大祓詞(おおはらえことば)とは?原文・現代語訳・意味・効果を解説

大祓詞-祝詞

大祓詞(おおはらえことば)とは?

大祓詞(おおはらえことば)とは、神道の神様に奏上する祝詞の中の一つです。

その原文となる典型は平安時代に編纂された「延喜式」に「六月晦大祓」として入っています。

大祓詞は中臣祓詞とも呼ばれます。
その理由は、大祓詞の起源が中臣氏が平城京の朱雀門で奏上をしたことだと言われているからです。

御祈祷を受ける際に、神主さんが唱えていたり、信心深い方が神社で唱えているのを見たことがあると思いますが、今では、様々な儀礼・日常の神棚に唱えるといった様々な場面で利用されます。

大祓詞は神道の中の重要な祝詞

祝詞は神様に奏上する言葉でとても大事な詞です。

大祓詞は私たち日本人古来から持つ考え方の「穢れ」「罪」「過ち」を祓う祝詞です。

神道では、経典や聖書というものが存在をしていませんが、神前で奏上する、唱える言葉に限らず、言葉には霊力が宿る、

言霊」という考え方があります。

祝詞はそのような霊力を持った古来から受け継がれた特別な言葉で、大祓詞はその中でも重要な私たちの罪穢れを払う力を持つと言われています。

祝詞について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
祝詞(のりと)とは?一般人も唱えて効果有!様々な種類をまとめて解説

大祓詞の意味とは

大祓詞(おおはらえことば)を唱える意味を、神社本庁の定義に見ていきましょう。

大祓は、我々日本人の伝統的な考え方に基づくもので、常に清らかな気持ちで日々の生活にいそしむよう、自らの心身の穢れ、そのほか、災厄の原因となる諸々の罪・過ちを祓い清めることを目的としています。

引用元:http://www.jinjahoncho.or.jp/iroha/omatsuriiroha/ooharae/

また、「神道名目類聚抄」と言う300年前に作られた神道の資料では、「祓とは、つつしみの義なり。」とあります。

私たちの生活で生まれる穢れや罪を謹んで祓い、災厄を除き、幸せをもたらす。

大まかにはそういった意味であると考えられます。

それでは、大祓詞を詳しく見ていきましょう。

大祓詞全文の原文・読み方・現代語訳

大祓詞の原文(大正三年内務省選定)は宣命書きと呼ばれる、ひらがなを全く使わず、女子や助動詞も漢字で表記をするとても難しい文体を利用されています。
例:を→乎、の→乃、す→須。等々

読みにくいため、ひらがなを利用して原文を表記します。

大祓詞の原文(ひらがな付き)の全文と読み方

高天原に神留まり坐す。たかあまはらにかむづまります。
皇が親神漏岐神漏美の命以てすめらがむつかむろぎかむろみのみこともちて
八百万神等を。やほよろづのかみたちを。

神集へに集へ給ひ。かむつどへにつどへたまひ。
神議りに議り給ひて。かむはかりにはかりたまひて。
我が皇御孫命は。あがすめみまのみことは。 
豊葦原瑞穂国をとよあしはらのみづほのくにを
安国と平けく知食せとやすくにとたひらけくしろしめせと
事依さし奉りき。ことよさしまつりき

此く依さし奉りし。かくよさしまつりし。
国中に。くぬちに。
荒振神等をば神問はしに問はし給ひ。あらぶるかみたちをばかむとはしにとはしたまひ。
神掃へに掃へ給ひて。かむはらひにはらへたまひて。
語問ひし磐根樹根立草の片葉をもことどひしいはねきねたちくさのかきはをも
語止めて。ことやめて。

天の磐座放ち天の八重雲をあまのいはぐらはなちあまのやへぐもを
伊頭の千別に千別て。いづのちわきにちわきて。

天降し依さし奉りき。あまくだしよさしまつりき。
此く依さし奉りし。かくよさしまつりし。
四方の国中と。よものくになかと。
大倭日高見の国を。おおやまとひだかみのくにを。 
安国と定め奉りてやすくにとさだめまつりて
下津磐根に宮柱太敷き立て。したついはねにみやはしらふとしきたて。

