歳神様(年神様)とは|お正月にお迎えする神様を解説
歳神様(年神様)とは、お正月にお迎えする、私たちの一年の一年の幸せをお祈りする大切な神様です。
本来お正月とは、歳神様(年神様)をお迎えする行事で、お年玉やおせち等お正月の行事も元は歳神様(年神様)に関係するものです。
今回はそんな幸せをもたらしてくださる歳神様(年神様)の正しい迎え方(正月飾りの正しい飾り方、神棚の祀り方)をご紹介します。
歳神様(年神様)はどんな神様か
「歳神様・年神様」は「としがみさま」と読みます。
この神様は、
- 日本の様々な地域で信仰された神様
- 日本人の生活に重要であった農耕に関わる神様(神道の神様)
が長い年月をかけて、同一視され今の歳神様(年神様)になったと考えられています。
そのため、様々な面を持つのですが、具体的にどのような神様と考えられているか解説いたします。
穀物神
歳神様(年神様)は農耕民の多い日本において、とても重要な一年間の豊作・五穀豊穣をもたらしてくださる穀物神という神様として、祀られました。
歳神様という名前の意味を、日本の国学を大成した江戸時代の国学者、本居宣長は次のように説明します。
「歳とは、登志(とし)のことであり、登志(とし)とは穀物のことである」
つまり、歳神様の歳という字は元々、年を意味したものではないというのです。
昔の人にとって特に重要な稲の豊作を願い、歳神様(年神様)を年初に拝んだとされます。
来訪神
時代が経つにつれ、歳神様は、一年に一度お正月にやってくる年神様という側面が強くなります。
この一年に一度のお正月にやってくる神様と言うことを、来訪神と言います。
歳神様(年神様)は初日の出の太陽と共に来られる、山から下りてこられると一般に言われる現代ではこの来訪神としての側面が強く意識されているようです。
ちなみに、現代では一年に一度来られると考えていますが、日本では古来より、現在の12カ月を2年と考え生活をしていました。(つまり、一年は二年に分かれており、歳神様(年神様)は2度来られたと考えられます)
今でも、一年が二年に分かれていたことに由来する行事が残っています。
重要な祝詞の大祓詞が生まれた、年中行事の6月30日の夏越大祓と12月31日の大祓い(年越の祓)は一年の終わりの晦日に行われる行事です。
つまり、古来日本では7月1日と1月1日がそれぞれ新年だと考えられていたのですね。
神道の豊穣神(大歳神)
歳神様(年神様)は後述しますが、大歳神(その子神の御年神)という日本神話に出てくる神様と同一視されています。
この神道の神様は、豊穣をもたらす豊穣神であり、日本の神社でご祭神として祀るところもあります。
先祖の霊(祖霊)
また、民間信仰からから自然発生した、先祖の霊や様々な神々が習合した神様として、歳神様(年神様)という考え方があります。
日本の民俗学者の第一人者である柳田國男が歳神様(年神様)について述べた言葉を簡潔にまとめると
「歳棚に祭る神とは、家々の祖霊であって、福の神でもある」
このように言いました。
日本には八百万の神々がおられ、あらゆる自然(山、川、海、岩)や場所(家の中)、モノや動物、それらの神々のように、日本では様々な神様を祀る文化が根付いているのと同時に、仏教によって祖霊を祀る文化も混在しています。
そういったものが混ざり合った結果、いずれにしても、季節の変わり目に勢力を運び込むものと昔の人々は考えたと柳田國男は述べています。
歳神様(年神様)をお迎えする意味
歳神様(年神様)はどの神様の説が正しいというのではなく、どの神様でもあるというのが日本らしいですね。
そんな様々な側面を持つ歳神様(年神様)をお迎えする意味はそもそも何なのかというと、
- 五穀豊穣
- 長寿
- 無病息災
- 家内安全
- 商売繫盛
今の私たちの生活に関わる様々な幸せを願うためにお迎えをするのです。
後程解説する、どんど焼きやお年玉という歳神様(年神様)に関わる様々な行事や習慣は、本来私たちの幸せを祈願するものだったということが実は多いのです。
