迎え盆と送り盆とは|いつ迎え火/送り火をするか等解説
迎え盆と送り盆とは、お盆の最初の日と最後の日に、先祖の霊などをお迎えする、お送りする儀式・日のことを意味します。
迎え盆と送り盆を行う意味
お盆ではご先祖様の霊、その他様々な霊も含めあの世からやってくると考えられています。
迎え盆はそのご先祖様の霊を家のお仏壇にご案内し、送り盆はご先祖様の霊をあの世までお見送りするために行います。
迎え盆と送り盆で行うことは地域によって違いますし、日にちも違います。
またお盆とは何の行事なのかという概念から違う考えを持つ宗派もあったりします。
そもそもお盆の起源も仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)が起源とも言われますが、仏教以外の日本の祖霊信仰や中国の道教の影響があるなど、はっきりとしたものではありません。
ここでご紹介するのは伝統行事などを解説する本に載っているような、一般的な迎え盆や送り盆や有名な方法中心です。
そのため家の方法が違う場合もあるので、ご心配なさらないようにお願いします。
まずは迎え盆について詳しくご紹介します。
迎え盆とは(2019年8月13日が主流)
迎え盆は、一般的なお盆休みと被る8月13日に当たるのが一般的です。
ご先祖様の霊は13日の夕刻に帰ってこられると言われていますので、この日もしくはこの日までにご先祖様の霊をお呼びするための精霊棚を準備し、お墓参りをして、その後迎え火などでご先祖様の霊をお呼びします。
Q.迎え盆はいつか→A.地域等によって変わる
一般的に迎え盆は8月13日と書きましたが、地域によってお盆が7月のところ、それ以外の地域などもあり、迎え盆がいつになるかはご家族や地域の伝統に合わせてください。
ちなみに、8月のお盆は実は古来のお盆のあった日ではなく、月遅れ盆や新のお盆などとも言われ、比較的新しく導入された日にちです。
一方7月のお盆は旧のお盆などともこちらが本来のお盆の日にちとなっていました。
※しかし現代の7月15日のお盆もまた、昔のお盆の日にちとはずれます。
お盆が7月の地域は、東京を中心に全国で3割ほどあるという調査もありますが、そういった話について詳しくこちらでまとめていますのでご覧ください。
お盆が7月にもある理由|お盆が7月の地域や8月との違いについて解説
またお盆の期間についてはこちらでも解説しております。
お盆の2019年の期間|お盆がいつかは地域で変わる(東京等ではお盆は7月に)
迎え盆の迎え火等行うこと
迎え盆では迎え火を始め、精霊棚の準備などを行います。
一般的な迎え盆(もしくはそれまでに行うもの)に行うことは以下の通りです。
- お盆飾りの準備
お仏壇の掃除、精霊棚(盆棚)、盆提灯等 - お墓参り
お墓の掃除、ご先祖様の霊をお呼びする - 迎え火
ご先祖様の霊が迷わないように火を灯す
ざっとこのような流れです。
簡単にそれぞれ何を行うかを解説いたします。
迎え盆に向け盆提灯やお花等お供え物を準備
お盆飾りとまとめてご紹介しましたが、ご先祖様の霊をお呼びするために、様々な飾り付けを行います。
有名なお盆のなすときゅうりの飾り(精霊牛/精霊馬)などの他にも、お盆のお供え物はたくさんあります。
ここに挙げたものを飾らない、また挙げたもの以外を飾る地域もあるかもしれません。
盆棚(精霊棚)
盆棚はお仏壇の前に設置ます。
真菰(まこも)という植物で編んだゴザ、もしくは白い布を机の上に敷きます。
その上に、
- お花(毒のある花など一部不適当なものを除いて特に決まりはない)
- 野菜や果物
- 精霊牛/精霊馬
- 水の子
- みそはぎの花
- お盆団子
等々を置きます。
そして盆棚の横、上記のイラストのように盆提灯を一対(二対の場合も)を飾ります。
伝統的で正式な方法ですと、四隅に青竹を立てて、盆棚の上を通るように縄を張ります。
この縄に
- ホオズキ
- そうめん
- 昆布
などを吊るしますが、略式でこれらを盆棚の上に置くという方法も一般的になっています。
お盆のお供えについてはこちらで詳しく解説しています。
お盆のお供えの仕方,お盆のお供え物で贈るお菓子の金額やのしのマナー等解説
迎え盆のお墓参りでご先祖様をお迎え
