お盆のなすときゅうり(精霊馬)の意味とは|作り方や飾り方など解説

お盆 なす きゅうり

お盆のなすときゅうりにまつわる話

お盆になすときゅうりに割り箸や爪楊枝を刺して、馬や牛と見立てた飾りがあります。

様々な説がありますが、このお盆のなすときゅうりには具体的にどういった意味が込められているのかや、飾り方について今回は解説いたします。

お盆のナスときゅうりの置く向きや飾り方は様々

お盆のなすときゅうりを飾る伝統は、地域やご家庭によっても様々あります。

今回は、なるべく様々な飾り方についてご紹介しますが、あなたの家で行っていた方法が違っても問題はありませんので、ご心配なさらないでください。

お盆にナスときゅうりを飾らない地域や宗派も

また、そもそもお盆になすときゅうりを飾ることがない地域や、仏教の宗派もあります。

お盆という行事の捉え方が違う宗派についてなど豆知識的な話も含め解説していきます。

お盆になすときゅうりをなぜお供えするのか

お盆になすときゅうりを飾る意味は、一般的に、

お盆の時期に帰ってこられるご先祖様を迎える、お送りする乗り物にしていただくためとされます。

お盆飾りとしてのなすときゅうりはそれぞれ、牛と馬を意味するのですが、牛と馬という動物にしているのも意味があります。

お盆のなすときゅうりの名前の「精霊馬/精霊牛」

ちなみに、お盆のなすの飾り物は、「精霊牛(しょうりょううし)」

お盆のきゅうりの飾り物は、「精霊馬(しょうりょうま/しょうりょううま)」と言われます。

ご先祖様の霊(精霊)の乗り物としての馬と牛で、それぞれ名前が付けられていますが、馬と牛という2匹の動物にしている意味は次のような願いが込められているのです。

お盆のきゅうりと馬の意味

お盆のきゅうり(馬)の飾りは、ご先祖様の霊を家にお迎えする乗り物を表現しています。

馬は足が速い動物ですので、ご先祖様の霊を一刻も早くお家にお迎えするという意味を込めて、きゅうりで精霊馬を作っているのです。

お盆のなすと牛の意味

一方、お盆のなす(牛)の飾り物は、ご先祖様の霊をあの世までお送りする乗り物を表現しています。

牛は足が遅い動物ですので、ご先祖様の霊が、少しでも長く私たちと一緒に居られるようにという意味を込めて、牛で精霊牛を作っています。

ここまでは一般的に知られるお盆のなすときゅうりが意味するところでしたが、地域によっては、全く逆に捉えるところもあるそうです。

お盆のなす(牛)は、ご先祖様にゆったりとした道中で家まで帰ってきていただきたいという意味を込めて、

逆にきゅうり(馬)はご先祖様に急いで帰ってもらうためと考える場合、

また、お盆のなすは、お送りするための牛を意味するが、込められた意味はゆっくりと帰っていただくためではなく、たくさんのお供え物をお土産として持って帰ってもらう際の荷物をたくさん運べる牛を意味するなどと言われます。

また、地域よっては精霊船という船でこの世とあの世を行き来する乗り物を表現するということが行われたり、本当に地域によって様々に違っています。

お盆のある夏の時期に、旬を迎え簡単に手に入ったことからなすときゅうりを使ったと言われますが、お盆のなすときゅうりを飾るようになった由来ははっきりしていないとされます。

それゆえ、地域によって様々な解釈や飾り方が生まれたのでしょう。

お盆飾りのなすときゅうり作り方

お盆のなす・きゅうりの飾りものはとても簡単に作れます。

準備するものは、

  • なす
  • きゅうり(そりあがっていると綺麗な馬に見えます)
  • 割り箸(もしくは爪楊枝やマッチ)

これだけです。

割り箸や爪楊枝が精霊馬の足になるのですが、それぞれ野菜に刺すだけです。

割り箸で作る際は、2膳用意して、6:4ほどの割合で2膳とも切り、長い方をきゅうりに、短い方をなすに刺すと馬と牛に見えます。

また地域によっては、なすときゅうりのお盆飾りにそうめんで手綱をつけるところもあります。
乗り物なのだから手綱をつけるという考え方です。

お盆のなすときゅうりは厳格なルールがあるわけではないので、最近では刻んで独特なデザインを作成する人もいます。

様々なお盆飾りのなすときゅうりのイラスト/画像

最も一般的なお盆のなすときゅうりを使った飾りは以下のイラストのようなものです。

お盆 なす きゅうり イラスト

この一般的な飾りをさらに進化させ、なすときゅうりだけで芸術作品のようなものを作る方々もいらっしゃいます。

一部すごいものを引用させていただきました。

初盆の際に、亡くなられた方が車が好きだったということで、なすときゅうりを使って車を作るなどする人がいたりと、ただの馬や牛ではなくなってきているようです。

お盆のなすときゅうりの飾り方(一例)

お盆のなすときゅうりの飾り方は、その込められた意味と同じように地域によって大きく変わってきます。

ここでご紹介するのはあくまで一般的とされる一例であり、地域やお家の伝統を守っていただければと思います。

お盆飾りのなすときゅうりの置く場所

お盆のなすときゅうりは、お仏壇の前に作る盆棚(精霊棚)に飾ります。

地域によっては、迎え盆という、ご先祖様が返ってくる日に玄関先にお迎えのきゅうり(精霊馬)を出しておくという風習があったりするそうです。

ちなみに迎え盆はお盆が7月でも8月でも各月13日です。もし15日盆でない場合は、迎え盆もずれます。

お盆のなすときゅうりの向き(方角等)