高天原に千木高知りてたかあまはらにちぎたかしりて
皇御孫命のすめみまのみことの
瑞の御殿仕へ奉りてみづのみあらかつかへまつりて

天の御蔭日の御蔭と隠り坐してあまのみかげひのみかげとかくりまして
安国と平けく知食さむやすくにとたいらけくしろしめさむ
国中に成り出む。くぬちになりいでむ。

天の益人等が過ち犯しけむ。あまのますひとらがあやまちおかしけむ。
種種の罪事はくさぐさのつみごとは
天津罪国津罪あまつつみ くにつつみ
許許太久の罪出む此く出ば。ここだくのつみいでむかくいでば。
天津宮事以ちて天津金木を本打ち切りあまつみやごともちてあまつかなぎをもとうちきり
末打ち断ちて。すえうちたちて。
千座の置座に置足はしてちくらのおきくらにおきたらはして
天津菅麻を本刈り断ち末刈り切りてあまつすがそをもとかりたちすえかりきりて
八針に取裂きてやはりにとりさきて
天津祝詞の太祝詞事を宣れ。あまつのりとのふとのりとごとをのれ。

此く宣らば。かくのらば。
天津神は。あまつかみは。
天の磐戸を押披きて天の八重雲を。あまのいはとをおしひらきてあまのやへぐもを。
伊頭の千別に。いづのちわきに。
千別て。ちわきて。
聞食さむ国津神は。きこしめさむくにつかみは。
高山の末低山の末に登り坐て。たかやまのすえひきやまのすえにのぼりまして。
高山の伊褒理たかやまのいぼり
低山の伊褒理を掻き別けて。ひきやまのいほりをかきわけて。
聞食さむ。きこしめさむ。
此く聞食しては。かくきこしめしては。
罪と言ふ罪は在らじとつみといふつみはあらじと
科戸の風の天の八重雲をしなとのかぜのあまのやへぐもを
吹き放つ事の如く。ふきはなつことのごとく。
朝の御霧。あしたのみぎり。
夕の御霧を。ゆうべのみきりを。
朝風夕風の吹き掃ふ事の如くあさかぜゆうかぜのふきはらふことのごとく
大津辺に居る大船を。おおつべにをるおおぶねを。
舳解き放ち。へときはなち。
艪解き放ちて。ともときはなちて。
大海原に押し放つ事の如くおおうなばらにおしはなつことのごとく
彼方の繁木が本を。おちかたのしげきがもとを。
焼鎌の利鎌以て打ち掃ふ事の如くやきがまのとがまもちてうちはらふことのごとく
遺る罪は在らじと。のこるつみはあらじと。
祓へ給ひ清め給ふ事を。はらへたまひきよめたまふことを。

高山の末。たかやまのすえ。
低山の末より。ひきやまのすえより。
佐久那太理に落ち多岐つ。さくなだりにおちたきつ。
早川の瀬に坐す。はやかわのせにます。
瀬織津比売と伝ふ神。せおりつひめといふかみ。
大海原に持出でなむ。おおうなばらにもちいでなむ。
此く持ち出で往なばかくもちいでいなば
荒潮の潮の八百道の八潮道のあらしほのしほのやおあひのやしほじの
潮の八百曾に坐す。しほのやほあひにます。
速開都比売と伝ふ神。はやあきつひめといふかみ。
持ち加加呑みてむ。もちかがのみてむ。
此く加加呑みては気吹戸に坐すかくかがのみてはいぶきとにます
気吹戸主と伝ふ神。いぶきどぬしといふかみ。
根国底国に気吹放ちてむ。ねのくにそこのくににいぶきはなちてむ。
此く気吹放ちては根国底国に坐す。かくいぶきはなちてはねのくにそこのくににます。
速佐須良比売と伝ふ神。はやさすらひめといふかみ。
持ち佐須良比失ひてむもちさすらひうしなひてむ
此く佐須良比失ひては。かくさすらひうしなひては。
今日より始めてけふよりはじめて
罪と伝ふ罪は在らじと。つみといふつみはあらじと。

今日の夕日の降のきょうのゆうひのくだちの
大祓に祓へ給ひ清め給ふ事をおおはらへにはらへたまひきよめたまふことを
諸々聞食せと宣るもろもろきこしめせとのる

大祓詞の現代語訳

大祓詞の内容をかいつまんで、現代語訳をします。

 

高天原という天津神がいる神の国から、天孫降臨をされたニニギノミコトが治められる大和の国は平和に治められています。

その中で、天津罪、国津罪様々な罪が生まれるでしょう。

その罪を消してしまう大祓という儀式をする準備をし、天津祝詞という天上から伝わった神聖な祝詞を唱えると、このような罪は、まるで朝の風や夕の風が吹きとばすように、鎌でばっさりと切り払われるように、消えていくだろう。