お盆にはお墓参りをするものですが、そのお墓参りをする理由にはご先祖様の霊をお呼びするという考えなどがあります。
これは地域によって違うものですので、迎え盆にお墓参りをしても、ご先祖様の霊をお迎えするという意図が無い場合もあります。
いずれにしても、お盆のお墓参りをした際は、お供えし手を合わせ、掃除をする必要がある霊園やお寺などでは掃除を行います。
迎え火について
迎え火はお盆の13日の夕刻にご先祖様の霊が帰ってくると言いますので、その時間に行うのが一般的です。
お墓参りをして、ご先祖様の霊をお迎えするという場合、お墓の前で、盆提灯に火を灯して、それを家まで持って帰り、飾ります。
お墓が遠いところにある場合など、こういったことができませんので、仏壇の前に飾った盆提灯を点灯するという略式もあります。
ちなみに正式な迎え火の方法は、
玄関先などで、炮烙(ほうらく)と呼ばれる素焼きの皿の上で、麻幹(おがら)と呼ばれる麻の茎を乾燥させたを井の字に組んで燃やすとされます。
炮烙(ほうらく)や麻幹(おがら)という、聞きなれないものがありますが、仏具屋さんやスーパーで売っているので、今年してみようと思う方はぜひ購入してみてください。
ちなみに、この迎え火の上をまたぐことは厄除けのご利益に預かれるとする地域もあります。
迎え盆の時間帯について
迎え盆は、送り火を行う夕刻以外は特に時間は決まっていません。
ですので、13日の夕刻までに盆棚等のお盆飾りを飾り付けるのでも良いですし、12日にお盆飾りを飾り始めても問題ありません。
送り盆とは(2019年8月16日が主流)
送り盆とは、お盆の間滞在頂いたご先祖様の霊をお送りする一連の行事です。
“送り盆はいつか/何をするか”も地域等で変わる
迎え盆と同様、地域によって、送り盆の日にちも、行うことも変わります。
13日に迎え盆を行った地域では、15日や16日に送り盆があります。
8月16日と言えば、京都の「五山送り火」でも有名ですが、送り火でご先祖様の霊をお送りします。
他にも精霊流し(しょうりょうながし)、精霊送りとも言われる、川や海にお盆飾りなどを流して、ご先祖様の霊も一緒に帰っていただくという送り盆の行事もあります。
送り盆に行うことについても簡単にご紹介いたします。
送り盆の送り火
送り盆に行う代表的なご先祖様の霊のお送り方法は、送り火です。
15日の夕方か16日の早朝に、迎え火と同じ方法、同じ場所で送り火を焚きます。
送り火と迎え火はいずれもご先祖様の道を照らすご案内になるものと考えられています。
送り盆の精霊流し
地域によって、送り火に代わり、海や川にお供え物を持って行きそれらを流しあの世にご先祖様の霊をお送りするという風習があります。
私は送り盆には送り火ではなく精霊流しを行う地域に育ちましたので、精霊流しを行っています。
精霊流しは、昔は川や海にお供え物を各家庭でそのまま流していたそうですが、今では環境のこともあり自治体、もしくはどこかの団体がお供え物を流すという活動をしてくださっています。
地域のそれらのルールに従って精霊流しをしましょう。
ちなみに、この精霊流しは地域によって火を灯した灯篭(灯籠)を流す行事である灯篭流し(とうろうながし)と言われることもあります。
長崎の灯籠流しなどは有名ですね。
送り盆の時間帯について
送り盆に行う送り火や精霊流しは大体15日の夕刻に行われていると思います。(7月も8月も)
もしくは16日の午前中が伝統的に行われています。
ただ、京都の五山の送り火など16日の夕刻~夜に行う地域もあります。
迎え盆~送り盆の期間について
地域によって迎え盆や送り盆がバラバラだとご紹介したので、今一度期間についてまとめます。
お盆は江戸時代までは全国共通で旧暦の7月15日に行われていました。
明治になって一カ月ほど月のずれが出たため、新暦で7月15日に・8月15日にお盆を行うようになります。
15日とその前日の14日を中日とし、
15日の2日前の13日が迎え盆
15日の1日後の16日が送り盆となり7月8月いずれもこの日程で行われます。
旧盆と言って、沖縄等で旧暦の7月15日に合わせてお盆を行う地域や、少しお盆がずれた地域で行うところでは、中日の2日前と1日後が迎え盆と送り盆になります。
