小正月とは|いつを意味する年中行事か
小正月は、正月の終わりをに当たる日で日本では古くから様々な行事に関わる重要な日とされてきました。
今回は、そんな小正月がいつなのかということから、
小正月に関わる日本の様々な行事、
小正月に家で行う飾り付け等々を詳しく見ていきます。
最近では希薄になりつつある、お正月という日本の古く良き文化に関わる小正月を知り、どんな意味を込めて行っていたのか等を知っていただければと思います。
小正月は2021年1月15日
小正月は、毎年日付が変わる行事ではなく、毎年1月15日に当たる行事です。
松の内という、お正月の正月飾りを飾っておく期間はこの小正月の1月15日までとするのが古くからの習わしです。
小正月かその前日に松飾り・門松、注連縄を外します。
※松の内を1月7日までとすることに関しては以下で詳しく解説していますのでご覧ください。
小正月は2021年1月14日~16日とする考え方も
小正月は、1月15日とする考え方が一般的ですが、1月14日から16日までの三日間を小正月とする考え方もあります。
中には、14日の日没から15日の日没までとする考え方もあります。
どちらが正しというものではありません。
いずれにしても、この小正月にはどのような意味が込められているのでしょうか?
小正月の意味とは
小正月とは、その日に行う様々なことに関わりますが、次のような意味を持つ日です。
- 今年一年間の健康を願う
- 正月に家にお越しになっていた歳神様(年神様)をお見送りする
- お正月働いた女性を労う
- 今年一年間、災厄が降りかからないように厄払い・悪霊払いをする
- 今年一年豊作でありますようにと願う
- 今年の豊凶を占う
そんな意味を持つ行事が行われるのが小正月です。
そもそも、なぜ1月15日が小正月という日になったのか、その由来をご紹介します。
小正月の由来とは|いつ生まれた行事か
小正月の生まれた由来は、日本に中国式の暦が導入されるさらに前の考え方まで戻ります。
日本では古来、月の満ち欠けによって月日を認識していました。
中国の暦(太陰暦)では新月から新月までを一月としたのに対して、日本では満月から満月を一月にしたといいます。
そして、正月という行事は昔は一年の初めての満月に当たる日になっていました。
その後中国の暦が入ってくると、満月は15日に当たるようになりましたので、本来の正月ではないがその日の満月を愛でたのが小正月の起源とされています。
※旧暦では15日は満月ですが、今の暦では満月とは限りません
ちなみに、暦の本では次のように小正月の意味を解説しています。
小正月
一月十五日を言う。唐制の暦が普及される以前は、満月から満月までを一月と定めていた為その旧式な正月の名残が現在にも受け継がれ各地により違った行事がある。
十四日に門松、七五三(注連)縄を取り去り、この日焚く。出典:歓喜宝暦 神霊館 榎本書店
小正月と大正月
小正月の対義語として大正月があります。
大正月とは
1月1日から1月7日を意味する。⇔小正月
出典:広辞苑 第七版 岩波書店
このように定義されます。
※1月1日を大正月とする説もあります。
お正月を1月15日の小正月までとするのが本来の考え方だったのですが、江戸時代に将軍の命日の関係で、東京を中心にお正月を大正月の1月7日までとする地域も現れました。
そのため、お正月がいつまでかを意味する松の内も地域によって1月7日までと1月15日までの地域にバラバラになり、
さらに小正月の行事のどんど焼き等も大正月の終わりの日にずれているものもあります。
しかし、松の内や小正月の行事が地域によってずれてはいても、全国的に小正月は1月15日であることは変わらず、この日には様々な行事を行います。
小正月の読み方と別名
小正月は他にも様々な呼び名があります。
ここではその別名と読み方をご紹介します。
女正月(おんなしょうがつ)
女性が1月14日までの松の内(お正月の間)準備や親せき、来客者の接待、お正月飾り等の片づけで忙しくしたのが落ち着き、一息付く日として1月15日を指します。
この日は男性が家事を手伝うなど、その労を労うという習慣があります。
花正月
これは後程、飾り付けのところで詳しく解説をしますが、一年の豊作を祈って、削り花や餅花と言った花にまつわる飾り付けを行うことから名づけられました。
この他にも、地域によっては、小年・二番正月・若年などと呼ぶようです。
小正月と食べ物
小正月には様々な願いを込める食べ物があります。
最も有名なのは小豆粥ですね。
小正月は小豆粥を食べるのが一般的
小豆粥は冬至の日や年越しの朝に食べる地域もありますが、小正月に食べるのが最も広まっています。
小豆はその色が朱色・赤色であることからアジア地域で邪気を払う力を持つと言われており、
豆は「魔(ま)を滅(めっ)する」という言葉からも一年間の無病息災を願って食べられてきました。
実際に小豆には、健康成分のポリフェノールを多く含んでおり、たんぱく質、食物繊維、ビタミン類も豊富に含んでいるパワーフードです。