こうして消えた罪や穢れは、瀬織津姫、速開津姫、気吹戸主、速佐須良比咩が消し去ってくれるだろう。

そして罪という罪が消え、この大祓の儀式で員人々に罪を祓い清めてくださることを参集した人に良く拝聴せよと宣り聞かせる。

 

さらに詳細な訳を知りたい方は神道の教育を目的に作られた國學院大學が詳細な現代語訳をしてくださっていますので、そちらをご覧ください。
参考:http://www2.kokugakuin.ac.jp/kaihatsu/oharai/t_02.html

大祓詞の意味

大祓詞の現代語訳を見てもどういうこと?と感じた方もいるかもしれません。

簡単な大祓詞の意味を解説します。

そもそも、大祓詞とは、毎年6月と12月に行われる、罪や穢れを払う儀式(六月晦大祓)で奏上されるものでした。

大祓詞の最初は、日本(大和朝廷)が成立をするまでの歴史(天孫降臨~葦原中国の経営)の話をします。

その後、その成立した国で生まれる様々な罪や穢れを祓う儀式の方法を述べます。

そして、その罪は神々が聞いてくださり、祓戸四柱と呼ばれる神々が消し去ってくれる。

という様子を説明しています。

大祓詞の効果とは?開運や運気上昇に?

大祓詞は元は儀礼のための詞として成立をし、今では一般の方も神様にお参りをする際に唱える言葉となっています。

広く知られる中で、唱えることで功徳を得られたり、効果があると考えられるようになりました。

ここでは、大祓詞の効果としてどのようなものが言われているかを見ていきましょう。
※大祓詞の効果はあくまで一般に言われるものです。

大祓詞の言霊

大祓詞に限らず、日本神道では、言葉には霊力が備わると考えられていて、不吉なことを言えば、不吉なことが起きる。

よい言葉を唱えたらよいことが起きると言われています。

大祓詞は古来から使われる、神道の重要な祝詞であることから、その力は絶大と言われています。

特に、祓いという側面に関わる効果があると考える人が多くいます。

大祓詞の効果:開運、運気上昇

大祓詞が罪や穢れを払う言葉であることから、今まで自分の持っていたよくない気を消し去ることができると考えられます。

そこから、開運や運気の上昇につながると考えられています。

こう考える人は唱えるだけで、効果があるとも言っています。
こちらの本ではそういった効果について書いていますので、気になる方はこちらをクリック!

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大祓詞の効果:除霊

さらに、大祓詞を唱えることで除霊の効果があるとも言われています。

ただし、これらの効果はあくまでそれを信じる人がいるというものです。

大祓詞はどう活用する?

大祓詞は長く、難しい祝詞ではありますが、神社にお参りをする際、神棚を拝む際にも唱えられる言葉です。

大祓詞の唱え方

大祓詞を唱える時の作法は次のようになっています。

  • 二拝
  • 大祓詞を奏上
  • 二拝
  • 二拍手
  • 一拝

※拝とはお辞儀のこと

神社のお社や神棚にまずは深くお辞儀をします。

その後大祓詞を奏上し、神社でお参りをする際に行う、

「二拝二拍手一拝」をします。

唱え方は大祓詞を唱えたYoutubeの動画がありますので、こちらをご覧ください。

大祓詞を毎日読み上げる?

大祓詞を毎日言葉にしましょうという本も存在しますが、そもそも大祓詞は年に2回の儀礼の際に利用された言葉です。

毎日読み上げなければならないというものではありません。

大祓詞は一般人が神棚等に唱えてもよい?

唱えることは問題はないと考えられています。

覚えにくい大祓詞の覚え方・暗記法

大祓詞は大変覚えにくいものではありますが、暗記して唱えるのが良いと考えられています。

そんな大祓詞を覚える際に私も実践して覚えやすかった方法を解説します。

  • 大祓詞の独特のリズムで覚える
  • 大祓詞の言葉の意味、イメージ、ストーリーをとらえる

 

大祓詞を唱えることができる人が近くにいるのであればその方が唱えている時に横で聞いているととても耳になじみ読みやすくなります。

私の場合は祖母、父親が毎朝神棚に唱えていたこともあり、読みにくい文章でも音でとらえることができました。

Youtubeの動画もありましたが、独特のリズムをまずは耳で覚えるのはおすすめです。

 

また、大祓詞の中身を理解していると、ただの音ではなく、意味のある文章として、頭にのこります。

現代語訳を意識して、普段の奏上の際に思い出しながら唱えると覚えが早くなると思います。