八十八夜の意味とは|2019年は5月2日。88夜のお茶や農家との関係等解説

八十八夜

八十八夜の意味とは|お茶との関係等を解説

八十八夜とは雑節という暦の中で農業の重要な目安とされる日です。

八十八夜が歌詞に出てくる「茶摘み」からお茶のイメージが強いと思いますが、本来の八十八夜の意味について今回はご紹介します。

また、八十八夜の時期にとれる新茶を飲むことの意味など、まつわる物事についてもご紹介します。

八十八夜の読み方は「はちじゅうはちや」

暦の本にある言葉には不思議な読み方をする十六夜(いざよい)や二百十日(にひゃくとおか)という読み方などがありますが、八十八夜はそのまま読みます。

2019年の八十八夜は5月2日

2019年の八十八夜は5月2日です。

二十四節気では「穀雨」、七十二候では「牡丹華(ぼたんはなさく)」に当たります。

後ほど詳しく解説しますが、「夏も近づく八十八夜」という「茶摘み」の歌詞の通り、この時期は気温が上がり始め、朝の冷えもなくなり昼は日によって汗ばむ時期に入ります。

八十八夜はいつから数えて88日目か

2018年も八十八夜は5月2日でしたが、年によって日付が変わります。

八十八夜はその漢字の通り、八十八日の夜が過ぎた日という意味ですが、これは二十四節気の立春から起算して八十八日目に当たる日になります。

立春はだいたい2月4日ですので、ほぼ毎年5月2日になります。

ただし、2020年のように閏年は5月1日にずれます。

八十八夜の意味

八十八夜の意味を暦の本では次のように定義しています。

八十八夜の意味

立春から数えて八十八日目であって、この頃には霜も降らなくなり戸外で植物を育てても心配なく、種を蒔いても失敗することがない。又八十八の字の米に通じるので縁起をかついで此の頃苗代を作って植付の支度をする。

出典:歓喜宝暦 神霊館 榎本書店

このように、八十八夜は農業にとって重要な日と考えられてきました。

八十八夜は農家さんの重要な目安となる日

先ほども八十八夜の意味で見た通り、農家の方にとって八十八夜は植え付け、種まきの目安となる日になります。

古来、人々の暮らしにとって最も重要な農業は天候と深くかかわることから暦の上で農作業に関係する日は多く存在します。

八十八夜はその一つで雑節という日本独自の農家の人に重要な目安となる日でした。

八十八夜の時期は朝の冷え込みが亡くなるころで、霜が降りなくなる時期です。

農作物の植え付けの天敵となる霜が降りないようになる目安として立春から八十八日目を古来重要視したそうです。

「八十八夜の別れ霜/泣き霜」の意味

八十八夜にまつわる言葉で、

  • 八十八夜の別かれ霜

という言葉があります。

これらは読んで字のごとくですが、八十八夜を迎え、霜が降りなくなる時期、最後にふる霜のことを別れ霜というそうです。

しかし、八十八夜を超えても年によって冷え込みが強くなり霜が降りてしまうほどの寒気に見舞われてしまうことも年によってあります。

そうなると、せっかく八十八夜に植え付けをしてもそれらの種子に大打撃を与えます。このことから注意を促す言葉として

  • 八十八夜の泣き霜
  • 八十八夜の忘れ霜

または、「さつき寒」という言葉が生まれたそうです。

八十八夜と「米」という漢字

また、88歳の記念を米寿と呼ぶように、八十八という数字は米につながると考えます。

実際の米の植え付けは地域によって、八十八夜以降、2,3週間にかけて行うようです。

古くから農村地域によっては、八十八夜の時期に、一年の農作の占いである粥占(かゆうら)を行うなどの風習が見られます。

八十八夜が「日」ではなく「夜」とする意味

八十八夜は立春から八十八日目という意味を持つ言葉ですので、「夜」ではなく「日」という言葉を使えばよいのに「夜」であることに定説はありません。

他の農家にとって重要な雑節の「二百十日・二百二十日」と言った言葉が日ですので、不思議な点です。

一説には、夜輝く月の形で植え付けをする日を判定するのが簡単だからではないかという説があります。

古来日本では太陽太陰暦という、月の満ち欠けで暦を作っていたことから月の形は重要視されてきました。

月の満ち欠けは約29.5日で一回りするので、その3回目に当たる88日目の夜の月の形で、植え付けの日取りの判定できるからという説があります。

八十八夜のお茶の意味やご縁起

八十八夜 画像

八十八夜のイメージとしてはお茶のイメージが強いと思います。

これは童謡 茶摘みによって一般的に広まったそうですが、八十八夜の時期に収穫したお茶の葉で作られる新茶には特別な意味があります。

八十八夜が歌詞に出てくる「茶摘み」

1.夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘ぢやないか
あかねだすきに菅(すげ)の笠

2.日和つづきの今日此の頃を、
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにや日本の茶にならぬ

この童謡で手遊びなんかをした方もいると思います。

日本の茶摘みの風景を切り取った歌として知られる茶摘みですが、日本のお茶の生産量2位の鹿児島県(2017年のデータ)では4月の上旬ごろから新茶(一番茶)の茶摘みが行われるそうです。

全国的には八十八夜の時期がお茶摘みの最盛期とされ、特に関西地域が最盛期とされます。

ちなみに、この歌詞の通り、八十八夜の数日後には、暦の上での夏の始まりである立夏になります。

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八十八夜にとれる新茶

八十八夜にとれるお茶の葉の新芽で作るお茶を新茶・一番茶と言います。

新茶・一番茶は、その後に収穫される二番茶や三番茶に比べ、次の点で特徴があるとされます。

  • 新茶・一番茶は爽やかで甘みが強い

これは二番茶等に比べ、カテキンやカフェインという苦味成分が少なく、甘み成分のアミノ酸が多いことが原因だそうです。
参考:一番茶・二番茶・三番茶 お茶百科 伊藤園

また、古くから新茶を飲むことで無病息災・風邪を引きにくくするといわれてきました。

実際、日本人が世界的に寿命が長いことは緑茶を飲む習慣が起因するのではないかという研究や、カテキンの健康効果に関する論文は多くあります。
参考:茶カテキンの有効性に関する論文 花王

八十八夜にまつわること

八十八夜にまつわる事についてご紹介します。

八十八夜の食べ物・行事食

八十八夜の日に食べる行事食などはあまりないようですが、新茶の季節に合わせた和菓子や、新茶の時期に近年人気沸騰している抹茶のデザートなどを作るお茶屋さんやカフェがあります。

京都の宇治等お茶の名産地では新茶にちなんだイベントも多くしているようです。

八十八夜という季語

八十八夜は季語としても有名で、八十八夜に関連する「別れ霜」「茶摘」という言葉も晩春のころの季語になります。

八十八夜は晩春の嵐の季節

八十八夜は3月の初旬ごろからある春の嵐という強風が吹く季節でもあります。

台風とは違い、急速に天候が悪化するという特徴があります。