るようになります。
残暑見舞いでは、書き出しに「残暑見舞い申し上げます」とあったと、簡単な時候の挨拶がありますが、「立秋の候」という言葉は使いません。
立秋までは暑中見舞い
ちなみに残暑見舞いの代わりに暑中見舞いを送る方もいると思いますが、暑中見舞いとは、立秋の前の節気の小暑と大暑の間に送るはがきです。
立秋の時期の食べ物
立秋の時期はまだまだ秋の味覚は出てこず、旬の食べ物はほとんど夏のものです。しかし、一部秋を感じさせるものもあります。
立秋の時期に旬の食べ物は
- 梨
- ブドウ
- マスカット
- マンゴー
- メロン
- 桃
- ナス
などなどがあります。
立秋は俳句等の季語
立秋は俳句や短歌の季語でもあり、学生時代に聞いたことがあると思いますが、
「秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる」という藤原敏行朝臣の百人一首にも選ばれた歌は立秋の時期、暑いが暦の上では秋だということを歌ったとされますが、立秋は秋の季語になります。
立秋と同じ意味を持つ季語として、「秋立つ、秋に入る、今朝の秋」という言葉もありますが、
松尾芭蕉も立秋の俳句として、
「はりぬきの猫もしる也今朝の秋」
という句を残しています。
立秋の時期の行事
立秋の時期の行事はお盆(盂蘭盆会)があります。
元々は旧暦の7月15日に行われていたので、お盆を7月15日に行うところもあるそうですが、多くの地域で8月13~15,16日に行われる行事となっています。
ちなみにお盆という行事は本来は仏教の行事ではなく、日本に古来からある祖霊信仰(神道の考えに近い)から仏教の行事となったものです。
神道と仏教が混ざり合った神仏習合という概念についてこちらで解説していますので、ぜひご覧ください。
神仏習合とは(=神仏混淆)|歴史・現在も影響の残る神社寺院の例をご紹介
立秋の前には土用が
立秋の間の行事ではありませんが、「土用の丑の日」というのは立秋の前の18日間ある土用という期間の”丑の日”を意味する言葉です。
この時期は一年で最も暑い時期と言われ、暑さを乗り越えるためにウナギを食べようと言われるようになりましたが、実は元々土用というのは立秋以外の立春、立夏、立冬の前にもあります。
立秋と運気の話
立秋という二十四節気の日は占いや風水で意味を持つとされます。
一般に言われることを一部ご紹介すると、
- 立秋からは「収穫の秋」ということで物事が実を結ぶと考える
- 同じく「収穫の秋」ということで金運が上がる
このように言われます。
他にもスピリチュアルな説などたくさんありますので、詳しいことは占い師や風水師の方に聞いていください。
立秋から秋財布(実り財布)
秋財布というのは、秋は財布を購入するのに良いとされる良い季節ということを意味します。
理由は上記の立秋の運気の話でもありましたが、秋は「収穫の秋」ということで、金運を高めると言われているからで、秋に買う財布を「実り財布」とも呼びます。
暦の上で秋である立秋から購入する財布を秋財布と呼び、財布の購入には運気が良いと言います。
ちなみに財布の購入や使い始めに良いとされる日は暦の上でいくつかあります。
それらについてはこちらで詳しく解説しています。
立秋の七十二候
立秋を5日毎の候に分ける七十二候では、それぞれ次のように呼ばれます。
初侯:涼風至(すずかぜいたる)
残念ながら今の日本の多くの地域では感じられないですが、夏の風から秋の風に変わりだす時期です。
次候:寒蝉鳴(ひぐらしなく)
夏の終わりの夕方ごろに「カナカナー」となくひぐらしが鳴く時期です。
末候:蒙霧升降(ふかききりまとう)
春に霞が生じたように、秋に白く深い霧が立ち込める時期です。
温暖化が進んでいますので、ひと昔前の田舎ではあったこれらの気候ももう感じるところも少ないかもしれません。
ちなみに七十二候は日本の風土に合わせて作られたもので、上記のものは明治時代に制定されています。
七十二候について詳しくはこちらで解説しています。
立秋の時期は
夏の花のヒマワリは立秋の間には枯れ始めるところもあります。
また暑さが続き入道雲も立ち込めるのが例年ですが、秋らしい鱗雲なども出てくると言われます。
立秋を超えて少しずつみられる秋らしさを探してみてはいかがでしょう。