夏至と冬至とは
夏至と冬至は日本に限らず世界の多くの地域で重要な日とされてきました。
夏至と冬至はそれぞれ太陽の南中高度が一年で最も高い日と低い日で、太陽の動きが一年の中でも特徴的なそれぞれの日に古代の人は様々な意味を見出してきました。
今回は夏至と冬至にまつわる様々な情報をご紹介します。
ちなみにそれぞれの読み方は「夏至:げし」「冬至:とうじ」です。
夏至と冬至は二至と言う
夏至と冬至は二十四節気の一つで、24ある節気の中でも特に重要な日とされ二至と呼ばれます。
二十四節気とは、中国で発祥した考え方で、太陽の位置をで季節を観測するというものです。
二十四節気についてはこちらで詳しくご紹介しています。
二十四節気(にじゅうしせっき)とは|意味の解説や24節気カレンダー2019年版付
ちなみに、二十四節気ではさらにそれらを5日ごとに分け、一年を72の候に分け、季節の細やかな移り変わりで表現する七十二候というものもあります。
夏至と冬至の七十二候はそれぞれ次のように言われます。
夏至の七十二候
- 初侯:乃東枯(なつかれくさかるる)
- 次候:菖蒲華(あやめはなさく)
- 末候:半夏生(はんげしょうず)
冬至の七十二候
- 初侯:乃東生(なつかれくさしょうず)
- 次候:麋角解(さわしかのつのおつる)
- 末候:雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)
詳しくはこちらで解説しています。
七十二候とは|二十四節気と読み方など解説。2019年72候カレンダー付
夏至・冬至に加え春分・秋分の日も重要視される
この二十四節気の中では夏至と冬至に加え、春分の日と秋分の日も重要な日と考えられています。
これらの日はいずれも太陽の動きが特徴的なことから、古代の文明においては重要な日とされており、今でもお祭などが行われます。
夏至と冬至が2020年いつか
夏至と冬至は太陽の動きによって決まりますので、年によってずれます。
夏至は2020年6月21日~
夏至は6月21日に当たりますが、二十四節気においては約15日間という期間も意味する言葉です。
夏至は梅雨の時期に当たりますので、曇り空の多い日に当たることが多いです。
ちなみに夏至は太陽が最も高く上がる日ですので、一般には昼(日照時間)が最も長くなる日と言われますが、実際は地球上の大気の存在などによって一番昼が長い日ではありません。
また、夏至の日が太陽の出る時間が長い日であるのに気温が最も高い日ではないのは、太陽の光によって地球が温まり気温が上がるには1カ月ほどの時間がかかるからです。
二十四節気において、一年で最も熱くなると言われる大暑の日は夏至から30日後からの15日とされます。
冬至は2020年12月21日~
冬至は12月21日になりますが、夏至と同様、二十四節気においては冬至の日からの15日間も意味します。
夏至の逆で一年で最も昼が短い日とされますが、実際には最も短い日は別です。
冬至も一年で最も寒くなるわけではなく、その30日後に大寒という暦の上で最も寒い日がやってきます。
夏至と冬至の太陽の動きについて
夏至と冬至の日は最も昼が長い日、最も昼が短い日ではないとご紹介しましたが、実際どのような日であるのかについてご紹介します。
ちなみに、このように夏至と冬至という差が生まれるのは、地球が傾いて太陽を好転している事が原因です。
夏至と冬至の日照時間の差
夏至と冬至の大きな差である日照時間ですが、約6時間もの差があります。(雲がなく日光が地面を射しているという仮定です)
2020年の夏至の日は日の出から日の入りまでの時間は14時間34分、
2020年の冬至の日は9時間45分です。
約半年後にやってくる夏至と冬至ですので、このように数字で見ると大きな差があることにびっくりしますね。
ちなみに、夏至と冬至の日照時間の差は南極圏や北極圏に近づくほど大きくなります。
北極では、夏至の日は太陽が沈まず、ずっと日が昇っている状態(=白夜)で逆に南極では夏至の日は太陽が昇りません(極夜)。
そのため、北極や南極での夏至と冬至の日照時間の差は24時間となります。
夏至と冬至それぞれの日の出・日の入りの時間
夏至と冬至の日の出と日の入りの時間は国立天文台のHPにて計算しても止めることができます。
ちなみに2020年の夏至と冬至の日の出、日の入りの時間は以下の通りです。
日の出 | 日の入り | |