お盆のなすときゅうりを盆棚に飾ることを前提に話をつづけますと、盆棚の飾る場所は特に決まってはいません。

ただし、なす(牛)ときゅうり(馬)の頭の向きは迎え盆/送り盆でそれぞれ次のようになっています。

  • 迎え盆(8/13・7/13)
    なすときゅうりはそれぞれ盆棚の内側に頭を向ける
  • 送り盆(8/16・7/16)
    なすときゅうりはそれぞれ盆棚の外側に頭を向ける

これが最も一般的な置き方とされます。

地域によって違うお盆のなすときゅうりの飾り方

他にも、地域によって、

  • 迎え盆
    お迎えする動物を玄関の方向に頭を向ける
  • 送り盆
    お送りする動物の頭を玄関に向ける

という、入り口出口を意識した置き方、

  • 迎え盆
    ご先祖様が東から来ると考えきゅうりを西向きに
  • 送り盆
    その反対になすは東向きに

という方角を意識した置き方もあります。

西日本ではお盆になすときゅうりを飾らないとか、関東は飾るとか様々な説がありますが、関西でも飾る地域もありますし、一概に地域でまとめられないようです。

お盆のなすときゅうりはいつ飾るか

お盆のなすときゅうりをいつ飾るかも地域によって変わります。

一般的には、8月13日から8月16日です。(お盆が7月の地域は7月の同じ時期)

今回は一般的とされる、ご先祖様の霊が返ってくる日(迎え盆)までになすときゅうりを準備しておくことを前提に解説しましたが、地域によって迎え盆にはきゅうりだけ、送り盆になすを飾る場合や、送り盆になすときゅうりの両方を飾るなどの伝統もあるようです。

迎え盆と送り盆の伝統は、地域によって大きく変わりますが、それらについてはこちらで詳しく解説しています。

迎え盆/送り盆とは|意味や迎え火や送り火をする時間などを解説

また、沖縄など旧暦に合わせてお盆(旧盆)を行う場所もあります。

詳しくはこちらで解説しています。

旧盆とは|期間など複数ある意味を解説(沖縄等での旧盆は2019年は8月13-15日)

お盆のなすびときゅうりの処分法

お盆の間飾ったなすときゅうりを処分する方法は、大きく4つあります。

  • 精霊流しで川や海に流す
  • 土に還す
  • 焼く(自宅でもお寺等でも)
  • 塩でお清めし半紙で包み、燃えるごみとして処分する

最も伝統的な処分法は「精霊流し」です。

精霊流しは現代では自治体、寺院などが行ってくださるものです。

昔は各家庭で川や海に行って、他のお盆飾りと共になすときゅうりを流していたそうですが、最近ではできないようになった場所も多く、代わりに家庭から出るお盆飾りをまとめて流してくださる団体があります。

なすときゅうりは生ものですので、家に庭がある場合埋めて土に還すという方法もあります。

また別の処理法はお正月飾りと似ていますが、先祖の霊が使われたものと考え、ただ捨てるのではなく、焼くや塩でのお清めによって処分するという方法もあります。

また、精霊流しではなくても寺院で、お焚き上げという方法などで処分をして下さるところもあります。

お盆になすときゅうりを飾らない宗派

浄土真宗という日本で最も信徒が多いとされる宗派では、お盆のなすときゅうりを飾らないと言います。

浄土真宗(親鸞)の教えに「お盆に亡くなったご先祖様などの霊が帰ってくることはない」というものがあります。

それゆえ、お迎えやお送りする茄子も胡瓜もそもそも飾ることはないと考えるそうです。(浄土真宗の家でも飾るところもあると思います)

ちなみに、お盆に亡くなったご先祖様などの霊が帰ってくることはないというのは、浄土真宗に限られた教えではありません。

そもそもの仏教の教えでは死んだ人が仏となって、霊となって、という考えはないのです。

先祖の霊と言った考えは、仏教に由来するのではなく、日本に古来の信仰に由来します。

少し複雑になるのですが、お盆という行事は今では仏教的行事となっていますが、日本の信仰がルーツにあって、それが仏教の要素を含めたものとなったのです。
※さらに中国の信仰(道教)の要素も混ざっているものともされます。

お盆の由来について説明すると長くなりますので、詳しくは別の記事にてご紹介いたします。

お盆のなすときゅうりを使ったもう一つの飾り「水の子」

お盆になすときゅうりを使った飾りは精霊馬・精霊牛が有名ですが、なすときゅうりをさいの目切りし(立方体に刻む)、蓮の葉か里芋の葉の上に盛り付けた料理をお供えします。

このお供えは水の子と言い、精霊牛や精霊馬とは別の意味を持ちます。

水の子は、お盆の由来となった仏教行事の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」で、餓鬼道に堕ちた衆生を供養するという意味を持ったものです。

寺院ではお盆の時期に施餓鬼会という法要をしていますが、水の子はこの施餓鬼会の考えに由来するお供え物です。