歳神様(年神様)の別名・読み方
歳神様(年神様)は地方の民間信仰で崇められていた神様も習合したことも関係してか、様々な別名、同一視される神様がおられます。
それらの別名と読み方をご紹介します。
歳徳神(としとくじん)
歳神様(年神様)と同一視される、陰陽道でその年の福徳を司る神様です。
恵方巻で方角を意識するのは、この歳徳神のおられる、「この方角に向かって物事を行えば何事も成就する」と考えられる「あき方(恵方)」を向くためです。
歳徳神は、恵方様、とんど様、おとんど、トシドシと言った呼称もあります。
大歳神/大年神(おおとしがみ)
先ほど軽く説明した、日本神話にも出てくる神道の神様です。
大歳神はスサノオノミコトとクシナダヒメの子の神様として神話の中で系図があります。
稲荷社のご祭神で、五穀豊穣・商売繫盛の神としても有名なウカノミタマの兄弟神に当たる神様です。
また、大歳神の子として系図にある御年神も歳神様(年神様)と同一視されます。
さらに、大歳神の孫として古事記に現れる若年神(若年様)もまた歳神様(年神様)の別名として知られる神様です。
いずれの神話に登場する神様も名前と系図のみが描かれ、どのような神様かは具体的にはわかりません。
また、歳神様(年神様)はお正月様と言う別名もあります。
兄弟神のウカノミタマノミコト、お稲荷様として知られる神様を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
ウカノミタマノカミ(宇迦之御魂神)|お稲荷様/豊穣の神のご利益や神社
大歳神/大年神を祀る神社
歳神様(年神様)は来訪神として家にお迎えする神様と一般に知られますが、同一視される大歳神がおられますので、祀られる神社もあります。
- 神部神社浅間神社大歳御祖神社(静岡県)
- 水無神社(岐阜県)
- 大歳神社(山口県)
等々があります。
歳神様(年神様)の迎え方
歳神様(年神様)は私たちの家に来られる神様ですので、正しい迎え方をしなければ、歳神様(年神様)が来られないということになります。
そのため、歳神様(年神様)をお迎えするために必要な情報をまとめます。
- 歳神様(年神様)がいつ来られるのか
- 歳神様(年神様)のための正月飾りのそれぞれの意味と飾り方、飾る日
※飾ってはいけない日があります - 歳神様(年神様)を祀る場所
- 歳神様(年神様)をお送りする方法
これらを理解し、良い一年をお迎えください。
歳神様(年神様)はいつ来られるのか
歳神様(年神様)が来られる時間については、諸説あります。
いずれの場合でも、お迎えする方法には変わりはありません。
初日の出と共に来られる
皆さんは親や祖父母がお正月お天道様に向かい新年のご挨拶や祝詞を奏上しているところを見たことはありますでしょうか?
私の家では毎年行われていたのですが、歳神様(年神様)は初日の出と共に来られるという考え方があり、初日の出を拝むという風習が日本にはあります。
拝むということまではしなくても、富士山のご来光でも有名ですが、初日の出を山に見に行くということを行っている人は多いと思います。
実は初日の出を見るというのは、歳神様(年神様)がお越しになられるのを見に行くということだったんですね。
ちなみに、初日の出と共に来られるという考えの他にも、山から下りてこられるという考えもあります。
ご来光を見るために、初日の出を山に見に行くと言うのは実はとても神聖な行動だったということです。
ちなみに2019年の初日の出は東京近郊が6時50分。大阪近郊が7時10分です。
大晦日の日没後
歳神様(年神様)が来られる時間は、12月31日の日没後という考え方もあります。
ちなみに2018年12月31日の日没は、東京が16時37分で大阪が17時ちょうどだそうです。
正月事始めから歳神様(年神様)をお迎えするため大掃除
正月に向けて飾り付けの準備や大掃除を始める日と言うのが暦ではあることをご存知ですか?