夏至 | 4:26 | 19:00 |
冬至 | 6:47 | 16:32 |
(上記の日の出と日の入りの時間は東京の数字です)
上記で述べましたが、実際に夏至と冬至は最も日の出と日の入りが最も早い、遅い日ではありません。
実際の最も昼の長い日(最も日の出が早く、日の入りの遅い日)は夏至の前後でずれます。
逆に最も昼の短い日(日の出が遅く日の入りのはやい日)もずれます。
夏至と冬至の太陽の角度(南中高度)
夏至と冬至は実際には最も昼が長い日、最も昼が短い日ではないとわかりましたが、一年で最も太陽が高く上がる日、低い日ではあります。
太陽が一日の内最も高く上がったときの角度を「南中高度」と言いますが、夏至の日と冬至の日では47°ほどの差が生まれます。
夏至と冬至にまつわる行事や説
夏至と冬至にまつわる行事は世界の多くの地域で見られます。
日本でも、太陽は最高神の天照大御神(アマテラスオオミカミ)とされ特別視されますが、世界の多くで太陽を神聖視する文化があります。
冬至のゆず湯やカボチャ等の食べ物を摂る習慣
太陽が最も光を照らす夏至は大地に力がみなぎり、人々にも力を与えると考え、逆に冬至は力が弱まり、体に不調をきたすとも言われます。
それゆえ、日本では冬至の日に無病息災を祈る意味で、
- ゆず湯に入り
- 南瓜(カボチャ)を食べる
などの習慣が生まれます。
実際、ゆずもカボチャも体に良い栄養素を多く含み、科学的にも効果があるとされます。
一陽来復と言い、冬至の日からは春に向けて、運気が好転すると言われます。
ちなみに、カボチャ以外にも、「ん」がつく食べ物が良いと言われ、人参、銀杏、うどんなども冬至に食べると「運」がつくと言われます。
日本の夏至と冬至にお祭をするところ
日本の各地ではありませんが、夏至と冬至にそれぞれお祀りをする寺社があります。
それらの内の有名なものをご紹介します。
二見興玉神社の夏至祭(三重県)
夫婦岩がある三重県の二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)では、夏至の日に夫婦岩の間から太陽が昇ります。
二見興玉神社の夫婦岩の沖合の海の中には霊石「興玉神石」があり、夏至の日はこの霊石の力、太陽の力によって力を授けていただけるとされ、夏至祭が行われます。
冬至祭
寺社の中では、冬至の日に冬至祭を行うところがあります。
一陽来復のお札を授与してくださるところがあり、一年で最も昼が短く陰の気が強いとされる冬至の日に、そこから陽に転じますようにという願いを込めたご祈祷があります。
ストーンヘンジの夏至と冬至の日の不思議
日本以外でも夏至と冬至の日にまつわる様々なお祭りがありましたが、イギリスにある世界の七不思議の一つ「ストーンヘンジ」という巨石遺跡群では毎年夏至の祭りが行われます。
2万人も集まるイベントで、夏至の日にはストーンヘンジの中心にある祭壇とされる石と他の主要な石の直線状に太陽が昇ります。
偶然の可能性もありますが、世界には太陽の運行に合わせて造営される遺跡がありますので、ストーンヘンジも意図されたものかもしれません。
スウェーデンなどの北欧でも夏至祭
北欧諸国は北極に近いこともあり、夏至の日には夜八時ごろまで空が明るくなります。
北欧の国々では夏至の日には盛大なお祭りをします。
昔スウェーデン人とノルウェー人の知り合いに、夏至の日には夜になっても明るいので、みんなで町に出て大人はお酒を飲んで陽気に楽しむんだと教えてくもらったことがあります。
彼らにとっては昼の長い夏至はとても楽しい一日だそうです。
他にも、高度な天文観測技術を持っていたとするマヤ文明の子孫の人達は夏至の日に豊穣を願うお祀りをするなど、北半球では夏至の日にお祀りをする地域が多くあります。
夏至と冬至の英語表現
夏至と冬至は北半球と南半球でそれぞれ反対になります。
つまり、北半球で夏至の時には南半球では冬至に、
北半球で冬至の時には南半球では夏至になります。
昔は夏至と冬至を意味する英語はそれぞれ
- Summer solstice:夏至
- Winter solstice:冬至
と表現されていたのですが、北半球本位の表現になることから、、
- Northern solstice/June solstice:夏至
- Southern solstice/December solstice:冬至
と表現されるなど、別の英語表現もあります。