かしこみかしこみの意味は?祝詞「恐み恐みももうす」の正しい使い方も解説

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かしこみかしこみとは?本来の意味や宗教・祝詞での意味を解説

かしこみかしこみ」という言葉を神社でお聞きになったことがある人は多いと思います。

最近では日常で利用しない表現です。

しかし、宗教(神道)ではかなり頻繁に利用される表現で、祝詞という神様に奏上する重要な言葉です。

ぜひこの機会に「かしこみかしこみ」とはどんな意味なのかを知り、神社に参拝した時に祝詞を唱えてみては?

現代語で「かしこみかしこみ」の意味は?

まず、「かしこみかしこみ」は一言ではなく、「かしこみ」という言葉を二回続けている言葉です。

「かしこみ(畏み)」という言葉の意味は、

  • 恐れる
  • 恐れ多いと思う。かしこまる。
  • 謹んで承る

という意味を持っています。

「かしこみ」という言葉でさえも、現代生きている日常で利用されることはほとんどないため、上記ではピンと来ないかもしれません。

わかりやすい訳にすると、

対象を恐れ多く思い、慎みとうやまいを持って行う様子

であるとされています。

かしこみかしこみは漢字が複数ある

「かしこみかしこみ」は先ほどの現代語訳の中で「畏み」と表記しましたが、

「恐み」とも表記します。

いずれも、「恐れ多くも」、「恐れながら」「畏まって」という、私たちが年上の人や、尊敬・崇拝するものに対して感じる感覚を持つものです。

「恐み」と書きますが、「恐怖や恐い」という単なるマイナスの感情ではありません。

また、結婚式の祝詞という場面においては、「恐美恐美(かしこみかしこみ)」と表記します。
この表現については後述します。

かしこみかしこみの宗教上の意味

「かしこみかしこみ」の意味が分かれば、自ずと宗教で利用される「かしこみかしこみ」という表現もわかると思います。

日本神道という宗教の中で利用される「かしこみかしこみ」とは、

神様という、私たち人が直接ものを申すには、恐れ多いほどの偉大な存在に対して、最大級の畏敬の念を持って、お祈りをささげさせていただく

という場面で利用します。

かしこまるという意味の畏みを2回重ねていることからも、とても畏み仕っている様子をうかがわせます。

古典の表現で、2重敬語という、天皇や大臣クラスという高貴な人に向けて利用する敬語表現と似て、2回繰り返すことによる、畏怖の念を表しています。

祝詞の中での「かしこみかしこみ」

「かしこみかしこみ」という言葉の宗教上の意味を理解されましたら、実際にかしこみかしこみが使われる文章である祝詞について見ていきましょう。

祝詞とは、日本神道における重要な「神様に向けてお伝えする際の言葉表現」を意味します。

神様と言う恐れ多い、はるか天上に坐す存在に私たち人間が何かを申す際には、最大限の注意を払ってお伝えをする必要があります。

祝詞はそういった神様に対するマナーを守った言葉と考えてよいでしょう。
「かしこみかしこみ」という言葉はそんな祝詞の結句でよく利用される表現なのです。

「かしこみかしこみ」と神様に申し上げる、特別な言葉である祝詞について知りたい方はこちらをご覧ください。
祝詞(のりと)とは?一般人も唱えて効果有!様々な種類をまとめて解説

恐み恐みも白す(もうす):大祓詞や祓詞より

私たちが御祈祷、厄払いを受けに神社に参拝した際、神主さんが神様に向かい独特のリズムで唱える詞の中で、

「かしこみかしこみももうす」と聞いたことがあると思います。

神道の祝詞の中でよく利用される、大祓詞祓詞では最後に

恐み恐みも白す」と書いています。

昔の表現で白すと書いてもうすと読みます。

大祓詞や祓詞では、「私たちの罪や穢れを祓ってください」と神様に申し上げるのですが、そのお願いを「かしこみかしこみ」申し上げますというとても丁寧な姿勢でお伝えしているのです。

様々な「かしこみかしこみもうす」の表記

ちなみに、なぜ「白す」と書いて「もうす(現代語の申す)」と読むのかと言うと、白すという言葉は本来の仮名を振ると

「まをす」と表記します。

「まをす」とは、「申し上げる」という意味の他に、「はっきりとお伝えする」という意味を持つ言葉です。

今の申すという言葉より、はっきりと隠さずに伝えるという意味が込められています。

かしこみかしこみもまおす

そのため、「かしこみかしこみもうす」は元々は「かしこみかしこみまをす」と表記し、

神様に「何の隠し事もなく、清らかな心で、正直にお伝え申し上げる」という意味を持っています。

かしこみかしこみももうさく

また、もうすの古語体のまおすでもなく、「もうさく」という表記をする場合もあります。

これは、「恐れ多くも申し上げさせていただきますが、」と次に文章が続く場合の表現です。

多くの場合、大祓詞や祓詞といった祝詞の中のように文末で利用される表現ですが、文中に入った場合はこのような表記になります。

恐美恐美(かしこみかしこみ):神前式の結婚式の祝詞より

結婚式の祝詞では、かしこみかしこみと読みながら、漢字では「恐美恐美」と表記します。

これは、結婚式では「終や死、別」のような忌み言葉を嫌うというものと同じ考え方です。

日本人は古来から、言葉には霊力が備わると考えてきました。(=言霊)

言霊はよくない言葉を口に出すと、不吉なことにつながり、

よい言葉を口に出すと、良い結果につながると考えるというものです。

恐美恐美の美はもちろん、よい言葉を持つがゆえに利用されているということです。
※ちなみに恐は「恐れ多い」という意味の感じなので不吉ではありません。

「かしこみかしこみ」を神様に奏上するときのマナー

かしこみかしこみという言葉を神様に奏上する時は、できれば、「かしこみかしこみ」を含む、祝詞としてちゃんと唱えるのがよいでしょう。

神道では、正しい参拝方法としてきっちりと決められた経典があるわけではありませんので、お心一つという考え方もあります。

しかし、これまで千年以上の歴史を持つ、言霊の詰まった神聖な言葉の祝詞として唱えることで、御利益を感じるという方もいます。
実際、唱えることによって、心の状態を澄んだ状態にできることは私も実践して感じていますので、ぜひ適切な「かしこみかしこみ」神様に申し上げる方法を実践してください。

神様に申し上げる前に

まずは、祝詞をささげるまでの手順をご説明します。

手と口を水ですすぎ清らかにします。

その後、ご神殿の前まで進んだら、

  • 二拝
  • 祝詞を奏上(お祈りを申し上げる)
  • 二拝二拍手一拝

という流れで参拝します。

「かしこみかしこみ」申し上げる前の2拝(深いお辞儀を二回)し、祝詞をささげて後、二拝二拍手一拝を行います。

この時、「かしこみかしこみ」に限らず、神様の前で、一つ一つの言葉をかみしめながら読み上げることがとても重要になります。

本当に神様の前で「恐れ多くも申し上げさせていただきます」という気持ちを持って参拝をして、その御神徳を受けるにふさわしい心を持ちましょう。

神様の前で「かしこみかしこみ」も入った祝詞を申しあげる上で、最も一般的に利用されていて、効果も強いと言われている祓詞を利用するのをおすすめします。

祓詞は、「身の穢れや罪、災難を取り払ってください」という意味の祝詞で、神様の前で何かを申し上げるにふさわしい状態に祓っていただくための言葉です。

参考:祓詞(はらえことば)とは?原文や読み方+作法や意味や効果を解説