その日は12月13日(地域によって変わります)で、
この日を
これらの呼び名があります。
歳神様(年神様)を含む、神様は不浄を忌み嫌います。
歳神様(年神様)をお迎えするにふさわしい清浄な場所にするため大掃除は大変ですが、頑張りたいものです。
ちなみに、すす払いの手順としては、まず神棚を掃除してから、台所や各部屋の掃除を行うものとされています。
参考:煤払い 神社本庁
歳神様(年神様お迎えする正月飾りの飾り方
さて、大掃除はまだ行う日に決まりはありません。
強いて言うと、歳神様(年神様)が来られると考えられる大晦日には終わらせるものですが、正月飾りは飾るのが良いとされる日、飾ってはいけない日などが存在します。
また、それぞれの正月飾りには歳神様(年神様)にまつわる重要な意味がありますので、ご紹介をします。
門松・松飾りで歳神様(年神様)を案内
門や玄関の前に置く、門松(松飾り)は歳神様(年神様)に家に来ていただくための目印になるものです。
また、歳神様(年神様)が宿る依り代にもなると考えられるため、扱いは雑にしてはいけません。
門松、松飾りの正しい飾り方、飾ってはいけない日等詳しい解説はこちらをご覧ください。
しめ飾りは邪気を防ぎ、歳神様(年神様)にふさわしい場所に
しめ飾りは玄関や門の上部に飾り、不浄なモノや穢れが入りこまないようにする結界を意味する正月飾りです。
しめ飾りをすることで、歳神様(年神様)を迎える場所にふさわしいということを意味します。
鏡餅は歳神様(年神様)の依り代に
鏡餅は神棚や床の間に飾る正月飾りで、こちらは家にお迎えした歳神様(年神様)が宿る依り代になり、正月が明けるまでこちらに歳神様(年神様)は居られるとされます。
鏡餅がなぜ丸く、鏡という名前がついているのかと言うと、神様のご神体となる鏡の元祖である三種の神器の八咫鏡(ヤタノカガミ)を鏡餅で表現しているからです。
鏡餅をいただくことは歳神様(年神様)にあやかるため
鏡餅は鏡開きという行事にて、適切な方法で食べるお餅の大きさにします。
この鏡餅のお餅をいただくことは、歳神様(年神様)の宿った神聖なものをいただくということを意味し、無病息災や、子供の成長を願うという意味を持ちます。
ちなみに、お年玉は元々はお餅を子供や目下の人に分けたことが由来となっています。
このお年玉として渡すお餅も歳神様(年神様)の御霊が宿る、神聖なもので、一年の活力を授けるという意味を持っていました。
歳神様(年神様)へ失礼のない正しい飾り方
それぞれの正月飾りが重要な意味を持っていることを理解し、歳神様(年神様)に失礼のないように飾りましょう。
正月飾りを飾って良い日と飾ってはいけない日
この門松や松飾りや以下で見るしめ飾り等、正月飾りを飾る日は12月28日が良いとされています。(12月13日~28日ならいつでもよい)
ただし、29日、30日、31日に飾ることは縁起が良くない、もしくは歳神様(年神様)へ不敬とされます。
29日に飾り立てることは、「苦立て」とされ、31日や30日(旧暦の大晦日)に正月飾りを飾ることは一夜飾りと言い、神様にたった一晩飾ったものでは、失礼に当たると言います。
※30日を良いとする説もあります。こちらは皆さんの気持ちの問題ですので、この日を避けるかどうかはご家庭でお決めください。
飾る場所、飾り方等についてはこちらで詳細に解説をしていますのでご覧ください。
門松の意味/由来とは|種類や飾り方、正月いつからいつまで飾るか解説
松飾りとはいつからいつまで飾るのか?意味や飾り方・外した後の処分法を解説
しめ飾りの意味とは|いつまでいつまでが正しい飾り方か処分法も解説
おせちは歳神様(年神様)へのお供え物でもある
正月飾りと共に、お正月の代表的な風物詩のおせちは歳神様(年神様)へお供え物がそもそもの起源とされます。
後に歳神様(年神様)へのお供え物という側面と、私たちの幸せを願うという側面の二つを持つものになります。
祝箸も歳神様(年神様)と関係
お正月は箸の両端が細くなった祝箸を使います。
この祝箸の形状や、祝箸を入れる箸紙に名前を入れることも歳神様(年神様)に関わることなのです。
祝箸の両端が細いのは、片方が歳神様(年神様)が利用されるため、片方が私たちが食べるためです。