おいしく、栄養価も高いので、小豆粥を小正月に食べて寒い冬を乗り越えましょう。
小豆粥の代わりにぜんざいを小正月に食べるとこも
小豆粥の代わりにおぜんざいを食べる地域もありますね。
小豆粥に鏡餅を入れるという文化も地域によってはあります。
(松の内が1月7日の地域は鏡開きが1月11日に)
このお餅を、小豆粥ではなくおぜんざいに入れて食べるという地域もあるようです。
小正月とお団子
また、小正月にはお団子を食べて無病息災を願うという文化もあります。
これは家で料理をするものではなく、下で見る、どんど焼きという行事の一環で、団子やお餅を焼いて食べるというものです。
どんど焼きの火は厄払いの火、歳神様を天にお送りする神聖な火ですので、そんな火で焼いたお餅にもご利益があると考えられています。
無病息災や虫歯にならないといった意味を込めて食べられているものです。
詳しくはこちらをご覧ください。
小正月に行う行事・事柄
小正月に行う行事はたくさんあります。
家で行うものもあれば、神社で神事として行う行事、地域で行う行事などなど
どれも新年をより良い年にという思いを込めて行われるものです。
ぜひ皆さんもしたことがなかったものでも行ってみたり、参加してみたりしてください。
小正月に飾り付けをする|豊作祈願
ここで見る飾り付けの行事は特に関東や東北を中心に行われる行事です。
餅花(ミズキ団子)
餅花は、柳の木やヌルデという木に小さな餅や団子を刺して飾るものです。
神社なんかで見たことがあるかもしれませんが、こういった飾りをして、一年の五穀豊穣を願うという意味を持っています。
またこの刺したお餅や団子を食べることは無病息災を願うという意味を持ちます。
この装飾には木を削って花に見立てた削り花なんかも装飾をします。
このような花を見立てた飾りが花正月の名前の由来となっています。
餅の代わりに繭玉を飾ることも
繭玉というのは、米粉から作った白玉のような真ん丸の団子(先ほどの画像のイメージ)に色を付けて、同じように木の枝に刺して飾るというものです。
粟穂、稗穂(あわぼ、ひえぼ)
粟穂、稗穂も餅花と同じく、小正月に飾り、一年の五穀豊穣を願うもの(占うという意味もある)です。
こちらは先ほどは花に見立てて作ったものですが、粟や稗の穂に見立てた木を庭先や神棚の近くに飾るというものです。
どんど焼き(どんど祭り,左義長,お焚き上げと同意)
どんど焼きとは、お正月飾りの注連縄や門松、松飾りを燃やす火祭りです。
どんど焼きは、様々なご利益のあると言われる行事で、自治体や神社が行っています。
元々は小正月である1月15日に行っていたのですが、1月15日だった成人式の日が変わったことや、松の内が地域で変わったこともあり、1月8日、1月の第二日曜か月曜、1月15日などバラバラになっています。
この火祭りは、歳神様の依り代となった正月飾りを燃やし、歳神様を見送るという意味や、このお祀りで食べるお餅を食べて無病息災を願うという意味を持ちます。
悪霊払い・厄払いの一面も
どんど焼きの発祥については、地域によって違うため、道祖神祭りとなっているところもありますし、諸説あります。
一つの節に、どんど焼きは悪霊払いのお祭りだったというものもあります。
いずれにしても、今では、この悪霊払い・厄払いという一面も持っていて、どんど焼きの火や煙に当たることや、その火に当てたものを食べるのは、祓という一面も持っています。
小正月は一年の吉凶(豊凶)を占う日
小正月は、幸せを呼び、災厄を除けるという行事に加えて、一年の吉凶や豊凶を占う日でもあります。
先ほど、小豆粥を無病息災を願う食べ物として小正月に食べるとご紹介しましたが、
地方にはこの小豆粥を、占いに使う「筒粥(つつがゆ)」「管粥(くだがゆ)」という粥占があります。
この粥占は神社で粥占神事として行われており、これが一般に広がったという説もあります。
神社によっては小正月にこの神事に使う小豆粥を振舞ってくれるところもあるようです。
その他小正月に行う行事
このほかにも、小正月は様々な行事があり、日本の古来の生活でとても大事な日であったことがわかります。
地方によっては小正月に成木責め、庭田植えという五穀豊穣を願う行事や、
鳥追い、モグラ打ちという穀物にとっての悪霊払いをしているそうです。
また、かまくらも小正月の風物詩であったり、今では年末の風物詩である秋田のなまはげも元々は小正月の行事であったそうです。
小正月に一年間の健康と幸せを祝いましょう
小正月は日本古来の行事であったことから、農業との関わりの深い行事でした。
しかし、その行事は今も昔も、一年間の幸せを願い、不幸を退けるという気持ちを込めた大切な行事です。
ぜひ皆さんも2021年は小正月の行事を行ったり参加してみては?
ちなみに、年賀状は小正月までとする地域とそうでない地域があります。
これは松の内がいつまでなのかと言うことですので、お気を付けください。