また、お盆の中日が15日というのは一般的に言われるもので、15日に送り盆がやってきて、15日に送り火などをする地域もあります。
旧盆についてはこちらで詳しく解説しています。
旧盆とは|期間など複数ある意味を解説(沖縄等での旧盆は2019年は8月13-15日)
迎え盆と送り盆の仕方と違い
迎え火の方法、送り火と精霊流しなど、迎え盆と送り盆に行うことは地域によって大きく違うとご紹介しましたが、実は地域だけではなく、宗派でも考え方が変わります。
浄土真宗の迎え盆と送り盆
その最たる例が浄土真宗です。
浄土真宗では、開祖の親鸞の教えから、ご先祖様の霊が帰ってくると考えないので、一般的に知られるお盆を行わないとされます。
これは家庭によりますので、浄土真宗の信徒に多いというくらいです。
迎え盆のきゅうり(馬)/送り盆のなす(牛)の飾り
また、きゅうりとなすで馬と牛に見立ててご先祖様の霊を迎える/送るというお盆飾りですが、この動物の考え方も地域によって変わります。
一般的には、ご先祖様の霊に速く家に帰ってきてもらうために足の速い馬(きゅうり)でお迎えし、
ご先祖様の霊が帰るときはゆっくりと帰っていただくために足の遅い牛(なす)でお送りすると考えます。
しかし、逆に考える地域や牛はお供え物を持って帰っていただくためだとか様々な解釈が存在します。
詳しくはこちらで解説しておりますので、ご覧ください。
お盆のなすときゅうり(精霊馬)の意味とは|作り方や飾り方など解説
初盆の場合の迎え盆・送り盆について
初盆(はつぼん/ういぼん)、もしくは新盆(にいぼん)と言われる、亡くなられた方の命日から49日経過して初めてのお盆では普段のお盆と少し違います。
初盆では、服装も略式の喪服、もしくは黒系のスーツやワンピースを着ます。
そして、普段のお盆に僧侶を呼び棚経を上げてもらわない家庭でも、僧侶を呼びお経をあげていただきます。
初盆の時にお呼びした時のお布施をお納めします。
金額や水引は一般的な相場より少し多めにすると言うのが慣習となっています。
一般的なお盆のお布施が5000~30000円ほどとされ、
初盆には30000円~50000円などとも言われます。
ちなみに、迎え盆と送り盆に行うことは、普段のお盆に比べお供え物を豪勢にしたり、特に故人が好きだったものをお供えするということ以外は大きく変わりません。
ちなみに、親戚として初盆を迎える家に向かう場合、白い提灯を送るのが伝統的な習わしとされます。
亡くなってから49日立たない場合は、亡くなって初めてのお盆とは言っても、初盆にはならず来年が初盆になりますのでご注意ください。
送り盆に行われる大きなお祭
送り盆では、各地で様々なお祭りが行われますが、それらは送り盆に関わるお祭りも多くあります。
お祭り等の送り火の独特なやり方
お盆という行事は家族の祖先の霊に向けたものと、今では一般に知られますが、本来は餓鬼道に堕ちてつらい思いをしている衆生を救うための行事の盂蘭盆会(うらぼんえ)、サンスクリット語のウランバナが由来となっています。
そのため、お寺によってはお盆の時期に施餓鬼会と言う法要を行っているところもあります。
この先祖に限らず、多くの霊(餓鬼となった霊や)、広く故人を追悼する意を込めた独特な送り火が各地の人気行事となっているのです。
盂蘭盆・盂蘭盆会についてはこちらで詳しく解説しています。
盂蘭盆とは|意味や盂蘭盆会という法要の起源・期間について解説
京都の大文字焼き
京都の大文字焼き(五山の送り火)は期限がはっきりしません。
空海が始めたという説や、足利将軍が始めたなど様々な説がありますが、お盆休みを締めくくる一大行事として、夏の京都の風物詩となっています。
大文字焼きという名で知られ、「大」の字の送り火が知られますが、他にも、「妙、法、船形、鳥居形」などがあります。
鳥居の形などは、神道的なものであり、お盆という行事が仏教に縛られたものではないことを感じさせる部分ですね。
「送り盆まつり」横手市
長崎の灯籠流しでは、お祭りではなくあくまで、故人とう亡くなった方への追悼の灯籠流しをしていますが、群馬県の横手市ではお祭と称し、屋形船がでて、盆踊りをし、花火まである送り盆のイベントがあります。
参考:横手市 送り盆祭 横手市観光協会