また、祝箸の箸紙に私たちの名前を書くのは、歳神様(年神様)にこれから一年間の家族の幸せを願い、災厄から守っていただくというご利益にあやかるためです。
このように神様と同じお箸で料理をいただくことを、「神人共食」と言います。
歳神様(年神様)の祀り方
歳神様(年神様)の祀り方に関して、ネット上では、神棚に祀りますと感じるような表記が多くあります。
実際、地域(特に東北地方)によってそのようなところもあります。
しかし歳神様(年神様)の一般的な祀り方は、神棚ではなく、基本は床の間にて、正しく鏡餅や飾りを配置することです。
歳神様(年神様)の祀り方は床の間がある家では、次のように祀ります。
- 三方(さんぽう)という神前に物を備えるときに使う台の上に半紙を敷く
- 裏白(うらじろ)もしくは、ゆずり葉という植物を敷く
- 葉の上に鏡餅を乗せる
- 昆布を餅の上に乗せる
- 橙(だいだい)を昆布の上に乗せる
※昆布がない略式もあります。
※上記はあくまで一般的な飾り付けで地域によって他の縁起物を飾ったり、四方紅と言う和紙や紙垂を飾り付けるところもあります。
鏡餅を飾ったのち、床の間の幅が許すのであれば、
- 右から、鏡餅、香炉、生け花を飾る
- 生け花には松竹梅や福寿草と言った縁起の良い植物が適当
さらに掛け軸を生け花に飾った花以外のもので飾れば完成形とされます。
こうして、歳神様(年神様)の宿る鏡餅の設置は完了です。
床の間がない場合は、家族が集まるリビング等の場所に飾ります。
飾る場所は暗い場所で、見下ろすような低い場所はよくありません。
明るい場所で、できれば棚の上などに飾り付けます。
また飾る向きは神様ですので、神棚と同じ南向きもしくは東向きが良いとされます。
また、鏡餅は複数飾っても良いとされ、小さなものを神棚や家の他の場所に飾り、歳神様(年神様)にそこに来ていただくということも可能です。
歳神様(年神様)の神棚の祀り方も
地域によっては、歳神様(年神様)を神棚に祀る地域もあり、宮城県神社庁では、歳神様(年神様)の神棚での祀り方について、詳しく解説をしてくださっています。
また、地域によっては年神棚という独自の棚を造ったり、神棚とは別に歳神様(年神様)を祀る棚を作るところもあります。
先ほどの床の間の飾り方はあくまで一般的な飾り方ですので、ご自身の地域の神社に確認をされるのがよいでしょう。
歳神様(年神様)のお札
神棚に飾るお札は天照大御神のお札である神宮大麻、氏神様の祀られる神社のお札、家で特別ご参拝している上記以外の崇敬神社のお札を飾るが基本です。
そこに地域によっては歳神様(年神様)のお札をお祀りするところもあるようです。
皆さんの地域にはその文化があるのか、年末年始にお近くの神社で歳神様(年神様)を意味するお正月様と言った神様のお札があるかをご確認ください。
おせちは歳神様(年神様)へのお供え物
普段は米、水、塩の基本の三つだけというご家庭でも、新年には頂き物や季節の初物、野菜や果物を神棚にお供えすることもあると思います。
それに加え、お正月を迎える大晦日にはおせちを神棚にお供えします。
暮れにおせちを作るのは、煙が出る煮炊きと言った料理が歳神様(年神様)を迎えの妨げにならないよう慎むためです。
お供えをして、年明けにおせちを食べ歳神様(年神様)をのご利益をいただきましょう。
新年は歳神様以外の神様にもご挨拶を忘れずに
歳神様(年神様)を祀る場所は基本神棚ではないにしても、新年に向けて神棚はしっかりと煤払いで掃除をして清め、神棚に新年のご挨拶は必ずしましょう。
また初詣は氏神様という、家の建つ土地の神様への新年のご挨拶の行事です。
歳神様をお迎えしただけではなく、しっかりと氏神様へのご挨拶は忘れずに。
歳神様(年神様)が来ない家にならないために
歳神様(年神様)に来ていただくため、お迎えの準備には次の点に気を付けましょう。
- 不浄を嫌う神様ですので、掃除は28日までには終わらせておきましょう
- 正月飾りも28日までに飾り付けましょう
歳神様(年神様)がいつまで居られるかとお送りの方法
歳神様(年神様)はお正月の間、鏡餅に宿り、家におられます。
では、歳神様(年神様)がおられる、お正月はいつまでかをご存知でしょうか?
歳神様(年神様)がおられるお正月の期間は松の内までと決まっています。
ただし、この松の内は地域によって変わるのです。
歳神様(年神様)がいつまで居られるかは地域による
現在は一般的に松の内は1月7日の大正月とされていますが、関西では1月15日の小正月を松の内としています。
家に来られた歳神様(年神様)のいる期間が地域によって変わるというのも変な感じですが、これには松の内の歴史が関係しています。
松の内について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
松の内とはいつまでを意味?正月の期間/この時期の行事を解説|2019の年中行事
歳神様(年神様)の依り代となる門松等は松の内の間飾る
松の内の期間が変わるということは、歳神様(年神様)の居られる期間が変わるということと、正月飾りの片付ける日なども地域によって変わることを意味します。
門松や松飾り、しめ飾りという正月飾りと一年間神棚に飾ったお札や破魔矢は松の内の終わりに適切に処分をする必要があります。
皆さんの地域で門松等のお正月飾りははいつまで飾るのか、その調べ方も含めてこちらで詳しく解説しています。
門松はいつまで飾るのが正しいか|正月飾りはいつから飾るかも解説
歳神様(年神様)はどんど焼きでお見送り
歳神様(年神様)はお正月の期間家に居られた後、どんど焼きという火祭りで空へお見送りをします。
どんど焼きは左義長/お焚き上げなど様々な呼び名があり、地域によって火祭りと呼ばれたり、道祖神祭りと言うところもあります。
どんど焼きは歳神様(年神様)をお見送りするだけでなく、火や煙に当たり厄を払う、悪霊を払うという意味や、どんど焼きで食べるお団子を食べて無病息災を願うなど、様々な祈りを込めるお祭りです。
このお祭りで、門松や松飾り、しめ飾りと言った正月飾りやお札を焼いて処分します。
神社や地域の自治体や、有志の人で行われるものです。
本来は松の内の終わりの小正月に行うのが全国一律でしたが、松の内の期間が変わったことを受けて、地域によって1月7日や8日、1月の第二日曜や第二月曜日に行われます。
どんど焼きについて詳しく解説しています。
どんど焼き/どんと祭りとはどんな意味・由来の行事?2019年はいつ行うか解説
もし、どんど焼きで処分ができなかった場合は、自宅でごみとして出すことになりますが、半紙の上において塩を振りお清めと感謝の念を込めて捨てるのが適切とされます。
歳神様(年神様)の依り代の鏡餅は鏡開きで
お正月に飾る鏡餅以外はどんど焼きにて処分しますが、鏡餅は別の行事で下げて、食べます。
この行事を鏡開きと言い、鏡餅を食べられるように小さくして、それをおしるこやぜんざいという小豆と一緒に食べることで、一年の無病息災を願います。
鏡餅を食べ歯固めをするというのも、古来の風習です。
この鏡開きも地域によって1月11日や1月20日と違いがあります。
ちなみに鏡開きでは、神様の依り代となった鏡餅を食べられるようにするのですが、包丁で切ったりしてはいけません。
これは武家で切るということは切腹につながる言葉と考えられため、開くという「運が開ける」等縁起のよい言葉になったと言います。
ちなみに、割るという言葉も忌み言葉として利用されません。
包丁で切らない代わりに木槌なんかで叩いて小さくするのが、伝統的な鏡開きの方法です。
歳神様(年神様)を正しくお迎えし良い一年の祈願を
長くなりましたが、一年の始まりであるお正月は私たちに福をもたらしてくださる歳神様(年神様)をお迎えし、一緒に過ごす大切な年中行事です。
正しくお迎え、お見送りをして、一年の幸せや厄払いを願い、良い一年のスタートを切りましょう。
最後に、今回はなるべく、一般的な歳神様(年神様)の迎え方をご紹介し、なるべく地域のことにも触れるようにいたしましたが、ここに書いているのはあくまで、一般論。
ご家庭や、地域のお迎えの仕方は存在し、それらは千差万別であると考えられます。
どれが正しいという考えではなく、こういったお迎えの方法もあるんだということをご理解いただけると幸いです。